第4話 遺跡
転がり落ちたせいか腰が痛い。
みんなは無事か?
痛む腰を片手で抑えながら周りを確認すると、既にライナーが大剣を手に、陸鮫が来ないかを見てくれている。
その他のみんなも頭や腕を抑えているが平気そうだ。
「なんとか危機は脱したか」
「そうね、あとはここが安全か、それとも外の方がマシかね」
カーミラが自分の銃に不具合がないかを確認している。銃は意外に繊細なものらしい。
「で、これからどうする?陸鮫は遺跡付近をグルグルずっと回ってるぞ、出てくるのを待ってるみたいだな、ったく」
ライナーがイラついた口調で外を泳ぐ陸鮫に中指をたて、挑発している。
「とりあえずこの遺跡を探索してみるしかないね、今すぐ壁に戻っても8時間ギリギリだから完全に規則違反になるけど仕方ない」
「初めての壁外調査なのについてないわね、私達」
「まぁそうネガティヴになっても仕方ないよ、僕達も好きでこんなとこにいる訳でもないし、今はみんな無事に壁の中に戻れる様、最善を尽くそうよ」
ローンの言う通りだ。今ネガティヴになっても仕方ない。気分が落ちれば士気も下がる、それは生存率にも影響する。
とりあえずこの遺跡で安全を確保し、外の陸鮫が諦めるのを待つか、8時間経っても戻って来ないパーティがいるのに気づき、捜索してくれるのを待つしかない。
周りを見てみると、部屋の半分が壊れ、砂漠に露出しているだけだ、それと奥にある階段が下に続いているのを見るとこの遺跡は地中に埋まった何からしい。大きさや構造は全くわからない。
「階段を下ってみる、どこか違う出口に繋がってるかもしれないわ」
「うちはあまり乗り気しないけどなー」
「大丈夫だろ、一度調査されてるだろうし」
ライナーの言葉聞いて転がり落ちてからずっと腕を組んで何かを考えていたローンが唇に手を軽く当てながら口を開いた。
「んーどうだろう、ここに入る前に砂の質が変わってたでしょ?白い砂から黒い砂に。あれは1つ下の層の砂だと思うんだ。それもわりと掘り返されたのはつい最近だと思う」
「なんでそう思うの?」
膝についた砂を払い落としながらラフィタが不思議そうな顔をしてローンを見ると、ローンは組んでいた腕を変え、今度は逆の手で唇を触れながら答える。
「簡単なことだよ。この砂漠の一層目の砂は白くて軽い、掘られて時間が経てば掘り返された黒い砂と白い砂が風によって混ざり合うけど、ほとんどがそうじゃなかった。まだ掘られて間もないから黒い砂と白い砂が綺麗に分かれていただけの話だよ」
「なるほど!」
「いや、カーミラ、感心してるとこ悪いけど、それは俺らにとっては最悪だぞ。まだだれも調査してない未知の遺跡ってことになるし、これだけの深い穴を人が掘ったなんて考えてにくい」
ライナーの言う通りだ。
穴を掘った主はきっと悪魔だ。それも知性のある悪魔、ピンポイントでこの遺跡を中心に穴を掘ってるあたり、何かを探してるのか?悪魔が探してる物なんてろくなものではなさそうだが。それに本当に何かを探してるっていうなら高位階の悪魔の可能性だってあるし、大量の悪魔が命を受けて遺跡を探索してる可能性だってある、中に入るのは極力避けたいな。
「ちょっと!ライナーやめてよ!」
「はぁ?なんだよ?!なんもしてねーよ」
「今砂かけたでしょ?!背中にはいったんだけど!」
「だから俺じゃ」
ライナーがカーミラの方を向いて否定しようとして言葉が止まる。
「おい!あれ見ろよ」
ライナーが指差した方に目をやると、そこには20匹あまりの陸鮫が遺跡の前を泳いでいる。
大量の陸鮫がわざと激しく尾びれを振りながら砂の中を泳いでいるせいで斜面の砂が緩み、今にも砂雪崩れを起こそうとしている。
「あれは少しまずいと思うな、一気に陸鮫が流れ込んでくるよ」
これだから知性のある悪魔は嫌なんだ。
どうする?っていってももう降るしかないか。
「下に降りよう。あれが流れ込んできたら確実に喰い殺される。重い砂に呑み込まれるくらいなら降って別の出口を探した方がましだ」
「そうね、そうとなったらはやく行きましょう」
今にも起きそうな砂雪崩れのせいで降ることを余儀なくされた。
最悪だ。
「陣形順に降る、ライナー!先行ってくれ」
ライナーは頷くと走って階段を降る、すぐ後に続いてカーミラ、ローン、ラフィタ。
よし。みんな降ったか、俺も降りるとしよう。
階段の手すりに手をついた瞬間。
後ろから物凄い音と共に砂雪崩れが起きた。
「やばい!みんな早く降れ!!」
だが砂雪崩れのスピードは尋常じゃない速さ、あっとゆう間に砂に呑み込まれ、薄暗く、不気味な遺跡の中へとなだれ込んでいった。
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