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湖のほとりで〜カタリナ王国物語〜  作者: 望月 まーゆ
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使用人の心得


☆5、使用人の心得


四階の国王の部屋の前には沢山の人が困惑な様子で立ちすくんでいたーー


「ーーソフィア様!!」

使用人の人が言うと一斉に皆、振り向きザワつき始める。


「国王様がお待ちかねです。さあ、中に!」

使用人の女性に国王の部屋へ引っ張られるように連れて行かれた。


国王の部屋に中には沢山の医者がいるようだったがレオンが入る前に国王様部屋のドアは閉められてしまったーー



それからどれ位の時間が経っただろうーー


まだソフィアは国王の部屋からは出て来ない。


使用人たちも一人、また一人と姿を消していった。多分、他の仕事があるのだろう。


すると、階段をゆっくりと白髪の老人紳士が上がってきたーー


「ーー国王様の容態はどうだ?」

少し疲れた様子で問いかけてきた。階段を登ってくるのが大変だったようだ。


「ーーまだ、何とも・・・」


「・・・そうか。」


「ーー大丈夫だよね!大したことないよね?」


「・・・分からんよ。」


「分からんって。ソフィアは?国王様が亡くなったられソフィアは・・・」

レオンは切羽詰った表情で顔を真っ青にして言う。


次の瞬間、白髪の老人紳士はレオンの顔に平手打ちをしたーー


!!!!!


びっくりするレオン!!


「もしもの話をするな!使用人はいつも冷静でいろ!心配するのはソフィア様か?国王様の容態ではないのか?

もしものことなんか、口が裂けても口にするな!!」

白髪の老人紳士は冷静にレオンに語りかけるように言う。


レオンは直ぐに頭を下げ。

「ーーすいませんでした!!」

と、大きな声で謝ったーー


すると、白髪の老人紳士はボソボソと語りだした。


「ーーあの子は優しく、人の痛みや他人を思いやれる素晴らしい子だよ。王妃様にそっくりだ。それだけに本当に心配だよ。

お前が、心配するのも無理はない。

あんな良い出来た人間は他にはいない。

見ているだけでみんなの心を温かく出来る、どんなに自分が辛くても笑顔を絶やさない。

他にはいないよ。

私も永く使用人を勤めてきたが王妃様とソフィア様だけだ。」

白髪の老人紳士は遠い目をしながら四階の窓から外の景色を見ながら語ったーー


「ーーレオン。あの子を守ってあげられるのはお前だけだよ。大切にな!」

そう言い残すとまた階段を下っていった。


「ーー絶対守るよ!お父さん!」


いつの間にか外は夕暮れになっていた。


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