嫉妬
☆8、嫉妬
ソフィア国王の誕生は小さな王国である為、全ての国民に知れ渡った。
そして、美しくそれでいて勇ましい口調に皆酔いしれた。
「良いか!ロザリナ王国は帝国の配下にはならない!ロザリナ王国は皆の家だ!」
喝采が湧く!国中が一つになる。
国民全員がソフィアの虜になった。
レオンだけは違ったーー
一人のおいてけぼりを喰ったような気持ちになっていた。
ーー何だろ・・・国が一つになって良い方向に進んでいるのに。僕は何でこんな気持ちなんだ?ーー
ソフィアが王宮のエントランスから国民に向け演説をしているにもかかわらず、レオンは王宮の中に消えて行った・・・
それからしばらくは、ソフィアから少し距離を置くようになった。
ーー僕は、ソフィアには必要ない存在だったんだ。ソフィアはあんなに強いじゃないか。
僕が側にいる必要なんかないじゃないかーー
黙々と王宮内の雑用の仕事をこなすレオン。
すると昔とは違い、紅い鎧とマントを羽織ったレオナがこちらへと歩いてくる。
「ーーレオン。」
ニコリと微笑んだソフィア。
しかし、レオンはそのまますれ違い忙しそうに立ち去ったーー
ーー僕は、何でこんな態度を取ってしまったんだ!!!ーー
ソフィアは一体どんな顔で僕を見送ったんだろうか?
「僕は、一体何がしたいんだろう・・・」
レオンは王宮の廊下の壁を思いっきり殴ったーー
壁は無傷だったがレオンの右手拳の皮は破れ血が出た。
「あーーいてぇ・・・けどソフィアのココロはもっと痛かったんだろーーな・・・」
レオンは泣いていた・・・人目憚らず。
他の使用人は、何があったと驚いていたがレオンは気にすることなく泣いていた。
ーー僕は、馬鹿だーー
ーーーー