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第四四三話、敵を求めて


 東南アジア、ジャワ島のバタビア飛行場が、異世界帝国軍の空母航空隊に叩かれた。


 それから一時間ほど、内地から転移移動してきた第二機動部隊が、スンダ海峡のジャワ海側とインド洋側にそれぞれ現れた。


 ジャワ海側は、戦艦、水雷戦隊を中心とした水上打撃部隊。インド洋側は、空母を中心とした航空打撃部隊だ。



●第二機動艦隊

 ○水上打撃部隊:角田 覚治中将


 第二戦隊(戦艦):「大和」「武蔵」「美濃」「和泉」

 第八戦隊(戦艦):「近江」「駿河」「常陸」「磐城」


 第二十七戦隊(特殊巡洋艦):「球磨」「多摩」「阿武隈」


 第七水雷戦隊:(軽巡洋艦)「水無瀬」

 ・第七十一駆逐隊:「氷雨」「早雨」「霧雨」

 ・第七十二駆逐隊:「海霧」「山霧」「大霧」

 ・第七十三駆逐隊:「黒潮」「早潮」「漣」「朧」

 ・第七十四駆逐隊:「巻雲」「霰」



 ○空母機動部隊:山口 多聞中将


 第七航空戦隊(空母):「大龍」「海龍」「剣龍」「瑞龍」

 第八航空戦隊(空母):「加賀」「応龍」「蛟竜」「神龍」


第二十九戦隊(特殊巡洋艦):「北上」「大井」「木曽」

 付属:軽巡洋艦:「矢矧」


 第八水雷戦隊:「川内」「神通」

 ・第七十六駆逐隊:「吹雪」「白雪」「初雪」

 ・第七十七駆逐隊:「磯波」「浦波」「敷波」「綾波」

 ・第七十八駆逐隊:「天霧」「朝霧」「夕霧」「狭霧」

 ・第七十九駆逐隊:「初春」「子日」「春雨」「涼風」



 転移移動を終えた二つの隊は、早速行動を開始した。


 角田隊は、潜水行動でジャワ海を東進。ボルネオ島、セレベス島を空襲後、西進した敵艦隊を撃滅を目指す。

 偵察機が確認したところによれば、戦艦3、大型空母1、中型空母4、巡洋艦10、駆逐艦20である。


 角田隊には空母はないが、潜水行動で敵航空機を回避し、敵艦隊に近接砲撃戦闘を仕掛ける。接近してしまえば、8隻の戦艦の火力で圧倒できるだろう。


 一方の山口隊は、インド洋側からスマトラ島へ向かう敵艦隊に攻撃を仕掛ける。敵は戦艦10、空母15ほか、かなりの大兵力であるが、奇襲攻撃隊を主力に、海氷巨大飛行場『日高見』航空隊の支援のもと、敵航空戦力の撃滅を試みる。スマトラ島の油田を破壊されないためにも、必ず成功させねばならなかった。


 さて、その異世界帝国艦隊だが、スマトラ島ゲルンバン飛行場から飛び立った一式陸上攻撃機改造偵察型――遮蔽装置装備型が接触、その位置を通報した。


 山口隊、8隻の空母からただちに攻撃隊が発艦を開始した。先導、監視の彩雲偵察機に続き、九九式艦上戦闘爆撃機、二式艦上攻撃機が飛行甲板を飛び立つ。


「少々、手順が面倒だろうが、最大限の効果を叩き出すにはやむを得ない」


 山口中将が、旗艦『加賀』の艦橋で言えば、艦長の横井 俊之大佐が頷いた。


「防御障壁がなければ、こちらは飛ばした時点でほぼ勝ちなのですが」

「うむ。攻撃を叩きつけられなければ意味がないからな」


 敵が航行中に障壁を展開していなれば速攻を仕掛け、あれば日高見航空隊の助力を頼む。何もかもスムーズにいけば、敵空母はもちろん、日高見航空隊も加えて、敵艦隊を屠ることができるだろう。


 ――そして何もかも上手くいかなければ、爆弾の無駄使いで終わってしまうわけだ。


 山口を口を引き結んだ。

 日本の戦争継続、国民の存続のために必要となる石油資源。それが内地に届かなくなる事態は避けねばならない。


「日高見も、航空隊が発進した頃か?」

「はい」


 アドミラリティー諸島から、東南アジアへ。転移があればこその海氷巨大飛行場の移動である。第十一航空艦隊は、本来南東方面作戦で使われるものだが、それを引っ張り出したことを見ても、いかに東南アジア防衛が重要視されているかわかる。


「日本の命運にもかかわる大事な(いくさ)だ」


 山口は語気を強めた。


「最低でも空母は全滅! そしてそれ以外もやれるだけやるぞ!」



  ・  ・  ・



 ジャワ海を進む角田隊。その旗艦である戦艦『近江』に、偵察機からの新たな報告が入った。それは、角田中将と司令部を困惑させた。


「なに、敵艦隊が消えただと?」

「転移でしょうか」


 古村 啓蔵少将が首を捻った。ゲートなどは確認されたという報告はない。これまで異世界帝国艦が、何もない状態で転移はやってこなかったが、いよいよそのシステムを実用化したのか。


「あるいは、姿を隠しているだけかもしれない」


 ハワイ沖海戦で、第一艦隊の戦艦群が敵の透明戦艦1隻に大打撃を受けたことがある。今回も姿を消して、日本軍の監視を逃れようとしているだけかもしれない。


「いつ遭遇して戦闘になるやもしれません。障壁を展開させましょう」


 古村は提案した。角田は頷く。

 敵艦隊の針路などから、その未来位置を推測していると、急報が持たされた。


「長官! 緊急電です! タウイタウイが、敵の空襲を受けております!」

「何だとっ!?」


 第二機動艦隊司令部に衝撃が走った。

 敵艦隊は、フロレス海から西のジャワ海に入ってこちらに向かっていたはずではなかったか?


 何故、ボルネオ島とセレベス島の間を走るマカッサル海峡を北上したセレベス海にあるタウイタウイに敵が現れるのか? 空母の艦載機? いや、航続距離を考えれば、往復は不可能。故に、角田隊が求めていた敵艦隊とは違う。


「他に敵の艦隊がいたということか?」

「しかし、これまで偵察機は、他に敵艦を発見しておりません」


 古村は首を横に振る。西進する敵に気をとられて、マカッサル海峡を北上する敵を見逃したというのか。


「……もしや、敵は転移をしたのでは?」


 角田隊が接敵しようとしていた敵艦隊が、西に行くと見せかけ、転移してフィリピン方面に向かった可能性はないだろうか?

 少しして、新たな報告が入る。


「セレベス海を北東へ進撃する敵艦隊を発見せり! 戦艦3、空母5、巡洋艦10、駆逐艦約20! なお艦隊色は紫――」

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