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第七四九話、乱入する者たち


 プロトボロス級航空戦艦は、艦首が戦艦、中央が空母、艦尾が重雷装艦という特異なフネであった。


 戦艦『ビスマルク』にトドメを刺したのが、艦尾の魚雷であれば、『フリードリヒ・デア・グローセ』の砲撃で、航行不能になった原因も艦尾に装備された多数の魚雷の誘爆によるものだった。


 ドイツZ艦隊戦艦群と、プロトボロス級戦艦群の戦いは一進一退の攻防となっていた。

 そしてその間に、逃走する異世界帝国輸送船団を追うデアフリンガー級巡洋戦艦や装甲艦は、護衛の敵メテオール級軽巡に大口径弾を叩き込みつつ、軽巡、駆逐艦部隊の突撃を援護していた。


 巡洋戦艦にしろ装甲艦にしろ、敵軽巡からの砲弾で浴びて、致命傷こそなかったものの、被弾によって少しずつ、ダメージが蓄積していた。

 もう少しで、護衛を突破できる――ドイツ水雷戦隊が、敵船団に迫った時、新たなプレイヤーが追加された。

 船団に紛れ込む転移ゲート艦が、増援を呼び込んだのだ。


 現れたのは紫色の艦隊色の艦隊。


「戦艦級とおぼしき敵艦10隻、出現! 識別表になし!」


 巡洋戦艦『デアフリンガー』の艦橋で、見張り員の報告をうけたエーリヒ・バイ少将は、思わず顔をしかめた。


「新型……! しかも戦艦が10隻だと!?」


 こちとら通商破壊に特化した巡洋戦艦3隻に、装甲艦4隻だ。デアフリンガー級が38センチ砲を持つが、アドミラル・シェーア級装甲艦は長砲身28センチ砲で、戦艦と正面から殴り合う艦ではない。


「転舵、取り舵いっぱい! 距離をとれ。まともに喰らえば巡洋戦艦では相手にならない!」


 デアフリンガー級巡洋戦艦は、シャルンホルスト級戦艦によく似たフネで、火力こそ上回っているが、装甲はさらに薄くなっている。

 未確認の新型がどれほどの大砲を持っているかはわからないが、戦艦であれば、最低でも40.6センチ砲レベルの火力はあるに違いない。殴るのはともかく、殴られればデアフリンガー級は危ない。


 なお、現れた新型は、ムンドゥス帝国ではテュポース級と呼ばれる新型艦であり、その艦級は、『大型巡洋艦』であった。

 これまで30センチ砲クラスの主砲を積んだ大巡というカテゴリーがなかった異世界帝国だが、地球の大型巡洋艦との交戦を経て、対抗可能な新型艦を建造したのだった。


 艦のサイズや排水量は、デアフリンガー級やソ連のクロンシュタット級に匹敵し、大型巡洋艦ないし巡洋戦艦に類別されそうではある。

 その主砲は50口径32センチ四連装砲を艦首に二基、艦尾に一基の計十二門を持つ。完全にこのサイズの大型巡洋艦への対抗としての火力を持っていた。


 ……つまりは、装甲艦や大型巡洋艦には脅威ではあるが、一発当たりの威力では、デアフリンガー級の方が勝っており、当たり所によっては敵の装甲を貫通し大ダメージを与えることも可能だった。

 だが数の差は如何ともし難く、正確なデータもなく、また防御に不安を抱えるデアフリンガー級に乗るバイ少将は、慎重に対応するしかなかった。


 しかし、ここでさらに戦場は加速する。

 転移中継ブイを用いて、日本海軍の主力が到着したのである。


 まず現れたのは、角田 覚治中将率いる第二機動艦隊だった。



⚫第二機動艦隊:司令長官、角田 覚治中将


第二航空戦隊 :「大龍」「海龍」「剣龍」「瑞龍」

第四航空戦隊 :「加賀」「応龍」「蛟竜」「神龍」

第六航空戦隊 :「紅鳳」「神鳳」「星鳳」「雷鳳」

第八航空戦隊 :「水龍」「幡龍」「白鳳」「蒼鳳」


第二戦隊  :「大和」「武蔵」「信濃」

第八戦隊  :「石見」「出羽」「美作」「丹後」

第九戦隊  :「伊予」「淡路」「越前」「能登」

第十戦隊  :「美濃」「和泉」「伊豆」「岩代」


第二巡洋艦戦隊:「黒姫」「八海」「荒海」「摩周」

第三巡洋艦戦隊:「道後」「高見」「霊山」「迫間」


第十三巡洋艦戦隊:「二上」「斑尾」「農鳥」「笠取」

第十六巡洋艦戦隊:「古鷹」「加古」「標津」「皆子」

第十九巡洋艦戦隊:「阿寒」「葉山」「志賀」「三国」

第二十巡洋艦戦隊:「飯縄」「多度」「七面」「玉置」


第二十三巡洋艦戦隊:「和賀」「白沢」「斉勝」「半田」

第二十四巡洋艦戦隊:「大又」「阿仁」「巴波」「初沢」


第六十三巡洋艦戦隊:「大隅」「夕張」「青島」「矢矧」


・第二水雷戦隊:「神通」

第八駆逐隊  :「大潮」「満潮」「荒潮」「夏雲」

第九駆逐隊  :「山雪」「浜雪」「風雪」「磯雪」

第十駆逐隊  :「谷雪」「川雪」「大雪」「峯雪」

第一六駆逐隊 :「妙風」「里風」「村風」「冬風」


・第四水雷戦隊:「川内」

第十一駆逐隊 :「敷波」「夕霧」「春雨」「漣」

第十八駆逐隊 :「海霧」「谷霧」「山霧」「大霧」

第十九駆逐隊 :「吹雪」「白雪」「初雪」「深雪」

第二十駆逐隊 :「黒潮」「早潮」「初風」「天津風」


・第二防空戦隊:「能代」

第六十四駆逐隊:「清月」「大月」「葉月」「山月」

第六十五駆逐隊:「浦月」「紅雲」「春雲」「八重雲」

第六十七駆逐隊:「雪月」「沖月」「風月」「青月」

第六十八駆逐隊:「天月」「海月」「白月」「浜月」



 これらの戦力のうち、空母航空戦隊と第二防空戦隊を除く、戦艦、巡洋艦、水雷戦隊が戦場に現れ、ドイツZ艦隊を支援する。


「第二戦隊は、ドイツ戦艦部隊を掩護せよ」


 角田中将は、旗艦である戦艦『伊予』から命令を発した。


「残る戦艦は、船団前にいる敵戦艦を相手にする。巡洋艦、水雷戦隊は、敵船団へ突撃せよ!」


 大和型3隻を、残り2隻となったプロトボロス級航空戦艦に差し向け、新型戦艦――実際はテュポース級大型巡洋艦10隻に、41センチ砲装備の戦艦12隻をぶつける。角田はそう判断した。


 第二機動艦隊が、それぞれの目標に向かって動き出した頃、さらに援軍が到着する。

 山本 五十六大将率いる連合艦隊第一艦隊だ。


 航空戦艦『敷島』に続くは51センチ砲を装備した大戦艦戦隊。異世界帝国輸送船団は、もはや風前の灯火であった。

・テュポース級大型巡洋艦

基準排水量3万3600トン

全長:244メートル

全幅:28.5メートル

出力:18万馬力

速力:33ノット

兵装:50口径32センチ四連装砲×3 13センチ連装両用砲×8

   8センチ光弾砲×16 20ミリ四連装機銃×16

航空兵装:カタパルト×2 艦載機×2

姉妹艦:

その他:ムンドゥス帝国が、地球製大型巡洋艦に対抗するために建造した新型艦。これまで大型巡洋艦クラスの戦闘艦をムンドゥス帝国は保有していなかった(試作艦は除く)。地球製大型巡洋艦級を上回る32センチ砲を装備し、それを四連装とすることで、火力を増強している。

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