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2-E 何かが叫ぶ!セン新たなる変身!

書いた分全投稿。

後で後悔するかも知れませんね。

でもやらない後悔よりやった後悔。


お待たせしました。2放送目最終話です。


 ダンのくれた紙には実技試験の結果が追加されていた。対魔物A、対半魔物B、対人A+。

 こんなものかなと思いながら旋は窓口に紙を出す。


「合格おめでとうございます。すぐダンジョンに入りますか?初回入場料は銀貨五枚です」

 にっこり笑ってお姉さんが手を出す。

 ここにも金がかかるのか。世知辛い。旋はポケットの中から銀貨を五枚渡す。

「あら。珍しいですね」

 銀貨を見たおねーさんが驚く。

「ダメなの?」

 なんか出すたび驚かれるじゃんと、考えながら旋は聞いてみる。


「いえ。大丈夫です。はいこれ初回特典です」

 おねーさんが金属の札のついた、大きめの平べったいランドセルみたいな鞄をくれる。

「なにこれ?」

 受け取った旋は聞いてみる。

「初回特典です。その札で半年間ダンジョンに入れます。鞄の中にダンジョンの決まりや説明の冊子が入ってるので読んでください。あとナイフと携帯食三日分と水筒、治療液が入ってます。水はあそこで汲んでください」おねーさんがチョロチョロ水が出ている一角を指差す。

「あと、余計なお世話かもしれませんがおトイレを済ませて行った方がいいです。あと最後に。冊子を読まないで行くなら、ダンジョンの中で他の人の物を取らない。これだけは守ってください。発覚するとダンジョン出入禁止になります。あとソロなら最初の草原までですよ。階段を降りたら危ないですからね」

 ダンジョンの入口はあそこですと指差すとお姉さんは自分の仕事に戻った。


 トイレを済ませて手を洗うついでに水筒に水を汲む。

 おねーさんに教えられた入り口に入ると、薄暗い結構広い部屋になっていた。床が一段高くなった所には、様々な魔方陣が淡く光って回転している。

 金属鎧でハルバードを持った人が何人も立って魔方陣を見張っている。なんでこんなに警備が厳重じゃん?旋は疑問に思う。


「あの~ダンジョンに入りたいんですけど」

 旋が控えめに声をかけると一番近くにいたハルバードの人が鞄の札を確認する。

「初めてですか?初級ダンジョンの草原にしか転送できないですがいいですか?あと最近は殺されて物を盗られる事件が発生しているから、変な奴らには気をつけてください」

 ハルバードの人に忠告される。

「そうなんですか。気をつけます。ちょっとダンジョンの中を見学したら、すぐ戻ってきますね」

 旋はにっこり笑って言った。

 頷いたハルバードの人がいくつもある魔方陣から一つの魔方陣を指差す。旋は指差された魔方陣に乗る。

「ダンジョンを出るときはついた魔方陣にまた乗ってください。お一人では絶対に階段を降りてはいけませんよ。ではお気をつけて。幸運を」

 ハルバードの人に幸運を祈られると魔方陣が光って、旋は草原に立っていた。


 天井は高く、空にしか見えない。生えている草が高く見辛いが、野球場のバッターボックスからスクリーンぐらいの距離に壁が見える。ぐるりと一周見渡す。壁が続いている。野球場四個分ぐらいの広さはありそうだ。

 転送された魔方陣はちょうど草原の真ん中にあるようだ。魔方陣からは光の柱が空に伸びている。

 離れても見失う事は無いじゃんと旋は思った。魔方陣からゆっくりゆっくり、振り向きながら慎重に離れる。

 魔石と素材を手に入れた事で、人に見られ無い所で試したい事があるのだ。


「やめろよ!返せよ!」

 旋が草をかき分けて30分ぐらい歩いた時、声変わりの終わっていない男の子の叫び声がした。

 なにごとじゃん?旋が草の影から覗くと草がなく広場みたいになった所で、十人ぐらいの男が少年を囲んでいた。回りには四人の少年が倒れている。

「うるせえ。これは貰う」

 人相の悪い男が少年を突き飛ばす。

 男の手には新品の剣が握られていた。

 あれって、ダンジョン管理所に入った時に自慢していた子じゃん。旋は気づいた。

「ダンジョンで人の物取ったら出入禁止だぞ!」甲高い声で少年が叫ぶ。

「だから貰うって言ってんだよ!バーカ」

 男が少年に取られ無いように高く剣を上げてからかう。少年を囲んでいる回りの男達も下品に笑う。


「遊びはしまいだ。そろそろ殺るぞ」

 少し離れて黙って見ていた男がナイフを少年に投げる。

 避けきれなかった少年の頬にかすって赤い線を残す。

「なにしやが・・・」

 怒鳴る途中で少年が膝から崩れ落ちる。

 旋は驚いてナイフを投げた男を見た。

 青白い顔。痩せていているのに妙にふとくて長い腕。不気味な迫力を感じる。

「いつも通りだ。装備、金、ドロップ品。欠片も残すな」

 不気味な男が男達に命令する。

「はい。アレニエさん!」

 男たちが一斉に武器を取り出す。


 ヤバイじゃん!初回特典の鞄を放り出して旋は飛び出す。

「なにをしている!大の男がよってたかってみっともない!」

 男達を怒鳴りつける。

「なんだお前?バカか?この人数にノコノコ出てきやがって」

 他に仲間が出てこないか確認して、少年の剣を抜いた男が旋をバカにする。


 バカ?ああバカじゃん。でも変身英雄が戦闘員の数が多いからって隠れるか?負けそうなら戦わないか?否。断じて否。なら私も戦う。負けそうでもこいつらは許せない。許しちゃいけない。旋の何かが絶対に戦えと叫んでいる。


「こいつも殺せ。いつも通りだ」

 アレニエと呼ばれた男が旋を見ながら男達に命じた。

「今殺すって言ったか?いつも通り?何人殺した?」

 旋の目が細まる。

 ギルティ確定。武術を行使する。

 旋は覚悟を決めた。


「知ったって意味ねぇ。お前も死ぬんだ!」

 男の一人が斧を振りかぶって旋に迫る。

 旋は半身で降りおろされた斧を回避すると指先で男の目を撫でる。

「ギャツ」

 目潰しされた男が斧を落として顔をおさえる。

「鋭!」

 旋の爪先が何かを蹴り潰す。男は声も上げず倒れる。


「こいつヤベエ。囲め!一斉にやるぞ!」

 何かが縮みあがった声で少年の剣を持った男が叫ぶ。

 残った八人の男が遠巻きに旋を囲んで、ジリジリと距離を詰めてくる。

 アレニエは囲みから少し離れてナイフを出した。


 ダークニュイは待機時間だ。明日まで使えない。旋は試したかった事をぶっつけ本番で使う事にした。

「変身!角ウサギ!」右手にウサギの角、左手に三つの魔石を持って旋は叫んだ。


『スポット変身!ホーンラパン!』

 旋のお臍の上に現れた固まりが叫ぶ。

 しゃ、しゃべった?旋が驚いていると固まりから闇が吹き出す。

 闇が収まると白い毛皮に包まれて額から角を生やした旋がそこにいた。


「化けた!」「化けもんだ!」「ウサギ人間!」「ウサギ怪人だ!」

 旋を囲んだ男達が騒ぎ出す。


「誰がウサギ怪人じゃあ!」

 旋は騒ぐ男達の囲みを軽く飛び越えて、アレニエと呼ばれた男に飛び蹴りを喰らわす。できればまず、集団の頭を獲る!


『ラパンキィィック!』

 お臍の上の固まりがまた叫ぶ。

 なぜか避けもせず、喋った固まりを見つめていたアレニエは、あっけなく蹴りを喰らって吹っ飛ぶ。


「アレニエさんがやられた?逃げろ!」

 男の誰かが叫ぶと男たちは逃げ出した。

 旋は近くにいた男に追いついて蹴りあげる。

 男は縦に一回転して動かなくなる。

「向かってこないと弱いものいじめみたいじゃん」

 旋は次々に男達に追いついて蹴り飛ばしていく。


「すいません。自首します。剣も返します」最後の一人が剣を前に置いて、土下座で謝ってくる。

 異世界にも土下座あるんだ。旋は手加減して男の頭を勢いよく踏みつけた。グリグリと地面にめり込ませる。

 覚悟は決まっているのだ。何を言われようと旋のやることは決まっている。

 気絶した男の手のひらの下から隠していたナイフが覗いた。


 倒れていた少年達が生きている事を確認した旋は、ほっとしながら男達を少年達から少し離れた所に引き摺って集めた。

 アレニエと呼ばれていた男が見つからない。

 倒れていた辺りには青い魔方陣らしき丸が残っていた。

 変身も解けたので仕方なく少年の方に戻った。


 なんか男達を縛る物無いかな?地べたに座って、途中で回収した初回特典の鞄を探していると、がさがさと音がして誰かが近づいてきた。

 誰じゃん?立ち上がって構える。


「この辺からです。凄い音がしました」

「気をつけろ、何がいるかわからんぞ」

「先行します」

 どっかで聞いた声がした。

 ザッザッと草を剣で払いながらドイルが顔を出す。

「覚えて無い」

 旋はドイルに言う。

「まだ、何も聞いてませんよ」

 ドイルが倒れている少年達と男達を見る。

「これからいろいろ聞きますが」

 ドイルが旋の手を掴かむ。


 本ノ郷旋。異世界二度目の逮捕だった。

 2放送目楽しんで頂けましたか?

 次回は上手く書ければヒーロータイムのあとにお会いしましょう。


 注 ヒーロータイムは日曜の九時~十時です。

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