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きっと僕らは愛なんだ  作者: 夏川よる
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1.出逢い

私はとても平凡な人生を送っている。

平凡すぎて、自分が本当は何をしたいのか分からなくなることが時々ある。例えば今、自分が何を考えているのか、何を感じているのかとか。

私の人生はつまらないことばかりだ。第一志望の公立高校は落ちてしまうし、そのお陰でもう6月だと言うのに、今の学校で友達と呼べる人間は一人もいない。

今だってほら、教室のど真ん中で私を馬鹿にした目でちらちらと見てくる女子達の姿が見える。

その中の中心人物だと思われる、髪を派手に巻いた桜木とかいう女が言った。

「野田さんっていつもぼっちだよねー。俗に言う陰キャってやつ?」

そう言うと、わざとらしくクスッと鼻で笑った。

聞こえてますよー。いや、聞こえるように言ってるのか。

自分でも陰キャだと思う。自分から話しかけるのは苦手だし、会話は続いた試しがない。

そんな私はクラスでは浮いた存在だ。

でももう慣れてしまった。今更こんなクラスで友達を作ろうとも思わない。

あー、我ながら冷めた性格してるな。と、思わず失笑してしまった。


キーンコーンカーンコーン。

昼休み開始のチャイムが鳴った。

サッカー部の連中はそそくさと外に行ってしまった。他の人達も委員会の集まりだとか、仲の良い人達で集まってお弁当を食べたり一気に賑やかな空間となった。

もちろん私はぼっち飯。でも一人だと自分のペースで食べれるし、食べることに集中できる。ぼっち飯は私にとっては平和で良いのだ。

青と白のチェックのランチマットに、お弁当とお箸を乗せると一人で静かに手を合わせた。

蓋を開けて1番手前のミニトマトを箸で掴んだ、その時。

「野田さん今日もぼっち飯ー?可哀想だからウチらも一緒に食べようか?」

くるくるに巻かれた髪が視界に入った。桜木さんだ。

今度は何?自慢話でも聞かされてまた可哀想な目で私を見るつもり?

我慢できなくなった私は立ち上がった。

「悪いですが、私は一人が好きなので」

そう言ってその場から立ち去ろうとしたときだった。

頬に電気が走ったような強い音が、バシンと鳴り響いた。

「いつも無表情でムカつくんだよ!」

いきなりすぎて驚いた。まさか手をあげられるなんて。

さすがに自分が虚しくなってきた。

「ねえ!!聞いてんの!?」

「、、、ごめんなさい」

私は叩かれた左頬に手を当てて深々と背中を丸めた。

地面に向かってうつむいている私の背後に、もう1つの影ができた。

「おいおい、そこまでにしろよ。ムカつくのは惨めなことやってるお前らな」

!!?

後ろを振り返ると、そこには隣のクラスの坂口晴人がいた。

彼はバスケ部のキャプテンで、スポーツも勉強もできておまけに顔も良く、スペックが高いということで有名だ。

「坂口くん!?えっとこれは、違くて、、、そう!野田さんの頬に虫が付いてたから取ってあげたの!」

桜木さんの眉は上がっている。きっと焦っているのだろう。

「んなわけあるか。聞いてたぞ、『無表情でむかつく』って」

「、、、、、、」

言い訳が思い付かなくなったのか、桜木さんは黙ってしまった。

坂口くんは呆れたように、はあっとため息をつくと、

「もうやんなよ」

それだけ言って自分の教室に戻ってしまった。

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