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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第四四〇話、忍び寄る第一機動艦隊


 転移巡洋艦『宮古』は、第一機動艦隊が『ぶ』号作戦においてエスピリットサント島を攻撃の際にアシストをしていたが、その後、ソロモン諸島方面へと位置を変更していた。


 本来は、敵がニューギニア方面に押し寄せ、そこで連合艦隊が迎え撃つ際、海氷巨大飛行場『日高見』や、前線支援部隊用の転移ポイントとして存在する予定だった。


 しかし、転移ゲートを用いた異世界帝国大艦隊がソロモン諸島に現れたことで、その予定は狂った。

 気づけば、もっとも最前線に近い場所にいるのである。


 魔力通信により、第一機動艦隊が転移してくるとなり、『宮古』ではただちに転移中継装置を動かすための準備にかかった。


 まず周辺の索敵。敵水上艦ならびに潜水艦は確認されなかった。いたら転移中継装置作業も見合わせ、必要なら敵を排除しなくてはならなかった。


 日は沈み、夜である。雲が多く、月明かりはない。海上はハリケーンの影響で波が高く、風は強めだが雨はなかった。……今頃、異世界帝国艦隊は、強い風雨に晒されている頃と思われる。


 そして、時はきた。


 第一機動艦隊水上打撃部隊が、次々に『宮古』の周りに転移してきた。



●第一機動艦隊水上打撃部隊:小沢治三郎中将


 第五戦隊(戦艦):「肥前」「周防」「相模」「越後」

 第六戦隊(戦艦):「伊勢」「日向」

 第七戦隊(戦艦):「金剛」「比叡」「榛名」「霧島」


 第十戦隊(大型巡洋艦):「雲仙」「剱」「乗鞍」「白根」

 第十一戦隊(重巡洋艦):「伊吹」「鞍馬」

 第十五戦隊(重巡洋艦):「妙高」「那智」「足柄」「羽黒」

 第十六戦隊(重巡洋艦):「利根」「筑摩」「鈴谷」「熊野」

 第二十戦隊(軽巡洋艦):「黒部」「遠賀」「成羽」


第二水雷戦隊:(軽巡洋艦)「青葉」

 第十駆逐隊  :「秋雲」「夕雲」「風雲」「長波」

 第一六駆逐隊 :「雪風」「初風」「親潮」「天津風」

 第十七駆逐隊 :「磯風」「谷風」「浜風」「浦風」

 第三十一駆逐隊:「巻波」「高波」「大波」「涼波」


第三水雷戦隊:(軽巡洋艦)「揖斐」

 第十一駆逐隊 :「朝霜」「早霜」「清霜」

 第十二駆逐隊 :「高潮」「秋潮」「春潮」「若潮」

 第十五駆逐隊 :「朝靄」「夕靄」「雨靄」「薄靄」

 第十九駆逐隊 :「霜風」「沖津風」「初秋」「早春」



 戦艦10、大型巡洋艦4、重巡洋艦10、軽巡洋艦5、駆逐艦31が、その戦力だ。空母と防空巡洋艦、防空駆逐艦は、ニューカレドニアに待機させてある。


 艦隊は二列の単縦陣を形成した。

 小沢中将指揮の『伊勢』『日向』、第七戦隊の金剛型4隻、第十五戦隊の妙高型重巡4隻、第二十戦隊の黒部型砲撃軽巡3隻、第三水雷戦隊と、栗田中将率いる第十戦隊雲仙型大巡4隻、第五戦隊の『肥前』以下41センチ砲戦艦4隻、伊吹型、利根型、最上型各2ずつ計6隻の重巡、そして第二水雷戦隊の列である。


 双方の艦隊は併走する形で進撃。小沢隊は正面から右舷方向、栗田隊は正面から左舷方向の敵を攻撃すると決められた。


 夜間視界の悪い中、味方への誤射の可能性を減らすためだ。暗視装備もあるが、ハリケーンの強い雨の場合、視認性は低くなる場合を想定したのだ。

 同様に、レーダーも、降雨反射により普段より索敵範囲が狭くなる恐れがあった。


 闇夜を進む一機艦水上部隊だが、予報通り、ソロモン諸島を通過中のハリケーンの強い勢力圏に突っ込んだ。雨量が増して、視界がとても悪くなる。


 波がうねり、駆逐艦が上下に揺さぶられ、重巡洋艦の艦首を波が洗う。ハリケーン突入からおよそ1時間後、サンクリストバル島の南に差し掛かる頃、風雨が弱くなった。途端に、電探が騒がしくなる。


「前方に無数の艦影あり! 距離およそ2万!」

「このまま前進。距離を詰めろ」


 第一機動艦隊旗艦『伊勢』の艦橋で小沢は仁王立ちになる。小沢隊は、三水戦旗艦の軽巡洋艦『揖斐』に続き、針路上に存在する敵性艦隊へ近づく。

 併走する栗田隊の旗艦『雲仙』から、チカチカと発光信号が送られる。


『敵艦隊見ユ』


 一機艦でも、電探の探知距離がクリアになっていき、それに伴い周辺の敵の配置や数が明らかになっていく。


『正面の艦隊は、輸送艦隊の模様』

『左舷の敵は、警戒部隊の模様。巡洋艦ほか、駆逐艦複数!』


 一機艦は、サンクリストバル島の南およそ20キロの地点を進んでいる。前方には輸送船が30隻と護衛艦複数があった。


「このまま敵艦隊の間を突っ切る。上手くすれば、敵は誤射を恐れて撃ちにくくなる!」


 対してこちらは、予め決められた方位の中で捕捉した敵に攻撃する。それ以外の、味方がいる方向は撃たないことになっている。

 大前参謀副長が呟く。


「敵は、攻撃してきませんな。向こうもこちらを捕捉しているでしょうに」

「レーダーだけで敵味方の識別ができていないのだろう」


 神明参謀長は答えた。


「そもそも、ここに我々日本軍がいるとは思っていないから、はっきり識別しないうちは撃ってこない」


 ただ、予定にない航路を進む艦隊がいれば、訝しんだ見張りなり、レーダーマンが報告し、艦の指揮官が正体を確認するよう動いているだろうが。

 夜間、嵐が通過した直後とあれば、誤認を恐れて慎重になるのは間違いない。


『前方の艦より発光信号!』

「――正体を確かめるために、身元を確認しているのだろう」


 小沢は顔をしかめた。もしかしたら敵の周波数で通信が呼びかけられていて返答がないため、探照灯を使ったのかもしれない。

 この辺りで限界か。小沢は口を開いた。


「全艦、増速! 手当たり次第、各個に撃ち方始め!」

「機関、最大戦速! 主砲、高角砲、撃ち方始め!」


 艦長が復唱し、戦艦『伊勢』が目覚める。艦首の41センチ三連装砲が、正面1万6000メートルで発光信号を出している敵巡洋艦めがけて砲弾を撃ち込んだ。


 時を置かず、後続する僚艦『日向』、第七戦隊の『金剛』が発砲した。『伊勢』の前を行く軽巡洋艦『揖斐』も長砲身15.5センチ三連装砲を発射。

 また栗田隊の方でも『雲仙』以下、大型巡洋艦が30.5センチ連装砲を撃ち始めた。


 海面に噴き上がる水飛沫。夜の闇の中、瞬きはやがて、命中と共に大きな火柱となって波を照らした。

・修正報告:伊勢型の主砲(誤)35.6センチ砲 (正)41センチ砲

(88話で、換装されていました。訂正いたします)

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