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Dark prince  作者: 赤月
第1章 堕ちた勇者
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第10話 外の世界


首に当てられた鋭い剣が今にも俺の喉を切り裂きそうな中、頭の中ではこの状況をできるだけ悪い方向に進まないように、考えを巡らせていた。


「ハルト・ポートガス、貴様は悪魔の手先なのか?壁の中に入り、情報を悪魔共に渡していたのか?答えろ!」

ヒストリア様の目から視線をずらせない。

少しでもずらしたのなら首が飛びそうだ。

考えろ、うまく言い逃れる方法を。


「い、いえ、違います!断じてそんなことはありません!自分自身、なんでアポピスに名を知られていたのか、検討もつきません!」

無理だ、これ以上の台詞が見つからない。


「もし私が貴様の立場でも同じことを言うだろう。このままこうしていても時間の無駄か、魔力も残り少ない。はやく王都に帰還するとしよう。だか覚悟しておけ?王都に戻れば貴様はまず家には帰れないだろう。少しでも、いや、悪魔の手先である疑いが濃いお前はすぐに尋問行きだ。そこでハッキリさせよう!」

首に当てられていた剣を収め、軽く突き飛ばされる。


「ヒストリア様、アポピスは上がってこないのでしょうか?」

ローンが最後まで遺跡にいたヒストリア様に純粋な不安をぶつける。


「地上にはでてこないだろう。アポピスにとってあそこは因縁ある場所だからな、それよりローン。魔力が完全につきたライナーとラフィタを少し回復してやれ、王都まで足手まといになられては困るからな」


王都まではかなり距離がある、期間中に悪魔に出くわした時、魔力がないんじゃ何もできない。ライナーなら剣技でなんとかなるかもしれないが、ラフィタは、、、無理だな。

それにしてもライナーとカーミラがは一言も喋らないな、普段おしゃべりな奴がシリアスな雰囲気になるとまったく喋らなくなるのはあるあるだ。


「さて、王都に帰るぞ」



既に歩いて半日が立っている。

まだ壁は一向に見えない。

こんなに遠かったけ?

「ヒストリア様、王都はこんなに離れていましたか?」


「気安く話しかけるな。悪魔の手先め。用があるときは私から話しかける。まぁいい、みんなも聞いておけ、この外の世界では方角以外全てが狂っている。お前達が遺跡にたどり着いた時、陸鮫に襲われ無我夢中で走ってたと言っていたな。きっときずかなかったのだろう、外の世界では空間の歪みが多発している。その空間の歪みに入ってしまうと別の空間の歪みから出てきてしまう。つまり、ワープホールの様なものだ。歪みの発生時間や場所は不規則で、もし歪みの中に入っている時、本来なら繋がっている出口側の歪みが元に戻ったとしたら、空間と空間の間に取り残され、二度と出てこれなくなる。あと厄介なのはこの砂漠だな。もしこの砂漠の歪みが王都に繋がっているとしたら砂漠にいきなり白い建物が建っているようなものだ。それだと歪みにすぐ気づけるんだが、歪みの先が何もない白い砂漠だ。空間の歪みに入って出た所で気づくのは難しい。お前達が今回体験したのはまさにそれだな、本来なら4日程かかる距離を一瞬で移動してきたんだ」


歪みの空間?いつのまにそんなものに入ったのかまるできずかなかった。中と外。これ程までに違う世界だなんて。

「ちなみに、王都とは反対に3日ほど歩けば砂漠は終わり、魔の森が広がっている。空間の歪みは森では発生していない。歪みはこの砂漠でしか起きない。今後気をつけろよ。」


「とても重要な話をありがとうございます。でもそれだとうちらは王都に着くまであと3日半くらいかかるってことですよね?食料も水も、ほとんど底を尽きています。水なしで3日半も歩くなんて、、、ましてや悪魔に遭遇する確率も高いのに、、、」

やっと言葉を発したカーミラ、みんな思ってはいたが、口にだしたら足を止めてしまいそうで口にしなかったのに。


「心配するな、王都から出る前、中立地点に迎えを越させるように手配してから出てきた。私とて、王都からこんな離れた場所から1人で帰還できるとは思っていない。」


「ヒストリア様はなにしに外に出ていたのですか?」

ライナーが残り少ない自分の水を飲み干し、頭に溜まった砂を叩きながら質問する。


「私は空間の歪みの調査だ。不規則とはいえ、何らかの決まりの様なものがあると考えてな。そしたらあの遺跡にたどり着いた。あの遺跡は絶対にアポピスから奪還しなくてはならない。アポピスに遭遇する前、遺跡の中で石盤を見つけた、、、あの遺跡はただの遺跡ではない。石盤に書かれていた文字、、、ファラオここに眠る、、、あそこはファラオの墓、巨大なピラミッドだ。」


ファラオ?ファラオって光の勇者だろ?!

なら、、、あの遺跡のどこかに太陽の神、ラーを祀っている場所があるはず。

アポピスはそれを狙って、、、。


「じゃアポピスはラー様によって光の勇者を誕生させないように、その場所を破壊するつもり?」

ラフィタは頭の回転がはやいな。


「いや、悪魔はどんな高位階であっても神を祀っている神聖なる領域には入れない。それはこの世界を隔てる光の壁とおなじた。アポピスの狙いはラー様を神界から現界へと引きづりおろし、殺り合うつもりなのだろ。しかし神を神界から引きづりおろすのには時間がかかる。高位階の悪魔が三体揃って儀式をしたなら2ヶ月程で神界の門を開くこどができるが、アポピスだけなら半年は猶予があると思われる。その間に王都に戻り、力を付け、兵を集める。そして半年後に奪還する」


ヒストリア様の踏み込む足に力がはいる。

付け入る隙がない人だ。

このまま王都に戻っては駄目だ。

呑気に話を聞いてる場合じゃない。

どうする?王都に戻らないってなれば外のこの世界でずっと生きていくことになる。

そんなことが可能なのか?

いや、まてよ。いるじゃないか1人。

外の世界で生きている人間が。


「ヒストリア様!」

「先ほども言ったが気安く、、、」

「ジャンヌ、、、ジャンヌ・ダルクを知っていますよね?なぜ歴史的人物の事を、さも会ったことのある様な口ぶりでアポピスとはなしていたのですか?」

これしかない。さぁ、どう答える?

ジャンヌ・ダルクが外の世界で生きて行けたとゆう情報を聞かせてくれ。


「ジャンヌ、、、か。みんなも不思議に思っているだろうからハッキリさせておこうか。私はジャンヌ・ダルクとは幼馴染だ!」


読んでいただきありがとうございます。

ここから展開が激しくなります(o^^o) これからもよろしくお願いします^_^

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