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隣で「おはよう」と笑う君を見たいから  作者: 山田 太郎丸
第四章 君の隣でどこまでも歩み続ける

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71.想いを共にして

更新遅れてすみません。出先で時間が確保できず。

 



 修学旅行3日目。


 ここまでとにかく自由だったこの旅行も中でも、今日は自由行動が少ない日らしい。

 理由は“修学旅行らしいことをしなければならないため”だそうだ。一応、“学び”を“修め”に来てる訳だからな。遊んでばかりではいけない、ということだろう。




 そんな事情もあって、俺たちはバスに揺られていた。行き先は長崎の平和公園。原爆や戦争による被害の悲惨さと、それを繰り返させないために後世へと記録を残している場所だ。


 そこで様々な資料を閲覧し、戦争がいかに残酷で無意味なものであるかを学んだ。

 平和祈念像の前では皆で黙祷を捧げ、献花も行なった。



「戦争って、こんなにも惨いものだったんだな」


「つくづく、私たちは平和な時代に生まれてきたのだと感じるわ。………この平和も犠牲の上に成り立ってるのよね。この命、無駄にはできないわね」


「ああ。亡くなった人たちの分まで、俺たちには生きる義務がある」




 俺たちは平和な世の中を守っていくために、こういうことを学ばなくちゃならない。

 でもその積み重ねが、若者の意識を改めさせることに繋がってるんだ。







 ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ———







 その後は短時間の長崎市内の観光。昼食には名物のちゃんぽんを食べ、お土産用にカステラを買ったりもした。


 夕方前にはもう一度バスに乗り込み、この修学旅行でも一番の目玉と言っていいほどの場所へと向かう。




「へえ…ここがハウステンボスか………」


「トバっち知ってる?ここってイルミネーションがすごい有名なんだよね」


「私も聞いたことがあるわ。全国でも屈指の規模だって」




 やはり綾乃もそういうのに興味があるのか。あまり華美なものは好まないと思っていたが、綾乃だって年頃の女の子だからな。


 そういえばイルミネーションとかに一緒に行ったことは無かったな。クリスマスも近いし、候補の一つとして考えてみようか。




 ホテルの部屋に荷物を置き、園内を散策する。

 そろそろ陽も沈むので、イルミネーションもライトアップを始めていた。




「綺麗ね………」


「ああ、全国屈指ってのも分かるな。まあ綾乃ほどじゃないけど」


「もう…あんまり馬鹿なこと言ってると、明日の夕飯抜きにするわよ」


「だからそれやめてください」



 その脅し文句マジで効くから。綾乃の作るご飯が美味しすぎて、出前はまだしもコンビニ飯は本当に食べられなくなった。


 前よりも大きなダメージを受けながら、綾乃とハウステンボスを歩く。広い園内ではぐれないよう、しっかりと手を繋ぎながら。


 時々、お店の中に入ってお土産を見繕ったり、アトラクションを体験してみたり。普通の遊園地にはあまりないアトラクションがあって、なかなか新鮮だった。



「もう夜か。真っ暗だし、そろそろ戻ろうか?」


「少しだけ、いいかしら」


「うん?どうしたんだよ」



 イルミネーションから少し離れた所で、ホテルに戻ろうかと提案してみる。

 それに対し、綾乃は待ったをかける。




「私、時々思うの。優心は私のことを、本当に好きでいてくれてるのかなって。文句じゃないけど、優心ってこうやって手を握ってくれることもあまりないじゃない?最近は抱きしめてくれることも減ったし……」


「………そうか…ごめんな。まず先に言わせてほしい。俺はちゃんと綾乃のことが好きだ。この世界の誰よりも愛してる」


「う、うん。急にはやめてちょうだい………照れるから………」




 確かに愛情表現は少ないかもしれない。作ってくれたご飯に美味しい、と言うのは当たり前になってしまったし、デートの時以外は手を握ることもない。


 それでも俺は、綾乃が大好きだ。じゃなかったら、こんなに一緒にいることはない。




「俺は、綾乃と一緒にいられるだけで幸せなんだ。それ以外には何もいらないくらいにな」


「そうなの………?でも、その………………キ、キスとか。全然、してくれないし………」




 綾乃の顔がみるみる紅潮し、声も尻すぼみに小さくなる。


 ああ、そりゃそうか。結局、花火大会の時以来一度もキスをしていなかった。愛情表現の最高とも呼べるそれをほぼ全くしていないんじゃ、不安になるに決まってるよな。


 キスをしてこなかったことに大した理由なんかない。ただビビってただけだ。

 綾乃に嫌がられないかずっと考えて、その度に腰が引けて逃げてきた。




「俺も、綾乃がどう思ってるのか分からなくて。いきなりキスして、嫌がられたらどうしようって。綾乃とずっと一緒にいたいから、慎重に…………いや、ビビってたんだよ」


「い、嫌じゃないわよ?全然。…その、毎日とかはさすがに遠慮したいけど。いえ、毎日でも嬉しいのだけど………」


「お、おう。………また帰ったら話そうか。誰かに聞かれたら嫌だしな」


「………そうね。でも、最後にひとつだけ」







 チュッ。







 唇と唇が一瞬触れる。


 その口づけで、綾乃と気持ちが共有できた、そんな気がする。




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