2-B セン イケメンと食事する
いやっほう。やらかしました。
2-Aの前書きに続きは今日中に書きます。って書いた気になってました。
ご飯も食べずにずっと書いてました。
悔しいから全部投稿します。
「ここです。結構美味しいですよ」
着替えたドイルに連れてこられたのは、こじゃれたお店だった。
「あんまりお金ないの。お高いんではなくて」
あわよくば、おごってもらおう。旋は猫を念入りにかぶった。
「いえ、高くても銀貨二枚です。私が出したいのですが、職業上他人におごるのも、おごってもらうのも、出来ないのです。申し訳ありません」
ドイルがすまなそうに旋を見る。
はよ言え。いまさら旋は猫を脱げない。
「いえ、かまいません。入りましょう」
旋はドイルの開けてくれたドアから店に入る。
ドイルは椅子までひいてくれた。
おお、ジェントルマンじゃん。旋はできるだけおしとやかに椅子に座る。
背もたれにもたれちゃダメだっけ?懸命にマナーを思いだそうとしていた旋はドイルの言葉を聞き逃した。
「は、はい。なんですって?」
「飲み物は何にしますか?」
ドイルが優しく聞いてくる。背もたれを使わず、ピシッとした姿勢に慣れが感じられる。
そういや騎士って貴族だったじゃんと考えながら旋は水を頼む。
「では私はワインを水割りで。センさんもランチでかまいませんか?」
「はい。かまいません」
なんだ、ドイルのくせに格好いい。旋はドイルに失礼な事を考えながら返事する。
運ばれてきたのはパンとスープと焼いた肉の固まりだった。
ドイルの真似をしながら旋は食事を進める。
ドイルは話しかけてこない。食事中は話さないマナーなのか?旋が色々考えていたら最後のお茶を持ったドイルがやっと話しかけてきた。
「お口に合いましたか?」
ヤバイ。ドイルの真似と観察に気をとられて覚えて無い。思い出すと、そんなに不味くはなかったが、日本で食べたものより味が単純だった。たぶん味付けが塩とハーブだけだ。
「はい。おいしかったです」
旋は無難に答える。
「お口に合ってよかった。これからどうされますか?よろしければお送りしますよ?」
ドイルが親切に言ってくれる。
「ダンジョンにいきたいんですの」
「ダンジョン?貴方が?」
ドイルが驚く。
「はい。おかしいですか?」
ヤベ。変な事いったか?旋は内心焦ってドイルに聞く。
「ダンジョンは基本職の無い人が最後に行ところです。まあ、若い連中が成功者や歌の主人公に憧れて行くこともありますが。あまり女の子一人で行くところでは無いですよ?」
ドイルが丁寧に説明してくれる。
「ちょっと訳がありまして、あるスキルをとらなくてはいけませんの」
物理ダメージ耐性がないと地球に戻った時つぶれたミカンだ。
「訳があるのですね」
呟いたドイルが心配そうに旋を見る。
「深くは聞きません。ではダンジョン管理処にご案内します」
旋とドイルはお店を出た。
お勘定はやっぱり別だった。
「あれ、ドイルさんどうしたんですか?」
ダンジョン管理処の前にくると、ちょうどヤマーと部屋に駆け込んできた若い男が出てきた。
「この人を送ってきたんだ。ホムヅは例の件か?」
ちょっと待って下さいとヤマーに断ってドイルは旋に向き直る。
「ここがダンジョン管理処です。ダンジョンに入る者には元犯罪者やスレスレのやつもいます。気をつけて下さい」
旋に忠告してドイルはヤマーと少年、たぶんホムヅ?と戻るようだ。
「いろいろありがとうございます」
旋はドイルにお礼を言ってダンジョン管理処に入る。すぐ出る。ドイル達の言っていた例の件が気になる。
ドイル達三人は出てきた旋に気がつかない。話しながら遠ざかって行く。
「あの人、道で倒れてた人ですか?」
「あの後、門で暴れて捕まったんだよ」
「男五人相手に大暴れ。しかも三人倒して無傷だ」
「ええ?凄いですね!」
「なあ。女は見かけによらないよな。ホムヅも気をつけろよ?まあ、あの嬢ちゃんの見かけなら不思議じゃないけどな。ハッハッハ」
「失礼ですよヤマーさん」
「そうですよ。胸無いの気にしてたじゃいですか」
例の件の話は聞けなかった。ヤマー、ホムヅ、ギルティポイント1。
本人のしらない罪を数えて、旋は今度は本当にダンジョン管理処に入った。