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プロローグ
「まてー!」
ヤバい、と心の中で呟きながら走り抜けていく。もう息は上がっており、足の回転率も下がってきた。頬に当たる風は俺に厳しく、皮膚を引っ張っていく。
後ろを振り替えって見ても誰もいない。ここは町の賑わっているメインストリートなのに? 答えは、僕よりも前方にこのメインストリートの人たちが走っているからだ。
本来なら僕の頬をかするはずの風が、その人達によって風の量がもっと増して。皮膚が引きちぎられそうなほどに強い風となっている。
さらにこのメインストリートは水平線の向こうまで続いており、もうあの人達は見えなくなるレベルのとこまで走り抜けている。
「このままだとヤバいかなぁ」
呟いた一秒の間にもう足音が後方に聞こえる。
やはりハズレのこの世界は厳しいみたいだ。