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第三十話 別ゲー

 第二世代型対魔王最終決戦用超弩級万能戦艦スワムホースの前に空間のゆがみが生じている。

 空にまるですべてを吸い込みそうな穴が開いている。


「ここが、魔王の出現ポイントそして前勇者が築いた閉鎖空間への入り口……」


 穴からあふれ出す雫が、魔王島と呼ばれる前人未到の島へと落ちていく、そこで魔物たちが生まれている。

 魔王から漏れ出す魔力の塊から魔物が生まれているのだ。

 周囲の海流があまりにも激しく人が近づくことが出来ないこの島から、魔物たちは世界の脅威になるべく旅立っていく。


「すごいですね、島の動いている影全てが魔物なんですね……」


 モニターに映るうぞうぞと動く点。フユが言う通りその一つ一つがすべて魔物だ。

 しかも、はるか上空から見ているからゴマ粒以下の大きさだけど、その強さは一体で歴戦のパーティを手こずらせるほどだという。


「あれが魔王復活とともに一気に我らの世界に……」


「あの数じゃぁ抵抗しても……」


「とんでもない量やわー」


「対魔物殲滅兵器第6世代型天使系兵器を投下します」


「殲滅兵器……物騒な名前ですね」


「あれってマキさんが好きだったWガ○ダム……」


「いいえ、兵器です。実際のキャラには一切関係ありません」


「でも、あのデザイン」


「問答無用出撃せよウイング!!」


『任務了解』


「いや、いまウイングって、しかも返事が!」


「シャラップ!! ナツ、その口ふさがれたいの?」


 それから次々と私の趣味前回のモビルス、ゲフンゲフン、対魔物兵器を投下する。

 魔力供給式のツインバスターライフルはかっこええなぁ……

 まるでゴミのように魔物を駆逐しておる。


「よーし、それじゃぁ! 敵の本陣へ突っ込もうか!!」


「おおお!!」


 皆もね、細かいことは気にしないほうがいいと気が付いてくれたみたい。

 今は正面の穴の先にいる魔王を倒さないと。


「次元間航行ホール作成、目標魔王のいる世界」


『次元間航行ホール作成準備、エネルギー充填開始。

 充填率20%、40%、60%、80% 次元間航行準備完了。総員隊ショック体勢をお願いします』


「全速前進!!」


『次元間航行へシフトします』


 前方への急激な加速、そして次元の隙間をこじ開け固定する入口が作られる。

 その入り口に向かってスワムホースは突っ込んでいく!


「か~~~! きっもちいいな~~!!

 一度でいいからこういうの言って見たかったんだ!!」


「ほんとに楽しそうでなによりだよマキさんは……」


「もう、なにがなんだか……」


「まさにファンタジーな世界ですね~おおっと!」


 艦体が激しく振動する。どうやら先の次元へと飛び出すみたいだ。


「みんな気をつけてね!!」


 艦首のモニターに激しくゆがむ空間が映し出され、そこをスワムホースがこじ開ける。

 出口部分のほうがゆがみが強い、勇者の作った閉鎖空間がいかに強固かを示しているように感じた。


「ああ、こんな妄想を出来る今日と言う日に感謝を」


 日常の仕事しているときはもちろん、ゲームしててもマンガ読んでてもアニメを見てても、こんな妄想はっきりと口にしたらやばい奴だが、ここでなら、この世界なら何でも許される!


 私の中での何かが外れる音がした。


「ぶちぬけぇ!! スワムホース!!」


『はい、マスター!』


「フユ! その目の前に出てきたレバーを思いっきり倒して!」


「は、はい!」


「皆も、役割ロール伝えるからしっかりとね」


「はい!!」


「マキ艦長! 出力120%! このままだとエンジンが持ちません!」


 いいよーナギ、すごくいいよー。


「補助機関をすべて推進力に回せ! 艦内の環境維持をスリープレベルまで下げろ!」


「それでは内部の防御が!」


「この異次元のはざまで艦内に侵入してくる奴なんていない!

 今ここをぶち破れなければ次元の狭間に消えるぞ!」


「艦長!! ……主砲、準備できています!」


「さすがだナツ、ありったけのエネルギーをあの隙間に叩きこめーーー!!」


「主砲、はっしゃ!!」


 やっぱり主砲の操作はトリガー式に限る。

 前方のひずみにスワムホース自慢の主砲が撃ち込まれ巨大な穴となる。


「今だぁ!! 突っ込めぇ!!」


「了解!」


 その穴にスワムホースの艦首をねじ込む。

 しかし、強固な結界がなかなかスワムホースを前に進めてくれない。


「防御術式を展開! わざと結界上で破壊させろ!」


「イエスマム!!」


「結界の一部に亀裂が! 防御結界続けて艦隊側に展開、やってくださいフユ!」


「オーバーブースト点火!!」


 フユがコンソールを叩きつけると各種メーターが一気にレッドゾーンへと突入する。


 そのメーターが何を意味するのかは誰も知らない。気分だ気分。


「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」



 とうとうスワムホースの巨影が穴を突破する……


「ここが……閉鎖空間……」


「船外の圧力は50気圧を超えています。我々が外に出れば一瞬でつぶれます」


「諸君、ご苦労だった。取りあえず魔王の足元まではたどり着けた……」


「か、艦長……、この、周囲の壁、地面、天井……すべて魔物で満たされています!!」


「ば、バカな! この環境に耐える魔物だと!?」


「スワムホース、対魔物兵器はこの環境で運用可能か?」


『お答えします。前兵器に防御結界を展開する能力があります。

 この環境下でも問題なく活動ができます。その代わり、個々の性能は17%程低下します』


「十分だ。いざというときに備えて、残りの兵器を艦の護衛に出す」


『了解しました。艦との距離が近く防御結界内であれば性能低下は起きません』


「上々だ」


 次々と護衛のガン○ムがスワムホース艦上に現れる。


「魔王はこの空間の最奥にいる。我々はこの苦難を超えないといけない。

 魔王を私たちの世界まで出させてしまったら私たちの負け、この世界で亡ぼせば勝ち。

 単純明快でいいね。それじゃぁ、最後の戦いに向かおうか!!

 微速前進!!」


「マキっち! 敵に動きが!!」


「どうやら奴ら、融合して俺たちのとこまで来れる存在に進化してるみたいだぜ」


「そうか、それをわざわざ待ってやる必要はないな……

 対魔物戦準備!! 全砲門開け!! やつらに風穴を開けてやれ!!」


「全砲門展開! ありったけの銃弾とミサイルを食らえ!!」


 まるでハリネズミのように大量の砲身がせり出してくる。

 魔力砲と実弾兵器が光の線を描いて発射される。


 最後の戦い開始の狼煙のようだった。

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