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第二十一話 ダンジョンというのはもっとあれかと……

 とうとうダンジョンへと侵入した。

 最深部へのアタックということでサポートパーティも着いている。

 普通と違うのは本来最前線で戦うパーティは複数が交代制で受け持つが、全て私達が行い、それ以外のパーティは物資管理や私達が休む際のサポートに限られる。

 それでも全国から指折りの冒険者が集まってくれていた。

 もちろん跳ねっ返りの曲がりなりにも自信のある上位パーティも居たが、私達の戦いを見ると皆サポートに徹することを受け入れてくれた。

 女神の加護を受けた特別なパーティというのを、この際最大限に利用させてもらう。


「それにしても、こんなにも速いダンジョン攻略ははじめてだ」


 ベテラン冒険者であるハルもびっくりの速度でどんどんダンジョン深部へと侵入していく。

 モンスター達は私達であっという間に蹴散らすし、リッカ、トウジ、ナギが交代で洞窟内を明るく照らすためにまるで外を歩いているのと変わらない。

 襲われるデメリットを無視した光源の効果に追従していた冒険者たちも驚いていた。

 もちろん次々と現れるモンスターを木っ端のように倒せるならではの方法にはなる。


「ハル殿そちらへ行きました!」


「任せとけ!」


「よーし私も負けないぞー!」


「くっそ、三人で楽しそうに! オレも負けてらんねー!」


「ウチは楽でええわー」


「そうですねー」


 前衛陣が大はしゃぎして、たまに逃れた敵をアキが弓で倒していく。

 魔法使い三人はのんびり照明係と魔法による補助をする。

 それだけでモンスターはバッタバッタとなぎ倒されていくんだから、私達も強くなった!


「デタラメだな……」


「はっはっは、そう言うな。全ては聖女様のお力だ」


 休憩中、フユと楽しそうに話しているのは冒険者のバレッツさん。

 凄腕の冒険者で、フユとこのダンジョンの最深記録に到達したメンバーだそうだ。

 私達の戦い方を見て何度もため息を付いていた。

 ちょっと失礼だけどフユが仕方がないんだ許してくれって代わりに謝ってくれた。

 やっぱり私達のでたらめな能力は、血の滲むような努力をしてきた人達にとってはちょっとアレのようです。申し訳ない……


 それでも冒険者の皆さんは自分たちの仕事をきっちりこなしてくれて、私達のパーティは安心してダンジョンを進むことだけに集中できた。

 その結果、あっという間に現行の最深部記録である74階層へと到達する。


「あの時はここで大型種に出会ってしまって撤退をしたが……

 あなた達なら問題ありませんね」


 すでに大型種は何体か倒している。

 その姿にバレッツさんは自身の感情がただの嫉妬で、嫉妬する気も失せたと言って敬意を持って接してくれている。

 今では皆と混じって武芸の稽古に参加してくれている。

 経験則からくる動きや対応策は非常にためになる。一度見せるとすぐ物にするから相手をしたくないとまで言われてもしつこく食い下がって相手をしてもらっている。

 

「強くなるのって……楽しい……ふひ」


 頭のなかでやばいものが出ている気がする。

 最深部記録は驚くほどあっさり、普通に突破された。


「……もう驚くのにも疲れたな」


 その後も快進撃はとどまるところを知らない。

 冒険者にとって鬼門である霊体系の魔物も女神の力を受けている皆の敵じゃない。

 強力な霊体系、死霊系の敵と戦って気がついたことがある。


「精神操作系魔法や阻害魔法が全て無効になってるな……」


『我ら聖獣との繋がりの出来た者に操作系の魔法など効かぬ』


 ラスボスのいるラストダンジョンで中ボス的なモンスターが守っている宝箱で一個しか手にはいらないような全防御耐性を持っている防具を最初から全員装備しているようなもんだ。


「お? なんだかこの階は雰囲気が違うな、今までみたいに中ボスの階層かな?」


 111階層へ降り立つとダンジョン内の雰囲気がガラリと変わった。

 文字通り洞窟の内部のような構造から、人工物を思わせるような切り出した壁に床、天井。

 ぼんやりと壁や天井が発行しており、神秘的な空間になっている。

 壁面には見事な装飾が施されている部位もあり、同行している冒険者たちの興奮は凄かった。


「こ、これは歴史的な発見ですよ! いったい何年前のものなのか、それでいって劣化もしていない!

 素晴らしいですよ!!」


 今までは寡黙にサポートしていた魔法使いの方やプリーストの方々が興奮していて少し怖い。


「普通に考えれば、ボスの部屋だ。みんなより一層気をつけろ!」


 いくつかの階層でも雰囲気が異なるボス階と言うものがあった。

 基本的にはザコ敵はおらず、強力なボスが待ち構えている。

 ボス宝箱からは貴重なものも出るらしくて、倒せれば非常に得るものが大きい階だ。


「こんな深い階層でのボスからの宝物とは想像もできませんね」


「ふひひ、笑いが止まりませんな」


 フユとアキが何やら取らぬ狸の皮算用でそろばんを弾いている。

 

「みんな、気をつけろ!」


 そんな緩みにハルが鋭い声をかける。

 一直線の通路を歩いていたが、突然背後で扉が閉まってしまった。

 同時に左右の扉が左右へと広がり天井部分が開いていく。


「な、何だありゃ……」


「コレがダンジョンの守り主?」


「ロボットじゃん!!」


 巨大なロボットが天井から降りてくる。

 

「ご、ゴーレムなんだろうけど……デザインが……」


 なんというか、小さい頃に見た戦隊モノの巨大ロボットにしか見えない。

 少し、センスが古めだ。


『よくぞここまで来たな。

 勇者の残した物を手にしたくば、勇者より生み出された我を倒し、力を示せ!!』


 勇者は地球、しかも日本出身でだいぶ年上。

 私の中で決定した。


「後方の支援部隊とは遮断されたが、きっと倒せばもとに戻るだろう。行くぞ!」


「でかいけど、オレに触れられるかな?」


「ゴーレムですか、魔法は選ばないといけませんね」


「みんな、援護するよ」


「うーん、素敵なお姿ですねーできれば家に連れて帰りたいでーす」


「確かに解体して売ったらいくらになるんやろ……」


「その巨体、相手にとって不足なし!」


 みんなやる気満々だ!


「よーし、みんな頑張っていこうねー!」


 私の号令を皮切りに前衛部隊が一気にロボへと飛び込んでいく。

 ナギとリッカの強化魔法を受けて身体が輝く。

 

「喰らえ!!」


 ナツが一瞬で背後に周り、死角から斬りつける。


 キーン


 甲高い金属音が鳴り響き、カランカランとナツの短剣の先が地面に転がる。


「ば、馬鹿な……」


「ナツ!! ボーっとするな!!」


 ゴーレムの巨体からは信じられないケリが寸分違わず背後に居るナツを襲う。 

 ハルは瞬時に間に入り込みケリを剣で受ける。


「ぐおっ!! 重い!!」


 ハルとナツはなんとか直撃を避けたが、ゴーレムの力を流しきれずに背後の壁まで吹き飛ばされてしまう。


「すまねぇ!」


 ナツがすぐに空中で大勢を立て直し、ハルを抱えて壁に着地する。

 高速で叩きつけられた勢いを流すように音もなく壁面に立つナツ。

 ハルは地面に降り立つとそのままゴーレムへと一直線にかけていく。

 その間にも私とフユで攻撃しているが、異常なほど固い表面に弾かれてしまっている。

 攻撃は非常に重く、受けるよりも躱さないとダメージを受けそうだ。


「もしかして~~」


 アキは懐から一本の矢を取り出してゴーレムへと放つ。

 

 ガキン


 甲高い金属音はしたが、表面で弾かれることはなく、ほんの少し先が刺さっている。


「あのゴーレム、あっほやろ!

 全身アダマンタイト製やで!!」


 私はよくわからなかったが、この世界においてとんでもない強度を誇る、半ば伝説の金属がアダマンタイト、それが巨大なゴーレム全身をかたどっている。

 でたらめなゴーレムであることをアキちゃんが説明してくれた。


「アキちゃんアダマンタイトの武器とか無いの?」


「あるわけ無いやろ!!

 あるとすれば国宝級やで!」


「くそっ! 槍がもたないぞ!」


「アダマンタイトを斬るなんて、同じアダマンタイトか伝説のオリハルコンしかないだろ!」


 アダマンタイトやオリハルコン、ゲームではおなじみだけど、実際にどんなものかわからない。

 でも、たしか、勇者の腕輪は、どんな武器も……


「みんな、下がって! 

 私がやってみる!!」


 想像するのは超美形主人公とライバルのバトルが熱く、二人の紡がれていく友情の物語に涙した腐女子も多い最後の依頼のファンタジー、主人公がライバルの死を乗り越えて手にするオリハルコンの槍!!


「いでよ!! セシ✕カイの槍、じゃなくてオーディンの槍!!」


 腕輪が輝き、一本の槍を形作る。

 三叉の美しい穂先が天を突き、美しい装飾を施された柄が輝いて見える。


「マキ……すげぇ……」


 槍を構えてゴーレムと向き合う。

 空気を切り裂き迫るかいなに槍を打ち込む。


「破山天貫!」


 バカン!

 明らかに今まで異なる音がする。

 ゴーレムの腕の先が激しく爆ぜて破片が天井に散弾のようにめり込んでいる。


「いける!!」


「くっそ、俺達は何にもできないのか……」


 ふと思いついて腕輪にオリハルコンの短剣を出すよう想ってみる。


 ポンッっと短剣が手のひらに現れる。

 槍に変化はない。

 手を離しても短剣は消えない。


 全員の視線を受けながら、気恥ずかしさに耐えてナツに短剣を渡す。二本。


「が、頑張って!」


「お、おう」


 それから、特に何の苦労もなくオリハルコン製の武器を全員に配る。

 

「さ、さすが勇者の腕輪!」


 フユの優しさが辛かった。


 こうして私たちはゴーレムに対抗できる武器を手に入れた(無尽蔵に)




 





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