2-D セン試験でやらかす
特撮番組に合わせてABCパート三話で一放送にしようとしたんですが、難しいです。
特にBパートが長い。
そしてCパートが短い。
巨大化変身英雄も三分できめるし。
「次の試験やるぞ」
いつの間にかダンが戻ってきていた。
角の生えた可愛いウサギと、30センチのプルプルを両脇に抱えている。
「次は半魔物の試験だこいつらも殺せ」
抱えてた半魔物?を降ろして、ダンが言ってくる。
「ええ、可愛いじゃん」
旋が怯む。襲ってこない動物は殺しづらい。
「ダンジョンの浅い階にはこいつらがいる。甘い事言っていると殺られるぞ」
えーでもえー。旋がためらっていると突然ウサギの唇が笑うように捲れ上がる。
牙を剥き出しにした、ウサギの先の丸い角が旋のみぞおちに入る。
「ゲホッ」
ランチがでるじゃん勿体ない。旋は思わぬ不意打ちに倒れてお腹を押さえた。すかさず旋の顔にプルプルが貼り付く。
「モガ、フガ」息ができない。思わず目も閉じてしまった。
なんだこいつら。普通に襲ってくるじゃん。立ち上がった旋は走り出す。息が続かなくなるが、動かないとウサギが攻撃してくる。それまでにプルプルをなんとかする。
走りながらプルプルを剥がそうとまさぐる。滑って掴めないが野球ボールぐらいの塊がある。
「噴!」
旋は塊を両手で挟んで潰す。プルプルが溶けて流れる。手に白いオパールのような石が残った。
ウサギはどこだ?
結構壁際まで走っていた旋が探すと、広場の中央で足で体を掻いているウサギがいた。嘗められている。
逃がさないように忍びよるが、そんな必要はなかった。旋が近づくと牙を剥いて跳ねてくる。
「よくきたじゃん」
旋は跳んできたウサギをキャッチする。
跳んできた勢いを利用してそのままウサギを地面に降ろし、右膝で体を押さえる。
「ごめんね。もうすぐ楽になるじゃん」
両手でウサギの首を絞める。
「ほら、もう少しの辛抱じゃん」
旋は、せめて安らかにウサギが逝くように優しく話しかける。
だんだん動かなくなったウサギが白いオパールと角に変わる。
「あー。こういうのはちょっと後味悪いじゃん」
石と角を拾って旋が両手を振りながら男二人のところに戻る。
なぜかカールが震えている。
「最終テストは対人なんだが、少し休むか?」
ダンが聞いてくる。
「いい。さっさっと始めるじゃん」
「相手はカールだ」
ダンがカールの肩を叩く。
「ええっ。ダンの兄貴じゃないっすか?」
カールがあわてる。
「いつもお前だろ。さっさと武器を取ってこい」
ダンがカールを武器の入った箱の方に押す。
「お前もなんか持った方がいいぞ。カールはああ見えて結構やるから」
ダンが忠告してくる。
「一回しか試験できないの?」
旋はダンに聞いてみた。
「いや、一回の試験で三回挑戦できる」
そうなのか。じゃまずは素手でと考えて旋は首を振る。いやいけない。本当の戦いは一回限り。旋は気合いを入れ直す。
「ねー。まだっすかー。早く決めるっすよー」
焦れたカールが広場の中央で、剣を立ててしゃがんでいる。もう十分ぐらい旋は武器を選ぶふりをしていた。
やっと棍棒を持って、旋はカールの待つ中央にゆっくり歩く。
「結局、棍棒すか?最初に振ってたじゃないすか」
カールはいい感じに仕上がっている。
「無駄口を叩くな集中しろ」
ダンが余計な事をカールに言う。
せっかく仕上げたんだから黙っててほしいじゃんと思いながら、旋がカールの全身を見る。
「始め!」
ダンの掛け声とともに旋は棍棒を落とす。
「え、なにやって・・・」
いいかけたカールの顔に、拾っておいた土を投げつける。
「わ、ちょほおおおぉぉう」
カールは倒れた。股間を押さえてピクピクしている。
「とどめ!」
さらに追撃しようとする旋をダンが止める。
「やめやめ!もう刺さってる。とどめ刺さってる!」
落ち着きを放り出してダンが慌てて旋を止める。
「カールがやられた。頼む」
ダンが窓口に声をかけるとお姉さんが出てきた。
「珍しいですね」
おっとり言ったお姉さんがカールを見る。
「それでどこを怪我したんです?」
「股間だ」
ダンが落ち着いた声で言う。
「はい?」
お姉さんが首をかしげる。
「だから股間。コイツが蹴りあげた」
ダンが旋を見る。
「ほっといても大丈夫ですよ。潰す前に止められましたから」
旋が恐ろしい事を言い放つ。
「グッジョブ俺。よく止めた」
ダンが何が呟いている。
「はあ。よくわかりませんが、癒しはいらないのですね?」
お姉さんが聞いてくる。
「はい。寝かせときゃ治ります」
旋が言い切る。
「そうなのね」
お姉さんが窓口に戻っていく。
「ひどいなお前」
ダンが信じちゃいけない物を見る目で旋を見てくる。
「戦いは冷静に。焦りも油断も禁物じゃん」
「ああ。武器を選ぶのに時間をかけたのも、わざとか」
ダンがあきれている。
「で、実技試験はどうなったじゃん?早くダンジョン行きたいんだけど」
旋は一番聞きたい事を聞いてみた。
「合格。文句ない」
ダンが紙に何か書きながら答える。
「ほれ。この紙を窓口に出せば、ダンジョンに入れる。間違っても階段を降りるな。装備、仲間なしでは間違いなく死ぬぞ。初心者の一人歩きは最初の草原までだ。本当はパーティ組まなきゃ危ない。一人歩きだと最初の草原でも油断するとすぐ死ぬ。あとこれはお前の物だ」
黒いオパールっぽい石を旋にくれる。
「最初の小鬼の魔石だ。スライムと角ウサギの石と角は持ってるな?魔石やドロップした素材は売ったり、装備を作ったり、スキルや魔法を覚えるのに必要だ。大事に使えよ?」
ダンが動かないカールを抱える。
旋は大事に渡された魔石をポケットにしまう。
「まあ、この辺の物はダンジョンに入ると飽きるほど手に入るが」
最後に余計な事を言って、ダンは去って行った。
二話も残り一話です。
なんか変な文章ですね。
一放送分のなんかいい呼び名無いかな。