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spoiler~ネタバレ~
白いビニールテープで作られた10メートル程の正方形
中央にはバツ印、そこから1メートル強の等間隔で2本の開始線が貼られている。
機械的に礼、蹲踞を済ませてお互いが線の前で構える
お互いの竹刀の先が触れるか触れないかの一刀一足の間合
主審が合図をかけ、まもなく飛び交う剥き出しの叫声
打てば響く木造の道場の中、やたら繰返す木霊が肚の底を揺さぶり尽くす。
半分意識が持っていかれ、半分の感覚で構えを直し、声を張る。
長年の癖による後退りたくなる衝動を抑え、相手に対して先の取り合いを始める。
毎度のことながら試合とは関係のない自分への不甲斐なさに腹を立てる。
この癖が今後無くなるのかどうかはわからない。
けれど、自分は分かっているんだ。今のこの試合の展開がどうなるか。
ひいては最終的に勝敗がどうなるか。自分には分かっているんだ。