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隣で「おはよう」と笑う君を見たいから  作者: 山田 太郎丸
第四章 君の隣でどこまでも歩み続ける

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70.譲れないもの

 


 一方その頃女子の部屋では、こちらはこちらで恋愛話に華を咲かせていた。




「いや〜、あの日は衝撃だったね〜。雛ちゃ、ハルっちのことどんだけ好きなのさ〜」


「うへへぇ……そりゃあ言葉に表せないくらいかなぁ〜〜」


「それ言ったらあやのんもじゃなーい?付き合ってるの隠さなくなってから、堂々とイチャつくようになっちゃってさー」


「うっ………。…人目を気にしてない訳では無いのよ?それでも…その………優心が好きって気持ちが抑えられなくて………」



 最初の頃は気にしていたけれど、周りから悪意を持った声が少しずつ減っていった。それならこの気持ちを隠す必要は無いって吹っ切れてしまったのよ。



「いいなー2人とも。ハルっちは完璧イケメンだし、トバっちもすっごく大事にしてくれそうじゃん?あーあ、あたしたちにもお金持ちのイケメンとか紹介してよ〜〜〜」


「何言ってるのよ。私はそこまで交友関係が広くないもの。お金持ちの知り合いだっていないわ」


「あたしもー。そもそも2人の方が男友達多いじゃん」


「あいつらはダメ〜。大体が身体目当てか彼女持ちってレッテルが欲しいだけだもん」


「そーそー。ほんっとろくでも無い男しかいないんだよ」



 この2人、結構辛辣ね。周りからはギャルだなんて見られているけど、人を見る目はしっかりしてるし成績も悪くない。男子からの目線で言えば、相当な優良物件だと思うのだけど。


 それ故の苦悩なのかもしれないわね。こうやって茶化した風に言っても、案外心からの悩みだったりするのかしら。



「それなら志田くんを頼ってみたらどうかしら?」


「あー。確かにハルなら安心だね。ああ見えてすっごい繊細で、付き合う人は選んでるんだよねー」


「それは良いかもだけど、でも学生恋愛って長続きしないってよく言うじゃん?口では言ってるけど、実際今すぐ彼氏が欲しいかって言われるとそうでもないんだよねぇ」



 確かにそういうことも耳にするけど、私はそうは思わない。だって私には優心しかいないから。優心以外なんて考えられないし、考えたくもない。


 でも実際に起きたことだから、長続きしないなんて考え方が生まれたのよね。私は優心と出会うまで恋愛事に興味が無かったから、というよりも優心しか知らないから普通とは考え方が違うのだと思う。


 統計的に見てみても、高校生の頃から付き合っていてそのまま結婚、なんて人はあまりいない。

 結局私たちは、どれだけ取り繕ってもまだまだ子供なのでしょうね。



「はっきり言うけどさ。2人ってちょっと事情が特殊じゃん?それだけ一途だったらそりゃ彼氏欲しいなんて思わないよ」


「かもしれないわね。私は優心以外の男になんて微塵も興味は湧かないし」


「同じくー。ハルよりカッコいいやつなんていないし。トバっちだったら考えたかもしれないけど」


「なっ………………!?雛………戦争がお望みかしら………?」


「ちょっ!?違う違う、冗談だって!?考えはするけど、ハルがいちばんって意味だから!」



 危なかった………。いくら雛が相手でもそれだけは譲れないわ。もしそんなことになっていたら、お父様にお願いしてでも雛を消していたかもしれないわね。






 彼女たちの夜は過ぎていく。綾乃のあまりの圧に、可奈と桜は戦慄していた。







 ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ———







 翌朝。


 朝食を食べに食堂へやってきた綾乃たちは、優心の顔色が悪いことに気づく。




「おはよう優心。なんだか顔色が悪いわよ、大丈夫かしら?」


「ああ、おはよう綾乃。ちょっとジョージがな………」


「津田くん?彼は元気そうに見えるのだけど…」


「後で教えるよ…」



 何があったかというと、俺1人がジョージの恋バナの餌食になったからだ。春馬はあのまま一度も起きず、孝太は生返事で早々に離脱していた。

 まともに意識が残っていたのは俺だけ。ジョージが眠くなるまで、延々と話し相手になっていたという訳だ。



「ジョージ…恨むぞ」


「悪かったって。今日は孝太に付き合ってもらうから許してくれ」


「………………………」


「無言で離れていくのヤメテ?」



 やれあの女子はこうだの、やれ後輩がどうだの、それはもう酷い目にあった。交友関係が狭い俺にとって、出てくる名前ほとんどが知らない人ばかり。はっきり言って地獄だった。


 よし、あれは悪夢だったということで忘れよう。朝ご飯おいしい。







 2日目は、全員でバスでの長距離移動から。熊本県にある阿蘇山へと向かう。これは個人で向かうのが難しい場所だからだ。早朝は避けたというのにもの凄い寒さだった。

 下山後、熊本城へと発車。そこからは自由行動となった。




「熊本城、すごい人だったな」


「ええ。日本のお城って、観光客にあんなに人気だったのね。この後はどうするの?」


「熊本に来たら食べてみたいものがあるんだ。それを食べに行こう」




 その料理とは。




「お待たせしましたー。馬刺しでーす」


「ありがとうございます。…一回でいいから食べてみたかったんだよな。熊本といえばってイメージもあるし」


「私も初めてね。お肉が硬いって先入観から、中々手が出なくて」



 馬刺しだ。東京だと居酒屋か焼肉屋くらいでしか見かけないし、学生の身ではそういうところにも入りづらい。だったら本番の専門店で食べればいいじゃないか、そう思ったわけだ。



「ん!柔らかいな!」


「本当ね。市販のものを買ったら、きっとこうはいかないわね」



 硬いだなんて冗談だろう。そう思わされるほどに柔らかかった。

 噛んだ瞬間とろけるかのよう。これだけで九州に、熊本に来た価値があったと感じる。

 それくらいの驚きだった。



「ご馳走様。ふぅ、大満足だ」


「ご馳走様でした。すごく美味しかったわ。他の所の馬肉が食べられなくなっちゃいそう」




 量はそんなに食べていないはずだが、それでもこの満足感。綾乃も喜んでくれたみたいだ。ああ、このお店を選んでよかった。


 その後は熊本市街を巡りながら、今日の宿泊先がある佐賀県に向かう。



「今日ってどこに泊まるんだっけ?」


「佐賀県の武雄温泉よ。明日長崎の方に向かうから、近くにある温泉の名所に泊まることになったみたい」


「つくづく太っ腹だな」



 佐賀県といえば有田焼だよな。大和さんにお土産で買っていこうかな。




 今日でこの修学旅行も折り返し。まだまだこの旅を満喫しよう。




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