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第三八一話、ニューギニア方面偵察活動


 1944年3月下旬。連合艦隊が、異世界大西洋艦隊を破ってさほど時間が経っていない中、近々攻撃目標とされていた南東方面――ニューギニア島およびビスマルク諸島方面攻略に向けての準備が行われていた。


 日本陸軍が大陸決戦に注力しているため、兵が借りられない。結果、海軍単独の作戦となるが、その中心となるのは、稲妻師団と呼ばれる特殊陸戦隊であった。


 そしてそれを支援する南東方面艦隊、その配下の第八艦隊が準備を進めていた。



●南東方面艦隊:司令長官、草鹿任一中将

 ・第十一航空艦隊:草鹿任一中将(南東方面艦隊司令長官兼任)

 ・第一航空艦隊 :福留 繁中将

 ・海氷巨大飛行場:『日高見』

 ・特殊陸戦隊『稲妻師団』


○第八艦隊:司令長官:遠藤喜一(よしかず)中将


 第五十二戦隊(戦艦):「攝津」「河内」


 第四航空戦隊(空母):「飛龍」「蒼龍」「雲龍」

 第六航空戦隊(空母):「瑞鷹」「海鷹」

 第十五航空戦隊(哨戒空母):「龍飛」「大間」「潮瀬」


 第五十三戦隊(大型巡洋艦):「戸隠」「五竜」

 第十七戦隊(重巡洋艦) :「三隈」

 第十九戦隊(重巡洋艦) :「九重」「那須」

 第二十五戦隊(軽巡洋艦):「鳴瀬」「新田」「神流」「静間」

 第三十六戦隊(防空巡洋艦):「天神」「物部」

 第六十三戦隊(転移巡洋艦):「勇留」「鳴門」



第四水雷戦隊 :軽巡洋艦「仁淀」

 第四駆逐隊 :「嵐」「野分」「萩風」

 第七駆逐隊 :「曙」「潮」

 第九駆逐隊 :「朝雲」「朝潮」「峯雲」

 第十八駆逐隊:「霞」「不知火」「陽炎」



 南東方面艦隊は、海氷巨大飛行場『日高見』を中心に、基地航空隊を運用しつつ、東南アジア方面艦隊だった第八艦隊を加え、ニューギニア作戦を遂行する。


 その構成艦は、東南アジア方面艦隊の巡洋艦、駆逐艦に加えて、戦艦、空母戦力が増強された。


 まず戦艦『攝津』と『河内』だが、これらは標的艦として使われていた『攝津』や、事故で沈没、解体された戦艦『河内』の名前を流用した、まったく別の戦艦である。 


 その正体は、セイロン島攻略戦の前哨戦である、敵東洋艦隊に組み込まれていた元英戦艦『ウォースパイト』『バーラム』である。


 これらはサルベージののち、マ式機関に換装、潜水機能を獲得した。主砲は、38.1センチ連装砲から、標準型と同様の41センチ連装砲に変更され、長門型と同レベルの砲戦火力を持つ。


 そして大型巡洋艦『戸隠』『五竜』は、やはり敵東洋艦隊所属だった独巡洋戦艦『シャルンホルスト』『グナイゼナウ』を、大型巡洋艦として改装したものになる。


 こちらも機関をマ式に換装、潜水機能ありで、主砲は長砲身28センチ三連装砲から、妙義型の30.5センチ三連装砲に替えられている。


 空母は中型空母の『蒼龍』『飛龍』『雲龍』、『瑞鷹』『海鷹』の5隻に加えて、通商破壊空母こと、哨戒空母の龍飛型が3隻の合計8隻。ただし、龍飛型は索敵と、敵基地観測のためにそれぞれ単独で活動する。そのため、艦隊として同行する空母は5隻のみだ。


 そして巡洋艦戦力としては、世界初の防空巡洋艦である英ダイドー級の『ボナヴェンチャー』『ナイアド』を改修した『天神』『物部』と、海氷巨大飛行場を転移移動させる転移巡洋艦の『勇留』『鳴門』が派遣され、南東方面艦隊支援に活用される。


 異世界帝国の太平洋艦隊がなき今、南東方面艦隊と第八艦隊、そして第二機動艦隊で、ニューギニア方面攻略を進める予定であった。


 だが、アラビア海海戦により、第二機動艦隊に少なからず損傷艦が出て、修理や補給が必要ということで、当初の予定より作戦開始は大なり小なり遅れる。


 とはいえ、元々、稲妻師団による電撃的奇襲によって、ニューギニア方面攻略を進める予定ではあったから、第二機動艦隊がいなかったとしても段取りが変わる程度である。



  ・  ・  ・



「――やれやれ、樹海ってもんは上から見るとどこも代わり映えしないな」


 小堺 三郎中尉は、彩雲偵察攻撃機に乗り、ニューギニア島を見下ろした。

 哨戒空母『大間』所属の特殊偵察航空隊――特偵隊は、二式艦上攻撃機三二型から、本来の搭載予定だった偵察攻撃機型彩雲が配備された。


 遮蔽装置で姿を消しつつ、高速力と広大な航続距離を獲得し、遠方の母艦からかなり離れた地への偵察活動が可能になった。


 もっとも、小堺ら搭乗員らに言わせれば、航続距離が伸びて長距離偵察をやるというのは、機上の疲労もまた増えることを意味している。


 緊急離脱用の転移装置は搭載されているが、基本偵察隊は、行って帰るまで、普通に飛ぶ。往復合わせて索敵活動である。


 陸上の基地ならともかく、海上の艦隊を探す場合、行きで引っかからなかったのが、帰りで敵艦を発見するということもあるのだ。


 閑話休題。


『何ですか、中尉?』


 パイロットの大松一飛曹が問うてきた。独り言を聞かれたようだ。


「なに、貴様がこの彩雲に慣れたかと思ってな」

『えー、ちゃんと飛ばしてるでしょう? ひっどいなぁ』


 大松は冗談めかしたが、実際、二式艦上攻撃機から彩雲偵察攻撃機への機種転換期間は、およそ一カ月と少し。


 なにぶん戦況は常に動いており、特に哨戒空母の偵察航空隊は、ニューギニア方面作戦が近いということで、訓練もそこそこに前線に戻されている。


 幸い、小堺も大松も、二式艦攻時代に爆撃訓練をしていたから、偵察攻撃機型の彩雲でも、攻撃に関しては特に問題はない。


 雷撃をしろ、と言われると未熟極まりないが、最近は遠距離から誘導弾を撃ち込むのが主なので、機体が変わろうともそこはさほど変わらない。


『しかし、さすがに大きいですな、ニューギニア島は』

「そうだな」


 大松の言葉に、小堺は同意した。

 世界で二番目に大きな島、ニューギニア島。オーストラリア大陸よりトレス海峡を挟んで北にあるその島は、面積では日本のおよそ二倍もある。


『今では、ここが最前線ですもんね。異世界連中は、ここに幾つも飛行場を作ってるんでしょう? 全部を偵察するのも一苦労だ』

「ふん、ハワイでの海氷群探しよりはマシさ」


 小堺が言えば、大松は笑った。


『ははっ、確かに!』


 ハワイでは異世界氷が多数――それこそ数え切れないほど、バラまかれていた。それが飛行場などにならないか、日々観察を続けたのも、だいぶ昔の出来事のように思えた。

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