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第13話



結局フランス人形のようなゴシック風の服を着せられたラクシアは、昼食のために訪れたレストランの中で項垂れていた。


「食事前に寝るなんてお行儀悪いですよ」


「寝てない、死んでるだけだ」


鳥の首を絞めたときに出る掠れた声で返事をするラクシアだが、袖やスカートに付属しているレースの数々が彼女のメンタルに追撃をかます。


今までは布を巻いたり包帯などで誤魔化しつつ尊厳を守ってきた彼女だが、それも今日で終わり。

適当なことを言って今すぐ胸につけているものを捨て去ってしまえばいいのだが、皮肉にも今の方がいつもの布よりも楽なのだ。


この楽を知って仕舞えばもうあのような馬鹿げた行動に出るのが難しく、かと言ってこのまま尊厳を捨てるわけにもいかない。


尊厳を守るか、機能性を取るか。


今後も戦闘を行うことを考えると包帯で押さえつけ続けるには限界はあるだろうし、何より今もなお成長中なため支えがなければ動きを阻害する。


つけなければ動きづらく、つければ尊厳を、


どちらを取るべきか必死に考えあぐねているラクシアを他所に、あの場所ではあることが起きていた。



先日起こったダンジョンの爆発事件。


モンスターの死骸すらも消滅していた現場に対して、ベテラン冒険者などが推測するには「爆破トラップに引っかかった人間がいたのだろう」というものだった。


少なく見積もっても破壊の規模は上級魔法の倍以上、一体どれほどのエネルギーを放てばここまでの破壊が起こせるのかと、現場の調査に向かった冒険者達は首を傾げていた。


「なんかここ溶けた跡がありますよ」


調査に向かった冒険の一人が熱で溶けた壁を触れる。


既に冷え固まっているため触っても害はないが、それでもこれが起こるだけの熱エネルギーを発生させるトラップ。


おそらくかなり上位のアーティファクトだと推測できる。


現場で何が起こったかを調査しにきたのに、分かったことと言えば「分からないことが分かった」


何が起こったかも不明。


トラップは見る影もなく消滅。


これでは捜査の意味がない、そう思いかけていたとき。


カラン、と瓦礫の崩れる音がした。


「…………ん?」


誰が瓦礫を破壊したのか? 


そう思って音の方へと目をやると、黒い影が同じく調査にきた冒険者の首をへし折っていた。


「うわぁああああああ!」


目の前で殺される仲間を見て動転し、今すぐここから逃げ出そうとする彼だったが、


一瞬にして視界が回転し、自身の崩れ落ちる膝をその目で見てから、ようやく首を刎ね飛ばされたのだと理解した。


そして最後に、


「オレを閉じ込めたヤツは……ドコダ」


人ではない音を、微かに聞いた。


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