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短編小説~大熊&ロボットのジンタイの心理学の勉強

短編~傾斜

作者: 猫田蛍雪

 物事を正面から見ることは、その物事を正しく理解しようとしている姿勢である。

 それならば、偏って物事を見ることは、間違っているのであろうか。

 結論からすると、大抵の場合は間違いかもしれない。

 しかし、正面から見て物事が正しく判断できない場合も多々ある。

 だからこそ、あえて偏った見方をする時も時としてあると考えた方が自然かもしれない。


「熊さんは、彼のことをよく知るために普通にコミュニケーションを取るのでした。一方、シグマさんは、彼の表裏すべてを知りたいと考えたので、普通のコミュニケーションをとらずに、様々な方法をとりました」

 大熊は、心理学の教科書を読み終えると、板書した。

 そして、ジンタイに尋ねた。

「このシグマさんは、彼の表裏すべてを知りたいと考えたから、様々な方法をとった、と文章中に書いてあったが、この様々な方法としてどんな方法が考えられるかな? 」

 ジンタイは思いつくだけ方法を説明してみせた。

「まず、彼が一人の時の状態を知るために、外から観察したと考えられます。それによって、表裏の裏の部分を知ることができると思います」

「なるほど。倫理的な問題はこの際、難しく考えることはやめておこう」

「それから、表の行動を知るために他者から聞き取りをして、どんな人物か調べたと思います」

「つまり、この2通りの考えによって彼がどんな人物か分かると言うのだね」

「ええ。先ほど大熊先生がおっしゃったように、仮に実験をするには、倫理的な問題が発生するので、空想思考実験ということになります」

 大熊は、しばらく考えた後に、ジンタイの考えに評価を示した。

「ジンタイの今回の説明は最高評価の『秀』を与えることにしよう。それでは、次の質問になるが、この実験で確かめることができないことは何か分かるか? 」

 ジンタイは、大熊の示した評価に満足しながら答えた。

「このシグマさんの実験では、直接、彼に接触して調査するということを行っていないので、彼そのものが、空想のものとなってしまうのではないかと思われます」

「その通りだ。もっと踏み込むならば、なぜ空想ではいけない? 」

「はい。空想であると、思い込みや偏見によって調査する対象そのものが、ゆがめられて捉えられてしまうからです」

「そうだ。見聞だけでは、情報のみになってしまい、空想になってしまうからこそ対象と接触して調べることが重要なのだ」

 そして、今日の授業は終わった。


 終わり

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