レオンとソフィア
☆3、レオンとソフィア
「ーーレオン!今すぐ姫様を連れて王宮に帰るのだ。国王様が倒られたのだ。」
タキシード姿の白髪の老人が血相を変えて叫んだーー
「お父様がーー」
慌てるソフィア。
「国王様が・・・直ぐにソフィア様を連れて戻ります。」
そういうとソフィアに近寄り、顔を見つけたーー
「大丈夫ですよ、参りましょう。ソフィア様。」
レオンは優しく微笑んだ。
「ーーレオン・・・」
ソフィアは少し安心して冷静になりレオンの後を追うように王宮へと歩き出したーー
* * * * * * * * * * * * *
レオンとソフィア、二人は腹違いの兄妹である。
しかし、二人はその事実をしらない。
レオンは国王によりその存在を隠された。
それは王妃に知られないようにだーー
いわゆる浮気であるーー
相手は使用人の女性だった。
国王は大金を支払い真実を消したーー
そして・・・
レオンは棄てられた・・・
ある朝、国王が送った大金を持ち使用人の女性は姿を消したのだーー
それからレオンは王宮の使用人として育てられた。
先程の白髪の老人紳士がレオンの育ての親でレオンが父と呼ぶ存在だ。
ソフィアとは幼い頃から親しく、共に育ちずっと一緒に過ごしてきた。
レオンもソフィアを妹のように接してきた。
側から見れば本当の兄妹に見える程だ。
しかし、白髪の老人紳士には立場をわきまえてソフィアとは距離を置くように幼い頃から教育されてきた。
それはあくまでも使用人としての立場。
そして、本当の兄妹と悟られぬ為だ。
レオンとソフィア二人兄妹、近くにいるのに決して交わることのない運命の道ーー
白髪の老人紳士は、二人を湖のほとりから心を痛めながら見つめていたーー