歴史上の人物となんて生きられない!転生するなら異世界にしてくれ!
歴史上の人物となんて生きられない!転生するなら異世界にしてくれ!
偉人も賢人も誰も彼もが変人奇人。
そんな彼ら彼女らが、歴史に名前を残せたのは緩めの世界線だったから
現代に居たらきっとただの変人扱い
今の時代に合わないのは当たり前・・・・
だったら?私だって未来の偉人になれるかも?
ニュートン運転手シリーズ
ニュートン運転手のタクシーに乗れば安心だ。
常に最短ルート。
常に最速ルート。
信号のタイミングすら計算済み。
「時速、角度、距離……完璧だ」
時間に遅れることなど決してない。
料金もお値打ち。
物理学の権威は、無駄な遠回りを許さない。
だが、ただ一つの弱点。
週末のマクドナルド渋滞。必ずはまる。
昼時のすき家渋滞。もちろんはまる。
「私は天体の動きは計算できるが、人々の狂った行動は計算できない。」
客:「言い訳はいいんで、迂回してもらえますか?」
長距離編
ある日のお客さん。
今回は高速を使っての長距離依頼。
ニュートン:「お任せください。最短ルートを計算します」
……待て待て六分儀って!?
ナビにしようよ?星見るより先に住所入れて!
客:「高速でお願いします」
ニュートン:「了解。最速の経路を導きます」
道中の会話。
ニュートン:「今日はお仕事ですか?大変ですね。もうほんとに、辛くないですか?私はもう無理そうです」
客:「えっ……どしたん?ネガティブ!?」
ニュートン:「あ~昨日の投資で失敗しました」
客:「……物理学者でもFXは読めないのか」
それでも安全運転の計算は完璧。
速度、距離、燃費、すべて物理的に最適化。
多少メンタルは弱めでも、ハンドル捌きはブレない。
無事に到着。
客:「ありがとうございました。料金は?」
ニュートン:「作用反作用の法則により……いや、メーター通りで」
雨の日編
外は土砂降り。
お客さんが後部座席に乗り込むと、ニュートン運転手は振り返って一言。
ニュートン:「ご安心ください。摩擦係数μと路面の傾斜角θを考慮すれば、タイヤのグリップは保たれます」
客:「いや、その前にワイパー動かしてもらえます?」
走り出すタクシー。
ニュートン:「雨の日はね、摩擦力F=μNが大幅に減少するんです。つまり止まりにくくなるんです!」
客:「そんな実況中継いらないですから!」
交差点でブレーキ。
タクシー、少しツーッと滑る。
客:「ほらぁぁ!滑ってるじゃないですか!」
ニュートン:「……理論は正しい。だが人間の行動と天候は計算不能だ」
それでも最後はきっちり安全に停車。
客:「……やっぱり大丈夫なんですね」
ニュートン:「はい。摩擦係数の減少は想定内です。あと想定外なのは、人間の運転ミスだけです」
深夜編
夜の街。時計は午前2時。
深夜割増料金が光るメーターの横で、ニュートン運転手は小さくあくびをした。
ニュートン:「……夜食はリンゴでお願いします」
客:「え?運転中に?」
ニュートン:「どうして落ちるのか、考えながら食べるのです」
瞼が重い。
ニュートン:「私の瞼も、地球の中心に向かって引かれている……万有引力です」
客:「いや、それただの眠気ですよね?」
赤信号で停車。
頭がガクッと前に落ちる。
客:「危ない危ない!寝ないで!」
ニュートン:「大丈夫です。これは作用と反作用。頭が落ちた分、意識は上に戻ります」
客:「物理で居眠りをごまかさないで!」
それでも安全運転は崩さない。
深夜の道路を抜け、無事に到着。
客:「お疲れさまでした。リンゴ食べます?」
ニュートン:「ありがとうございます。ただし、落とさないように。落ちたら……また考え込んでしまいますから」
飲み会帰り編
ある日、呼んだタクシーのドライバーがニュートンだった。
終電も終わり、自宅近くまでタクシーで帰ることにした。
ドアが開いた瞬間、あまりに異質な雰囲気。
ただの深夜テンションか?
いや、詮索はナンセンスだ。
私はおとなしく住所を告げる。
ところが彼は、ナビに入力しない。
「最短ルートを知っていますから」
ならば安心……と思ったのも束の間。
知らない道。
不気味な住宅街。
「これ、近道なんですよ」
安心して乗っていたら、急に車が進まない。
「どうした?」
「渋滞です」
夜中なのに?と思って外を見れば、工事中の看板。
夜間工事で完全通行止め。
私:「迂回できないですか?」
ニュートン:「私、最短ルートしか行きたくないんで」
……オイオイ。早く帰りたいんだよ。
困っていると、ニュートンが林檎を差し出す。
「いらないって」
「反作用って知ってますか?」
いきなり何の話?
ニュートン:「早く行きたいと思うと、行けないんですよ」
私:「聞いてねーよ!」
結末
結局、最短ルートなのに帰れない。
むしろメンヘラ気味なニュートンとのやり取りで、心のエネルギーは消耗するばかり。
深夜の帰り道。
学んだことはただひとつ。
“最短ルート”と“最速帰宅”は同じ意味じゃない。
ニュートン(アイザック・ニュートン, 1642–1727)は、イギリスの物理学者・数学者・天文学者です。
万有引力の法則を提唱し、天体や地上の運動を統一的に説明。
運動の三法則を打ち立て、古典力学の基礎を築いた。
光学や数学(微積分の発明者の一人)でも大きな業績を残した。
簡潔に言えば、**「自然界の法則を数式で示し、近代科学の土台を作った人物」**です。