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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第四三〇話、ニューカレドニア島に攻撃隊を放て


 南東方面艦隊司令部が寄越した増援に、一機艦の小沢 治三郎中将は苦笑した。


「任ちゃんが、気を利かせてくれたらしい」


 同期の草鹿 任一中将の手配は、小沢にとって諦めかけていた、ニューカレドニア島の敵拠点攻撃への早期襲撃を可能とした。


「神明。第八艦隊の空母が加われば、ニューカレドニア、いけるか?」

「哨戒空母は除外として、『飛龍』以下5隻。定数は約300機。おそらくいけるかと。……青木航空参謀、一機艦で使える機体は?」

「烈風63、流星34、彩雲15、青電36です」


 青木中佐は答えた。


「ただし、烈風、青電は直掩で、使っていますので、攻撃隊として使えるのは流星のみかと」

「直掩は、第一次、第二次攻撃隊から無人機を中心に編成すればよかろう」


 小沢は言った。


「第八艦隊の艦載機約300機……。やってみるか!」

「はい。第一次、第二次攻撃隊からも、無人コア機を中心に稼働機を出して追加の攻撃隊として送り出すことも可能です」


 神明の言葉に、小沢も頷いた。


「よし。攻撃隊を収容後、転移移動。第八艦隊空母群と合流。そののち、ニューカレドニア島へ、第三次攻撃隊を放つ!」


 決断は下された。


 昨日に引き続き、転移中継ブイを空輸する重爆撃機『白鯨号』が、ニューカレドニア島まで飛行。中央から南西150キロの海域に、転移中継ブイを投下した。

 第一機動艦隊は、目標を確認すると、艦載機収容後、転移した。



  ・  ・  ・



 ニューカレドニア島は、かつてはフランス領だったが、異世界帝国の侵攻により、同地は占領された。

 オーストラリア大陸からおよそ1200キロ東に位置し、北西から南東へと斜めに伸びたような島で、全長は約350キロ、幅は50キロから70キロという細長である。


 異世界帝国軍は、オーストラリアとハワイ方面を繋ぐ航路として、ニューカレドニア島を支配し、南東にある港湾都市ヌーメアは、これらを往復する船団の拠点であった。


 白鯨号が仕掛けた転移中継ブイによって、第一機動艦隊と、第八艦隊から派遣された分遣隊は、敵が占領する島の至近にて合流した。



○第八艦隊分遣隊

第四航空戦隊(空母):「飛龍」「蒼龍」「雲龍」

第六航空戦隊(空母):「瑞鷹」「海鷹」


 第三十七戦隊(防空巡洋艦):「天神」「物部」

 第九駆逐隊 :「朝雲」「朝潮」「峯雲」

 第十八駆逐隊:「霞」「不知火」「陽炎」

 


 空母5、防空巡洋艦2、駆逐艦6の編成が、第一機動艦隊の指揮下に入った。


 しかしほとんど打ち合わせている時間はなかった。すでに敵地である。

 幸いなのは、おそらくエスピリットサント島、エファテ島の攻撃を知った異世界帝国軍が同地へ偵察機なりを出すだろうが、転移ポイントが島の南西側と、正反対のため、頭上を敵機が通過する可能性はすこぶる低いことだ。


 小沢は、合流した四航戦、六航戦に簡単な命令を出した。


「直掩以外、全力出撃!」


 四、六航戦は稼働機全てを以て、攻撃隊を発進させよ。一昔前の空母ならば、飛行甲板の長さと機体の滑走距離のせいで全機発艦は不可能だったが、現在の日本海軍空母全てに装備されているマ式カタパルトならば、ほぼ全機の出撃が可能となっている。


 小沢の気分としては、フィリピンのキャビデ軍港を機動部隊のほぼ全艦載機で攻撃させたのが脳裏によぎった。


 ともあれ第一機動艦隊側は、一航戦が今日出撃させていない54機全てを投入。残りは四航戦から144機、六航戦から112機が発艦した。


『四航戦、六航戦の各隊は、一航戦の彩雲がそれぞれ先導する』


 これで彼らも、自分たちがどこを攻撃するのか、その行き先について、一航戦の彩雲についていけばわかるという仕組みだ。なお、彩雲の他に対障壁兵器を積んだ一航戦の流星艦上攻撃機と護衛の烈風が各3機ずつ同行する。

 四、六航戦の攻撃隊は、現地についたら飛行場を徹底的に叩け、と言われている。


 ニューカレドニア島には、5つの航空基地があって、北西側から順に『コウマック』『ブレイン・ド・ガイアック』『ラ・フォア』『トントゥア』『マジェンタ』となっている。これの他に、ヌーメアと、島の中央にアヴラタワーが存在している。


 その割り振りは、飛龍航空隊はマジェンタ、蒼龍隊はトントゥア、雲龍隊はラ・フォア、瑞鷹隊はブレイン・ド・ガイアック、海鷹隊はコウマックである。


 そして一航戦だが、彩雲1、流星3、烈風3が四、六航戦の先導を担う一方、残る19機は、島中央のアヴラタワーを破壊に向かった。その編成、烈風9機、流星9機、彩雲1機である。


 これらが第一波として、ニューカレドニア島へ飛び去っていく中、第一機動艦隊の各空母では、第一次、第二次攻撃隊から補給が済み次第発進できる機を中心とした第二波の準備が急ピッチで進められた。


 早朝の攻撃では地上からの対空砲火を受けて、被弾、損傷した機体もあるので、それらは当然、修理のため出撃できない。

 第二波攻撃隊は、ヌーメア港にいる艦艇、船舶を攻撃し、港湾施設と水上機基地を攻撃する予定である。


「現在のヌーメア港の様子は?」


 小沢が尋ねると、山野井情報参謀が報告した。


「今朝の第十五航空戦隊の報告では、輸送船が十数隻、駆逐艦が3隻ほどだったとのことです。……こちらは、特に増援などはいないようですね」

「気になりますか?」


 神明が言えば、小沢は考えるように目を細くした。


「シドニーやブリスベンにいる敵の大艦隊がな。これらが大挙してすでに行動を開始しているかもしれない。十五航戦の、偵察航空隊がその動きを追っているから、すぐにどうこうではないが……いや、案外すぐかもしれないな」

「こうしている間に、ブリスベンを出た艦隊が、ニューカレドニア島を目指し――つまり、我々の後方に迫っている、かもしれない」


 いつ動いてもおかしくない。ぶ号作戦を遂行し、それで終わりではない。すでにオーストラリアに集まった異世界帝国艦隊との衝突は、不可避な状況になりつつある。


「南東方面に加え、エスピリットサント、エファテ、そしてニューカレドニアを叩かれた敵は、どう動くか」


 ソロモン方面経由を諦め、オーストラリア東岸に沿って北上、直接ニューギニア島、ポートモレスビー辺りに乗り込んでくるか。


 そうこうしているうちに、第一波がニューカレドニア島の飛行場へ攻撃を開始した。ラ・フォアに突っ込んだ雲龍航空隊、ブレイン・ド・ガイアックに向かった瑞鷹航空隊が、位置が近かったこともあり、戦端を開いた。

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