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剣、ゆえに何を想う(仮)  作者: sora
第一章 その想いとは
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第五話

会議室に15人ほどの魔人がバリカの前に立っており、

バリカに様々なことを報告している。

その中に憔悴した顔をしたリグの姿もあった。


「さて外壁の修繕の方はどうだ?」


「はい、先ほど終わりやした」


バリカの問いに対して、

リグが力のない声で答えた。


「ご苦労、よく終わらせてくれた。

リグほかに私に報告することはあるか?」


リグは、疲れきっていて機能していない頭を、

無理やり回転させて答えた。


「はい、修繕は終わりやしたのですが、少し奴隷を酷使してしまいまして、

人間の奴隷が壊れて動けなくなりやした。」


「そうか、獣人の奴隷は無事なのだな?」


「はい、今頃奴隷部屋で休んでいると思いやす。

動かなくなった人間の奴隷なんですが、外に放置してしやいまして、、」


「まぁいい、お前も疲れていたのだろう、

人間の奴隷は兵士たちのおもちゃになっていないといいがな、

どちらにせよトト様には奴隷の補充を申請しといてやる。」


「ありがとうございやす。」


「ほかに報告がないのなら下がってよい。」


その言葉通り、リグは会議室を後にし、

食堂で朝食を取った後、部屋に戻り爆睡をした。



----------------------------------------------------------------------



獣人たちが列をなし、走ってザリルツ砦に向かっている最中、

その列の中心にいた、白いマントを羽織ったシキルは一つの報告をうけていた。


「何?外壁の修繕が終わっているだと??

それは本当なのか?」


「はい、この目ではっきりと確認しました。」


白虎族の哨戒担当と思われる者が、

確信を持った目でシキルを見た。


(どうするか、、、、、、)


シキルは走りながら少し考える様子を見せると、


「トクリ族長を呼んできてくれないか?」


「了解しました!」


報告をしてきた白虎族に向けていった。




赤いマントをひらひらとさせ、自分のもとへ、

駆け寄ってきたトクリを見て、シキルは、


「トクリ族長、呼び出してすまない、」


「お安い御用ニャ!」


「本題に入ろう、報告によると現在、砦の修繕が終わっているみたいだ。」


「本当かニャ?!」


トクリはとてもビックリしたような表情をした。


「そこでだ、申し訳ないのだが、

もう一度赤猫族で、外壁の破壊工作を行ってはくれないだろうか?」


トクリは少し考え、すぐさま答えた。


「大丈夫ニャ!! 修繕まであと一週間かかる予定だったニャ?

たぶん修繕したといっても、見た目だけの応急処置ニャ!

前回よりは難しくないニャ!」


小さな体で胸を張り、「任せるニャ」を言わんばかりの、返事をした。

「頼もしいな、よろしく頼む。」


シキルはそのトクリの様子をみて、改めて頼りになる仲間だと感じた。


「では赤猫族一同、本隊から先行して先に砦に向かうニャ!」




その後、赤猫族は先に砦に到着し、砦付近の林から、

砦自体を目視で確認していた。


赤猫族のトクリが、なぜこの戦いに参加したかというと、

本音は、同胞を助けるためではない。


自由を好む放浪人、それがサキア連合国での猫族の立ち位置だ。


サキア連合国自体、一つの権力が支配、統治しているのではなく、

各種族が集まり、各種族が協力・協調しあって国家の形を成している。


しかし各種族それぞれ性格、特徴が違いすぎる、

虎族などは、力を崇拝している種族なので、力のあるものについていくので、

力のあるものがいれば、国家の統治として、特には問題ない。


だが猫族は、自由すぎて統率が取れないという実情がある。


なぜ、赤猫族のトクリがこの戦いに参加したのは、


《「おやっさん」に言われて参加してみたものの、

ほんとは、てきと~に戦って、イグニスに帰る予定だったニャ、

でもなんだかニャ、シキル族長にはついていってもいいかと思うニャ》


いつになく真剣に敵の本山、ザリルツ砦の様子を伺い


《でも「おやっさん」にはかなわないけどニャ》


トクリは、何かを思いついたように顔つきを改め、

攻め込むために部下たちに作戦を伝えた。



----------------------------------------------------------------------




ザリルツ砦 SIDE


「いや~、今日も疲れたな~、腹減った~、眠たいぃ~」


「おい!おまえもう少しシャキッとしろって!!」


地平線から太陽が昇って数刻、

日出直後は、暗闇から出た日光により目が覚めたが、

連日の外壁警備で、溜まっていた体の疲れは欺けなかった。


「いいじゃん、どうせまだ獣人たちも攻めてこないんだし、

こっちはもう疲れたよ、」


「だとしてもこんなダラダラしている所見られてみろ、

バリカ様に何言われるかわかんないぞ!」


「まあ確かになぁ~、、ふわぁぁ~~

でも眠たいのは変わらん」


外壁の上の物見櫓で、二人いる魔人の内、

一人があくびをしながら言った。


「でもそのバリカ様も、サキアの獣で一番強そうなやつに、

深手負わせたんだろ?」


「そう、だけど一番強かったかはわからないぞ、

聞いた話によると、バリカ様が倒したやつは青い氣を使っていたらしい。」


「青い氣?」


「そうだ、、なんだその顔は? お前獣人が使う氣も知らないのか?」


【氣】という聞きなれていない単語を聞いたのか、

不思議そうに顔を傾げた同僚に対して、ため息をついて説明を始めた。


「おまえ、よくそんな知識でこの対獣人最前線のザリルツ砦にこれたよな」


「いや、それほどで「ほめてないわ!!」」


「まぁお前は志願兵じゃないもんな、知らなくて当然か、

じゃあ【獣態武器】も知らないのか?」


同僚は首を縦に振った。

じゃあ簡単に説明するぞ、と前置きをし


「いいか、我々魔人族が【魔力】という力を持つように、

獣人たちにも全員、【氣】という力を持っている。

その【氣】を元に造りだす武器が【獣態武器】というものだ」


「まぁ我々の使う【魔法】とは違って、種族全員【獣態武器】が使えないのが、

汚らわしい獣って所っぽいがな」


「え、じゃあ生まれた時点で【獣態武器】を使えるか、使えないか決まるってこと?」


「いや、これも講義で聞いた話なんだが、

獣人は、根性がどうとか、気合がどうとか、絆がどうとか、

そんな良く分からん訓練をしているうちに【獣態武器】が使えるようになるらしい」


「ひえぇぇぇ~~、暑苦し~~、

あれたちみたいに生まれたときから使えたらいいのにね、」


同僚が指の先に炎を灯し、炎の大きさを様々な形に変えながら答えた。


「おまえ、そういう細かい【魔法】の操作、俺よりうまいよな、」


指先の炎を見ながら、次に同僚の顔を見て、

少しあきれながら、されど少しうらやましそうに言った。

「いやいや、期待を一身に受ける学園卒のエリート様にそう言ってもらえるなんて、

嬉しい限りですなぁ、」


「おまえなぁ、バリカ様からおまえだって期待され…

まぁいいか、話を戻そう」


「でだ、【氣】の色についてだが「や、もういいや」、、は??」


「もう頭使うのは、元気な時にしてくれ、

そん時にちゃんと聞くから」


んふぁ~~と大きなあくびをしながら、その同僚は話を遮るように言った。


「まぁそうだな、もう交代の時間だし今度話すことにするよ」






しかしこの2人はもうこの話をすることはなくなった。







すみません、まだ主人公は出てこないです。

もう少しであらすじの場所まで行けると思います。

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