夜明けの荒野
☆14、夜明けの荒野
レオンは涙ながらに馬を走らせた。
心の中は、様々だったーー
あのまま、ソフィアにキスをして二人で国から逃げてしまえば良かったとさえ思った。
それともこんな別れかたをするならちゃんと自分の気持ちを素直に伝えれば良かったと、そうすれば笑顔でソフィアは見送ってくれたのかもしれない。
ぐるぐると頭の中を色んな想いが巡るーー
「いやいや、今はそれより反帝国軍と何とか接触して援軍をお願いしないと・・・」
レオンは首を振り、気合いを入れ直した。
反帝国軍バンディッツは国に属さない者が集まり作った組織団体である。
加入人数は不明、異端児の集まりで更に異能力者もいるそうだ。
今、レオンも困っているのが所在場所が分からない。
何処が活動拠点で何処に行けば接触出来るのかが全く分からないのだ。
この時はまだレオンは知らなかった。
反帝国軍バンディッツは全世界、全ての国と街に最低一人構成員がいることを・・・
そう、当然カタリナ王国にもバンディッツの構成員はいたのだ。
ただ、国民に扮して普通に生活しているので誰も気づかない。
「とりあえず時間がない少し大きめな街か国で情報を集めるか。」
馬に鞭を打ち走らせる、少しずつ太陽は昇ってくるーー
いつ攻めてくるか分からない帝国軍、レオンは不安でいっぱいだった。
ソフィアは大丈夫なのか?
誰よりも何よりも大切な人を置いて戦場の先頭に立たせてきた。
「クソ!!急げ!」
焦る気持ちを抑えきれない。
ただ、ただ早くカタリナ王国に戻りたい気持ちで一杯だったーー
もう一度ソフィアの顔を見たいが為に。