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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第四八六話、フロリダ島沖海戦


 異世界帝国南海艦隊の迎撃プランを、連合艦隊主力は退けた。


 しかし東のサボ島経由の敵水雷艇部隊は、第一艦隊の巡洋艦戦隊15隻のうち、7隻を戦線離脱させた。


 戦艦戦隊への攻撃に対しては、割って入った第三水雷戦隊の旗艦『揖斐』が刺し違えるように撃沈され、第十一駆逐隊の『早霜』沈没、『朝霜』大破と引き換えに、無傷でやり過ごした。


 西の敵潜水艦部隊との交戦では、接近する敵の迎撃と撃滅に成功。損害は、無人艦の呂532、呂535、呂541を失った。

 だがその主力艦は、ほぼ無傷の状態で異世界帝国南海艦隊主力と、相対することができた。


 ここにフロリダ島沖海戦の火蓋が切られる。


 先に動いたのは、第一機動艦隊の攻撃隊と、海氷空母の戦闘機部隊だった。

 二航戦を除く空母9隻から発艦した流星艦上攻撃機243機と彩雲偵察機隊。


 海氷空母からは、主力艦隊の直掩と一機艦の攻撃隊の護衛のための戦闘機が発進。異世界帝国艦隊からは、わずかに残っている戦闘機が飛び立ったが、それで日本軍攻撃隊の物量に対抗できないのは、火を見るより明らかだった。

 また海氷巨大飛行場の日高見の第一航空艦隊、第十一航空艦隊からも、戦闘機に護衛された一式陸上攻撃機部隊が飛び立った。


 連合艦隊と南海艦隊主力が交戦しようとしている矢先、航空攻撃が開始された。


 第一艦隊、第二機動艦隊水上部隊が、正面から異世界帝国艦隊主力に接近。艦隊同士の距離およそ3万8000の時点で、流星艦攻、一式陸攻が遠距離より対艦誘導弾を投下した。


 異世界帝国艦隊は、横列陣を基本に、複数列を形成する戦闘陣形だった。

 正面前列に8隻の戦艦。後列に9隻の戦艦。その左右に10隻ずつの重巡洋艦列がつき、さらに最翼に軽巡20、駆逐艦20ずつ。後衛に軽巡20、駆逐艦30が続く。

 一機艦攻撃隊の誘導弾は、最先頭のオリクト級戦艦8隻に集中した。圧倒的多数の対艦誘導弾の連続攻撃は、通常弾頭だったが主力戦艦の防御シールドを削り、そして砕いた。


 攻撃が集中した結果、3隻の戦艦が沈み、残る5隻が中破ないし大破した。

 そして基地航空隊は、両翼の軽巡、駆逐艦を攻撃。シールドのない駆逐艦は対艦誘導弾1発で大破、轟沈。誘導弾を迎撃しようとして防御に失敗した軽巡洋艦が吹き飛んだが、こちらはせいぜい数隻。駆逐艦はその半数が海の藻屑と化した。


 その間にも、第一艦隊、第二機動艦隊水上部隊の二つの単縦陣は進み続ける。だが、すでに射程に入っている第一艦隊の『遠江』『播磨』、二機艦水上部隊の『大和』『武蔵』の艦首側主砲が仰角を上げ、射撃態勢に入った。


『遠江』『播磨』は換装した新型51センチ連装砲。『大和』『武蔵』は案こそ出されたものの換装していないので46センチ砲だ。これらが41センチ砲搭載戦艦に先んじて火を噴いた。

 1発で1950キログラムに達する51センチ砲弾。対する46センチ砲弾は、1460キログラムである。1トン半近い大和砲と、およそ2トン近い播磨砲。砲術を担う能力者の誘導によって、砲弾は、障壁を破られ大破しているオリクト級戦艦に突き刺さり、トドメを刺した。


 対40.6センチ砲防御対応のオリクト級戦艦の水平甲板を叩き割り、その巨艦を分断、火山の如き大爆発を引き起こした。

 3隻が命中から1分以内に消し飛び、1隻が艦尾を持ち上げながら沈んでいく。これで正面をいく敵戦艦8隻は、大破した1隻を残して沈没した。


 異世界帝国南海艦隊は、戦艦戦力の半分を、一発も撃たない間に喪失したことになる。

 後衛部隊として、前衛の報告を受けていた連合艦隊旗艦『敷島』。その滑り出しのよさに、山本長官も薄ら笑みを浮かべた。


「航空隊で障壁を弱らせ、艦砲でトドメを刺す。上手くはまったな」


 何はともあれ、厄介なのは防御障壁の存在。これのおかげで敵艦を戦闘不能に追い込むか沈めるまで、多くの弾薬を消費してしまう。まだ対障壁貫通弾の生産が間に合わず、数が足りない現状、色々な小細工込みで誤魔化してやっていくしかなかった。


『敵重巡洋艦列、前進を開始! 第一陣、10隻ずつ。計20隻!』


 前線の空は、日本海軍のものだ。海氷空母の制空戦闘機隊が、敵を黙らせ、弾着観測機や彩雲偵察機が戦場を見下ろしている。敵の動きは、筒抜けである。

 草鹿参謀長が口を開いた。


「第一艦隊と二機艦は巡洋艦戦力が手薄ですから、まともにやりあうと手間ですね」


 夜戦浮上部隊である第二機動艦隊には突撃用の重巡洋艦がなく、第一艦隊は、早朝の水雷艇迎撃によりその巡洋艦戦力は半減している。


「では、第一〇艦隊に、敵重巡洋艦の防御をめくらせよう」


 山本の言葉に、作戦を受けて配置についている第一〇艦隊に指示が飛ぶ。

 これを受けた第一〇艦隊は、すでに主力の両翼に展開しており、潜行状態から浮上した。


 二機艦の左翼に、旗艦『伊予』ら戦艦6、特殊砲撃・戦艦型の芦津型8隻、和賀型軽巡洋艦8隻が浮上。

 第一艦隊の右翼には、特殊砲撃・巡洋型の大沼型8隻と、志賀型重巡洋艦8隻が姿を現した。


 向かってくる敵重巡洋艦部隊。それらの砲戦距離に入る前に先制の熱線砲のチャージを特殊砲撃艦は行う。

 艦首甲板上に収束する発光。勘がよい者が見れば、それは危険な兆候だとわかるだろう。異世界帝国重巡洋艦の各艦長も、射程距離前ということもあり、自然と防御シールドの展開を選んだ。

 いかに熱線砲でも、プラクスⅡ級ならば最低一撃はシールドで耐えられる。


 間もなく、特殊砲撃艦が熱線砲を放った。凄まじい光が海上を駆け抜け、異世界帝国重巡洋艦部隊を襲った。

 しかし、兆候から攻撃が来ると読んでいた攻撃は、シールドによって阻まれた。難を逃れた重巡洋艦部隊だが、そこへ第一〇艦隊の砲撃戦部隊が攻撃を開始した。


 志賀型重巡洋艦は、マ式機関で不要になった煙突構造物に仕込まれた六連装対艦誘導弾発射管を発射。

 伊予型戦艦も煙突部の八連装対艦誘導弾発射管を使い、防御障壁を失ったプラクスⅡ級重巡に誘導弾の雨を降らせた。


 瞬く間に、突撃していた前列重巡洋艦部隊が被弾、損傷艦が相次ぎ、半壊状態となる。

 特殊砲撃艦が、エネルギー回復のため潜行で消える中、第一〇艦隊の砲撃艦は、前衛重巡洋艦部隊の残存艦に、砲撃を浴びせる。


 元々は異世界帝国艦だった伊予型戦艦『伊予』『淡路』『越前』『能登』『伊豆』『岩代』は41センチ三連装砲九門、志賀型重巡『志賀』『阿寒』『葉山』『三国』『飯縄』『多度』『七面』『玉置』は20.3センチ三連装砲十二門、和賀型軽巡洋艦『和賀』『白沢』『斉勝』『半田』『大又』『阿仁』『巴波』『初沢』は15.5センチ三連装砲九門と、猛烈な砲撃を叩き込む。


 第二機動艦隊水上部隊と第一艦隊は、第一〇艦隊の支援のもと、さらに南海艦隊主力へ接近する。後列の戦艦9隻と、重巡洋艦20隻、さらに後衛の軽巡、駆逐艦部隊へ。


 二機艦水上部隊は近江型、常陸型、大和型、美濃型の8隻が主砲を巡らし、第一艦隊は播磨型、『土佐』『天城』、紀伊型、長門型、薩摩型以下標準型戦艦がそれぞれの砲門を開く。


 艦隊決戦の前衛戦は、日本海軍が有利に進めている。

 連合艦隊司令部はそう判断するが、敵も黙ってはいない。艦隊後方に展開する潜水艦や彩雲偵察機の索敵網が、それを捉える。


『異世界帝国の重爆撃機の大編隊接近。その数200以上!』

「来たな。敵重爆撃機隊」


 これを乗り切れるかどうかで、艦隊決戦の行方も変わってくる。

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