うらしま太郎は弓使い
俺があの女なら世界一の女と自負する自信がある。
客観的に見てもあの女は世界一の女だぜ
俺の名は与一、信じられない苦境に立たされているセンチメンタルボーイさ、
ワイルドだろう?戦場なんだぜここ
俺の13cm砲にみんなが注目してやがる
先っちょにヘタのついた紫色の砲身を見てみんなはこう言うんだ
那須乃与一ってね
敵味方に生まれたままの姿見られると不思議な感覚に陥るぜ
いっちょやってみっかァ!
しかしあの女揺れやがる。アレは演技だぜ
序盤から中盤、後半にかけてクライマックスだぜ
スコスコとあいつを落とす準備を始める
与一「天井に張り付いたあいつはもう二度と落ちてこねえ
群集「ドンドンパ!ドンドンパ!
与一「怒りもある…!憎しみもある…!しかし…………………ッ!!!」
群集「その行為はないでしょおおォォォ!」
会場の雰囲気が最高潮に達する…!
その時が近いってみんなわかってやがる
スピードのギアを一段あげたからな……
おれは彼女を指差した
群集の注目が女に注がれる…
…どぅるっ…
私の30cm程前に痰を吐いたような水溜まりができた、敵味方併せて群集の目線は女に向かっている。私はただ群集の一つに紛れ込み、ただ呆然と手のひらの匂いを嗅いでいる。女の勝利を確信した舌なめずりに周囲はザワザワと私を探し始めた。私のステルス性能は戦場において完全に発揮されている。手のひらがくさい。何か拭くものを探していると海岸に白い箱が置いてある。徐に開けるとイカが入っていた。漁師が置いていったのか、
私はイカを握りしめ、力いっぱい女にぶちまけた。
びたーん!
女の頬にイカが張り付き、女は一瞬意識を失いかけて揺らめいた。
うおおおおおおお!
周囲にいた鎧武者は一斉に海へ向かって走り出した。
私は父が帰ってくる車の音を聞いて、ソッと青年指定本を閉じた。