アーサーという男
☆19、アーサーという男
カタリナ王国に潜入していた男は、元、王子でアーサーという男だ。彼もまた異端児で特殊能力者だ。
「俺は、反帝国軍バンディッツのアーサーだ。君達の仲間レオンより援軍要請を受けた。メンバーも時期に到着する。安心しろ!」
その言葉に皆、安堵の表情を浮かべた。
「ああ、レオンが・・・おじ様。」
ソフィアは隣にいた白髪の老人紳士と手を取り合った。
「ーー但し、まだ少し時間がかかる。何としても援軍が来るまでは耐えなければならない。このままここで籠城してたら全員即死だ。ここが一番安全そうだが一番危ない。」
アーサーの言葉に全員が耳を傾ける。
「俺は特異体質で普通は一人一匹しか契約出来ない精霊を三匹宿している。
炎、大地、風の精霊達だ。三匹宿しているってことは何だかのマイナス要素がある訳だ。それは普通の精霊よりチカラが劣っている。謂わゆる出来損ないの精霊達だ。
だが、安心しろ!時間稼ぎくらいにはなる筈だ!」
アーサーの存在は皆のチカラになっていた。
「とにかく、時間がない。いくつか策があるがその場しのぎにしかならない。
バンディッツが来るまで何とかみんなで耐え切ろう。」
アーサーの言葉に皆、精気が戻った。
アーサーはソフィアを呼んで耳打ちした。
ソフィアの顔は明らかに強張った。
そしてーー青ざめた表情になった。
ーーバンディッツは間に合わないーー
そして、再びソフィアに近付き
「俺が何としてもお前だけは逃がしてやる。これはレオンからのお願いだ。」
ソフィアの心は複雑だったーー
自分だけ助かるのか?
国民の皆の命を犠牲に?
本当にそれでいいのか?
ソフィアは迷っていたーー
帝国軍の攻撃が今、始まった・・・