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第三十三話 会話回

 何度目かの変化を起こした魔王。すでに原型は留めておらず、その意思も揺らぎ始めて、彼の過去や気持ちのようなものが漏れ出してくる。


 

 彼の世界は、何度も何度も何度も創造主の思い付きで消されてきた。


「思い通りに出来なかった、消すか……」


 こうして魔王の世界は消された。


「うっわ、災害起きた……めんどくせ、消してやりなおそっと」


 いとも簡単な理由で……


「うーん、なんか違うな、消そう」


 世界なんて、簡単に消されるんだ。


「初期立地最悪、消そ」


 それならば、そんなことで消されるなら、世界など生まれなければいいんだ。

 ならば私が飲み込もう、世界のすべてを、そして、二度と同じことが繰り返されないようにしよう……



 なんていうか、なかなか耳が痛いこともあるなぁ……

 一方的に魔王の考え方を否定できなくなってしまった自分がいる。


「わからなくもないけど、その世界で満足して生きている人だっているんだからさぁ……」


【ワカッテイルサ、それでも、不条理にケサレタ側の声だって、上げたってイイダロウ?】


「……そうだね……」


 激しい戦いは続いている。スライムのように変化して周囲を食らい続けている魔王と私は、戦いながら会話をしている。


【幸せな暮らしをしている者がいるから、ケサレタ者は黙ってケサレロというのか?】


「ん~~~難しい問題だとは思うけど、少なくとも解決方法が間違っていると思う。ケサレタ者だからほかの世界を消していいの?」


【これ以上不幸な世界を産みださないように全てを消すという結論は一定の効果があると思うのだが】


「本来生み出される世界で幸せになれたはずのたくさんの存在も消しちゃうよ?」


【幸せになれるものはいい、しかし、不幸になる者はどうするんだ?】


「全員が幸せにニコニコと暮らしていけるのは理想だけど、現実は、幸せな者も不幸な者もいる。世界を創造主に消された者と、あなたに食われた者、どんな違いがあるの?」


【……それでは聖女はこれからも消されるためだけに生み出される世界を見捨てろというのか?】


「だから、やり方を変えたら? 例えば世界は消されるんじゃなくて、自由を得るシステムにしたりとか」


【創造主たちは永遠ともいえる時間がありながらそのような手段は取らなかった、そんな方法は存在しない。存在しない物を議論しても仕方がない】


「なければ作ればいい。全部なかったことにするんじゃなくて、もっと良いものに変えていけばいい」


【そんな絵空事、信じるわけにはいかない】


「絵空事じゃ無くすればいいよね?」


 世界を作る創造主という存在がいる。私をここへといざなったのもそういった存在だろう。

 想像が出来れば、現実に出来る。それが私の力だ。

 

『無茶苦茶だな君は……』


 ほらね!


「見ていたし、聞いてましたよね?」


『ああ、なるほどね。そういう仕組みだったのかと感心していた。君に任せてよかったよ』


【……まさか本当に?】


『初めまして魔王。この世界の創造主だよ。数多いる創造主の一人でしかないけど、こっちの世界で行動が出来るという点ではそこにいる聖女の言っていることを実現したといっていい』


【しかし、いくら一人の創造主が考えを変えても数限りない創造主がいる。今後消される世界は生み出され続ける】


「それはずるくない? できないならできるようにすればいい、そして今、出来なかったことを出来るようにした。貴方が世界を食らいつくすという方法が最善でないことは照明したわよ」


【……そうだな……しかし……】


『確かに、今まで考えたこともなかった消滅した世界の意志というものを我々は知ることが出来た。少なくとも、この事実を知れば今まで躊躇なく世界を消していた我らの中でも変化は起こると思う。創造主なんて言ってるが、思考はあまり君たちと差はないよ。鬼でも悪魔でもない』


「たぶんだけど、貴方は変わり者よね?」


『ああ、そうだろうね。たまたま僕の世界に魔王が来ていたから代表で話してるだけだけど、まぁ変わり者さ。でもね、僕の世界を舞台にするために、世界を作るシステムの中枢にパイプがあるというのは二人にとって幸運だろうね』


「つまり、仕様変更への近道を引き当てたってことよね?」


『すでに先方には連絡して、このやり取りだってモニターされてると思うよ』


【俺を消しても無駄だぞ。俺はどこにでもいるし、どこにもいない】


「え……そうなの? もしかして私頑張ったところで倒せなかった?」


【この世界からはいなくなるだろうが、またどこかの世界に現れるだけだ】


「いたちごっこに巻き込まれる羽目になっていたのね。やっぱり対話って大事ね」


『これだけ派手に戦いながら対話もないでしょ』


「魔王が攻撃の手を緩めないから……」


【もうあの体は無意識だ、敵対する存在を反射的に攻撃しているだけだ。止めるには完全に消失させるしかない】


「めんどくさい身体してるなぁ……」


【お前の能力のほうがめんどくさかったぞ。何だあれは、しかし、食った世界も残っているんだな……】


 あ、今のホッとした表情はなかなかにぐっと来た。

 ちゃんとしてると魔王はどしゃしこイケメンなんだよなぁ……


『ともかく、魔王君。話し合いのテーブルにつくってことでいいかな?』


【……気に入らなければまた食うぞ】


『そういう仕様にしておいた方が、簡単に世界を消す者が減っていいのかもしれないな』


「ほんとに変わってるんですね」


『君の元の世界の創造主のほうが変わり者だぞ』


「へー、そうなんですか」


『何も手を出さず、ただただ加速することもなくじーーーーっと一つの世界だけを見続けている。間違いなく変態だよ、悪い意味ではないけどね』


【で、どうすればいいんだ?】


『とりあえず、その意識はどこでも現れるんだよね? 場を作らせるよ。って……出来たらしい。仕事速いな。それじゃあ魔王君はそこにいこう、聖女様、ありがとね。その世界にいる魔王倒したら帰れるようにしておくね、じゃ!』


「軽っ! 一応世界を救った系なのに、軽っ!」


 さて、魔王(中身なし)との戦闘も佳境に入っている。

 魔王の想いは魔王自身で創造主さんたちと何とかしてもらうとして、私も私で、自分のやることを終わらせてしまおう!


 

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