表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない  作者: あめとおと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/37

19話 小さな異変(聖女視点)

 祈りを捧げると、いつもなら迷いなく応えてくれるはずの温もりが、今日はほんの一拍、遅れて訪れた。


(……あれ?)


 治癒の光は確かに灯った。

 傷は塞がり、苦痛も消えている。結果だけを見れば、失敗ではない。


 それなのに、胸の奥に、言葉にできない引っかかりが残った。


 聖女としての務めを始めてから、数え切れないほど奇跡を起こしてきた。

 祈りと奇跡は、呼吸のようなものだったはずだ。


 ――なのに。


 光が消えたあと、手のひらがひどく軽く感じられた。

 何かを置き忘れたような、不安だけが残る。


「……疲れてるのかな」


 そう呟いて、自分で自分を納得させる。

 最近は祈りの回数も多い。体調の波があっても、おかしくはない。


 周囲にいる人たちは、変わらず感謝と安堵の表情を浮かべていた。

 誰一人、異変に気づいた様子はない。


 なら、問題はないはずだ。


 私は小さく息を吐き、いつものように微笑んだ。

 聖女は不安を見せてはいけない。奇跡がある限り、人々は救われるのだから。


 けれど。


 胸に残る違和感は、祈りを重ねても、消えてはくれなかった。


(……気のせい、よね)


 そう言い聞かせながら、私は次の祈りの場へと向かう。


 この小さな異変が、まだ名前すら持たないものだとは――

 そのときの私は、考えもしなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ