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たとえ間違いだったとしても

作者: 兎餅


「好き」


私は隣の席の優吾に言う。


「う〜ん、分かった分かった」


優吾は私の言葉を聞いているのかどうなのか、自分の席で、ノートをカバンから取り出した。


「昨日宿題できてなかったから、今しなきゃ」


優吾が教科書を開いて勉強しようとしている所を私はトゲのある言葉で重ねて話す。


「好きだってば」


「分かってる」


優吾はこちらを見もせずに、ノートの宿題に一心不乱に取り組んでいる。


「ちょっと、ひどすぎない?」


私の言葉に、優吾は面倒そうに返答した。


「いや、だって何回言うんだよ?俺は今宿題やってるの目に入らない?今日だけでその言葉十回以上聞いたんだけど」


「だってそれは・・・好きだから、伝えたいんだもん」


私の言葉に、優吾はこちらをちらっと見た。


「本当に俺が好きなら今放っといてくれる?」


優吾の態度と言葉に、私は少しへこんだ。


「・・・ねえ」


「・・・何?」


少しして、私は優吾に話しかける。

少し間があって、優吾からの返答がある。


「優吾は私のこと好きになってくれないの?こんなに毎日言ってるんだから」


「言われすぎると逆効果だって聞いたことない?」


優吾は手を止めると、私の方を見た。


「でも、どうしたら好きになってくれるのかわからないんだもん」


私は、戸惑ってしまって優吾に打ち明ける。

好きな人に打ち明けることでもない気がするけど。


「しつこくしなきゃいいんだよ?」


優吾は再びノートへと顔を戻した。


「そしたら、万が一でも好きになってくれる?」


「まあ、万が一っていうなら、可能性あるよ。しつこくしないなら」


上の空のような優吾の言葉に、私の気持ちは舞い上がる。


「ありがとう!私、頑張るね!!」


私が弾んだ声で優吾に笑いかけると、優吾はギョッとした顔で私の顔を見る。


「え、何を頑張るんだよ、万一って話だろ・・・」


「だめだよ、間違いだったって言っても許さないから!私、これからしつこくしないから、私を好きになってね!」


「もうしつこいじゃん・・・」


何か優吾が言っている気がするけど私の耳には入ってこない。


私は明日からどうやってしつこくしないようにしようか、頭を目まぐるしく働かせていた。



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