最強の胸板
「Fooooooooooo!」
そこは海だった。
状況が理解できない、意味が分からない。何が起こっているのかが分からない。なぜか? それは、僕がウォータースライダーからお尻だけで滑ると言う動きを胸板だけで行っているからだ。
なので、今の僕の状態はしゃちほこのような状態になっている。上がる飛沫、潮の香り。太陽の光を目一杯受けて眩しく輝く海。
何故こうなったのか数分前を振り替えってみよう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
海から目を開けて数分たった。だが未だに進展がない。目を開けてから少し考えて見たが何も分からなかった。分かったのは胸板が強いと言うことだ。 この海に来た理由? 分からない、あの時暗闇に落ちてから瞬間移動したのか? そもそもここは現実なのか? あの紙に書いてあったアホの世界とはなんなのか。
(ともかく、胸板が謎の浮力をもって辛うじて浮いているから、このまま助けを待とう。)
そんな事を思ってしばらくして、背中側から違和感を感じ、すぐに安全な胸板を違和感の方向に向ける。やはり僕の胸板には安心感を覚える。
そんなこんなしていて、数十秒たってから海底から黒い影が見えてきた。
(マグロか? 嫌、それにしては小さ過ぎる)
グイッ
黒い影は一気にこちらに近づき、僕の体を持ち上げた。そして、少し後ろに溜めを入れて
「!?」
「エイヤァ!」
吹っ飛ばした。
◇◆◇◆◇◆◇◆
と言う事で今の状況に至る。未だに陸は見えない。数分間胸板で滑っているが、胸板には何の痛みも感じない。
また、しばらくしていると、黒い影が前方に見えてきた、近づいていくごとに危険を感じる。このままでは数十分前の二の舞だと。
だがしかし、方向を変えることもできず黒い影が僕の体をがっしりと掴むそして、後ろに溜めを入れて、前方に吹き飛ばす!
勢いをましていく潮の飛沫、香り。変わったのは勢いが増したことだけ。
(この体勢も疲れたんだけどなぁ。)
今度掴まれたら抵抗こそはしようと決意したが、掴まれる前提で考える自分に嫌気がさした。
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