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第二十七話「とある勇者の異世界への帰還」②

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 現在、2chRead 対策で本作品「とある勇者だったおっさんの後日談」においては、

 部分的に本文と後書きを入れ替えると言う対策を実施しております。

 読者の方々には、大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解の程よろしくお願いします。 

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 それから……。

 

 転移先はガウロン神殿と聞いていたのだが、実際転移したのはレディスレデュアの外縁部、ドロワの森と呼ばれる要するにジャングルの真っ只中だった。

 

 もっとも、空を飛べるアルマリア。

 ジャングルだろうが、自在に駆け抜けれるリネリア。

 

 この二人がいれば、未開のジャングルを踏破するなんて造作も無いことだった。

 

 ……加奈子嬢は、グレートな虫共やサウナのような湿気と熱気、ワイルド過ぎる環境に涙目になってたけどな。

 人間サイズのナメクジとか、自動車サイズのダンゴムシとか、初見のそれも女子にはキツいわな……。


 そして……王都での懐かしい人々との再会。

 

 勇者三姉妹の無事とその帰還も一大ニュースだったのだけど、まさかの俺の同伴!

 もうレディスレデュアの王都は、蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。

 

 様々な悲喜交交があり、俺はレティシア陛下に日本政府からの土産物やら信書を渡したり、この世界の危機もきっちり伝えた。

 

 ……その結果、俺は一日町長みたいなノリで、レディスレデュアの国王に任ぜられる事となる。


 この辺は、レティシア陛下がそりゃもうノリノリで「もう決定!」ってなノリで誰からの反対もなく決められてしまった。

 元々、強制送還がなければ、そうするつもりだったらしいので、何の問題もなかった。

 

 嫁達も一切反対なし……。


 次期国王にして、俺の息子だと言うロナン少年が一人前になるまでの期間限定、かつ名ばかり国王で良いならって事で、引き受けた……。

 

 その日、レディスレデュアは夜を徹してのお祭り騒ぎになったのは、言うまでもなかった。


 それから、加奈子嬢や娘達と共に、レディスレデュアと日本を往復する毎日が始まった。

 

 日本の笹川さん達は、代表として送り出したつもりが異世界の国の王様になって、俺が戻ってきたことで、理解が追いつかないと言った調子だったのだけど。

 

 魔王国以外の国々との交渉ルートを切望していただけに、俺達の待遇はめちゃくちゃ良くなった。

 曲がりなりにも一国の代表を粗末に扱うなんて、とんでもないと言うことで……。


 帝都の豪邸へ引っ越しを……なんて言われたり、ダース単位のSPが付きそうになったりしたけれど。


 俺は俺で、今の味のある日本家屋の家が気に入っていたし、娘達も同様。

 何より、転移門と目鼻の距離と言うのは、好都合だったので、どれも辞退させていただいた。


 護衛も、娘達が十分強いし、加奈子嬢なんてチートもいいとこだしな。


 もっとも死ぬほど忙しくなりそうだったので、商売やら政治の話は適当なとこで、笹川さん達やレディスレデュアのやり手商人や文官連中に丸投げした。

 

 異世界間の物や情報のやり取りについても、魔王国とT&T社の実例があるとかで、向こう側にベースキャンプを設営し、電話回線を繋げてFAXでピーヒョロとかやって、ゲートも固定化した上で、無人車両を行き来させて、それなりに上手くやってるようだった。

 

 けど、ぶっちゃけ、俺はそんな事にかまけてるほど暇じゃなかった。

 

 レディスレデュアでやる事は山積み。

 周辺国や魔王国とも話し合い……来るべき日に備えて、挙国一致の体制を整えることに、奔走することになる。

 

 結論から言えば、魔王国との話し合いは予想以上にすんなり終わった。

 

 これは、田中さんの力添えがあったのもあるのだけど。

 魔王国の代表、パルルマーシュが、俺にやたらと好意的だったのが大きかった。

 

 彼女は、軍権は一切持たないのだが、数だけなら魔王国の人口のかなりの割合を占めるゴブリン族の女王でもあり、魔王国の実質上の内政の長みたいなものだった。

 

 どう言うわけでそうなったのかは、良く解らないが……パルル様、もう会うなり好感度MAXみたいな感じ。

 初対面から、乙女モード全開でデレッデレ! 

 

 ヨミコも似たようなことを言っていたのだけど、なんで俺は子供にモテるのかねぇ……。

 他の魔族連中も意外と好意的。

 

 一番の跳ねっ返り共と言える武闘派の魔族が、シャーロット達がこっちに来る前にあった戦いで、軒並み居なくなってしまった上に……。

 アサツキ達との戦いで、素手で地竜を倒したり、武勇誉れ高いアサツキを一騎打ちで屈服させた事などが、色々尾ひれはひれ付いて、魔王国にも伝わっていて、畏怖と共に俺の名が語り継がれていたのも大きかった。

 

 けれど、俺はかつての仇敵とも言える存在で、人族の国々も何百年にも渡って争い続け、禍根だって残りまくり……。

 和平ですら奇跡的な状況で、これをどう処理するのかと思ったら……。

 

「猛部様、わたくしと結婚してくださいまし!」

 

 パルルマーシュから、そんな斜め上の台詞が出てきたのだから、俺ももはや開いた口が塞がらなかった。

 

 ……パルル様は、田中魔王様と魔王十二貴子から、次期魔王の推挙を正式に受けていたのだが。

 その上で、やらかしてくれたのは、成り行きながらも人族側の代表になってしまった俺との婚約発表ッ!

 

 俺、何も言ってないのに、気がついたらこうなった! 何故だ?

 

 けれども、魔王国の次期魔王と、かつての人族の英雄にして、レディスレデュア国王たる俺が夫婦となる。

 誰も予想だにしなかったそれは、思いのほかすんなりと受け入れられてしまった。

 

 パルル様の説明によると、要するに、これは政略結婚……。

 異なる国同士を、平和裏に強固に結びつけるために、古来から使われてきた手段ではあるんだが……。

 

 レティシア陛下や他の嫁達も反対するかと思ったら、涼しい顔。

 むしろ、レティシア陛下はその手があったって、手放しで大絶賛!


 ……こいつらには、家族に嫉妬するような習慣はなかった。


 そうなんだよな……そう言うお国柄なんだよ。

 

 嫁が多ければ多いほど、その旦那はエライ。

 嫁に立場の高いものが加わるならば、全員のステータスが向上する事になるので、むしろ歓迎!


 一国家の元首が嫁に加わろうものならば、その国丸ごとが事実上旦那のものになる……反対する理由なんかなかった。


 ……まさに文化が違うとしか言いようがないのだが。

 魔王国と人族側の対立問題は、この政略結婚で恐ろしく簡単に解決してしまった。

 

 田中さんが送ってきた祝辞を述べるビデオレターでは、ガチ泣きしている様子が映っていたのだけど。


 あくまで政略結婚なんだから、その辺解ってますよね?


 あと、本人の強い希望とやらで、ヨミコもおまけで付いてきた。

 やったね! 嫁をもらったら、もうひとり! これぞまさにダブル役満?

 

 アサツキのヤツ……もし、断ったらお前を殺す! とか割とマジだったんで、とても断れなかった……。


 祥子もそう言う事なら、自分も! と名乗りをあげるし、他の人族の国やら有力商人からも嫁候補が続々と……。


 だから……俺はもう考えるのを止めることにしたんだ。

 そしたら、少しだけ気楽になったんだ……。

 

 あ、一応言っときますけど、誰一人として手出しとかしてないしー!

 

 パルル様本人は、割とそのつもりだったらしいのだけど、俺の側には加奈子嬢や娘達が常に張り付いていて、断念したらしかった。

 パルル様は……15歳と割と年長らしいのだけど、小学生並みの背丈のチンチクリン。

 それでいて、意外とナイスボディと言うよく判らん娘なのだけど……いやいやいや。

 そのうち……と言うことで!


 ちなみに、レティシア姫とか思い切り夜這いされたけど、ものの見事に他の嫁さん連中とバッティング。

 なんか、誰が一番に……みたいな争いしてたんだが……俺、寝てたから解んない。

 

 俺、知ーらないっ! リネリア抱きまくらがあれば、俺は十分なのだ!

 

 そんなすったもんだもありながら……。

 伝えられていた3ヶ月の準備期間はあっと言う間に過ぎ去っていった。

 

 そして、いよいよ、その日がやってくる事となった。

 

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