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【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない  作者: あめとおと


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35/37

エピローグ 奇跡のない世界で

それから数年が経った。


王都から「聖女」という言葉は、

ゆっくりと消えていった。


祈りの列はなくなり、

代わりに並ぶのは、薬師の店と治療院。


誰もそれを、不幸だとは言わなかった。


治療には金がかかる。

失敗もある。

時間も必要だ。


――けれど。


「理由が分かる」という安心は、

奇跡よりも、確かなものだった。


城は、もう治癒を主導しない。

名目上は支援者。


実際には、

世界の流れに従う側になった。


聖女は、静養のまま表に出なかった。


名前が出ることも、

祈りが向けられることもない。


「元気にしているらしい」


それだけが、

人づてに聞こえる唯一の情報だった。


――人は、役目を失うと、

ただの人に戻る。


それだけの話だ。



私は、

王都から少し離れた街で、

変わらない日常を送っている。


商人と話し、

薬師と契約を結び、

治療院の拡張計画に目を通す。


誰も、

私を「悪役令嬢」とは呼ばない。


ただの、

必要なことを準備していた人間だ。


あの日、

奇跡が止まった。


でも。


世界は、止まらなかった。


むしろ――

ちゃんと、前に進いた。


私は、窓の外を見る。


人が歩き、

笑い、

悩みながら、生きている。


奇跡がなくても、

世界は回る。


それを証明しただけ。


(……悪役で、結構)


選ばれなかった者が、

世界を救うこともある。


それを知っているのは、

たぶん、私だけでいい。




ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


この物語は、

「奇跡がなくなったら世界はどうなるのか」

そして

「奇跡に選ばれなかった人間は、本当に敗者なのか」

そんな問いから始まりました。


聖女も、城も、悪役令嬢も、

誰かが極端に悪いわけではありません。

ただ、“楽な選択”を続けた結果と、

“備える選択”をした結果が分かれただけです。


奇跡は美しく、分かりやすい。

けれど、それに頼りきる世界は、とても脆い。


だからこそ、

名前も称号も残らない選択をした彼女が、

最後に立っていた――

そんな結末になりました。


ざまぁ要素を含む物語ですが、

誰かを踏み潰す話ではなく、

「奪われなかったもの」を描けていたなら嬉しいです。


感想や評価、とても励みになります。

本当にありがとうございました。


また別の物語で、お会いできたら幸いです。



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― 新着の感想 ―
聖女の奇跡が失くなる視点での展開はあまりなかったので楽しく読ませて頂きました。
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