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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第二九七話、日米合同艦隊、進撃す


「見えました。左舷、アメリカ艦隊です」


 見張り員が、水平線の彼方に浮かぶ複数の艦影を報告した。

 第二機動艦隊と行動を共にする連合艦隊旗艦『敷島』。連合艦隊司令長官、山本五十六大将は相好を崩した。


「おう、来たか。合衆国太平洋艦隊」


 日米合同のハワイ作戦。その一翼を担うアメリカ海軍太平洋艦隊が、第二機動艦隊の視認範囲へ近づく。


 異世界からの脅威に対抗すべく、太平洋戦線を共に戦う友軍。四年前、開戦寸前まで関係の悪化した両国が共闘する日が、訪れるとは考えられなかった。


 当時から連合艦隊司令長官として、対米戦に向けて戦略を練っていた山本にとっても、特別な心境である。

 そして思う。米国と戦争にならなくてよかった、と。


 司令塔に、敷島の通信長が現れ、中島親孝通信参謀に何事か報告した。山本や草鹿龍之介参謀長が見守る中、中島中佐はきた。


「長官、米第三艦隊より入電しました。『アドミラル・トーゴーの後継者と共に戦えることを誇りに思う。かつての海戦のような大勝利を望む』。米第三艦隊司令長官、レイモンド・A・スプルーアンス」


 日本海海戦のような勝利を――実際にその場に参加していた山本は、微苦笑を浮かべた。


「スプルーアンス提督は、東郷元帥を尊敬しているのかな?」

「太平洋艦隊司令長官であるニミッツ大将共々、東郷元帥を慕っているようです」

「うむ……。我々も、開拓者の後継者たちと轡を並べて戦えることを光栄に思う。誓って勝利を」


 第二機動艦隊は、米第三艦隊と併走するように、ハワイへと針路を取る。

 上空警戒の彩雲が飛び立ち、米軍の陣形と編成を確認する。米第三艦隊は前衛四群と、後方に上陸部隊を載せた大船団に分かれていた。



○アメリカ第三艦隊


・第一群

 空母:『エセックス』『ヨークタウンⅡ』

 軽空母:『ベローウッド』『モントレー』

 重巡洋艦:『ボルチモア』『ボストン』『キャンベラ』

 軽巡洋艦:『オークランド』『サンファン』

 駆逐艦:15


・第二群

 空母:『イントレピッド』『スプリングフィールド』

 軽空母:『カウペンス』『プリンストン』

 軽巡洋艦:『クリーブランド』『モントピリア』『デンバー』

 駆逐艦:17


・第三群

 空母:『レキシントンⅡ』『エンタープライズⅡ』

 軽空母:『ラングレーⅡ』

 重巡洋艦:『オーガスタ』『チェスター』

 軽巡洋艦:『サンタフェ』『モービル』

 駆逐艦:14


・第四群

 戦艦:『ニュージャージー』『サウスダコタ』『インディアナ』『ワシントン』

    『バーモント』『ノースダコタ』『ネブラスカ』『オレゴン』

 重巡洋艦:『ミネアポリス』『クインシー』『ヴィンセンス』『ウィチタ』

 軽巡洋艦:『ブルックリン』『ナッシュビル』『セントルイス』

 駆逐艦:13


・他、輸送船団

 戦艦:『コロラド』『ニューメキシコ』『アイダホ』

 護衛空母:11隻

 巡洋艦:5隻

 駆逐艦:55隻



 米太平洋艦隊の陣容に、山本は複雑な表情を浮かべる。

 前衛の戦闘艦隊に限れば、正規空母6、軽空母5、戦艦8、重巡洋艦9、軽巡洋艦10、駆逐艦59。


 巡洋艦には開戦の頃からの艦がちらほら見えるが、戦艦、空母など大型艦は、ほぼ戦中生まれの新鋭艦ばかりである。

 日本海軍からの貸与戦艦4隻、空母が1隻混じっているとはいえ、魔技研の魔力式再生や建造を使わずに、ああまで新型艦艇を揃える工業力は、やはり凄まじい。


 繰り返すが、アメリカともし戦争になっていたら、この恐るべき工業力から生み出された海軍と、日本は戦わねばならなかった。これは勝てない。


 草鹿が淡々とした顔で言った。


「さすがの米軍というところですが、彼ら単独では、異世界帝国の太平洋艦隊を撃滅するには、些か不安な戦力ですね」

「日本と共闘したいと思うのも無理はないな」


 事前の情報では、ハワイに駐留する敵太平洋艦隊は、新鋭艦も含めて戦艦18、空母7、軽空母17、重巡洋艦15、軽巡洋艦20、駆逐艦、約80がいるとされる。


 彼我の戦力で見た場合、米国単独では、ハワイの基地航空隊と共闘できる異世界帝国艦隊のほうが優勢だった。


「だが今回は、我々もいる。異世界帝国の太平洋艦隊を今度こそ撃滅する!」


 日本海軍第二機動艦隊と、アメリカ第三艦隊は、ハワイ目指して東進する。偵察情報によれば、異世界帝国艦隊も、海氷泊地を出撃したとのことだった。

 艦隊決戦の時は迫っている。


「前方警戒機より入電。敵偵察機、第二機動艦隊に向けて接近中!」

「対空電探に感あり! 単独で飛行する物体!」


 異世界帝国軍も、日本とアメリカ両海軍を迎え撃つべく偵察機を飛ばして、位置を掴みにきた。

 敵がこちらを発見すれば、多数の戦艦、空母を含む第二機動艦隊を『主力』と認識して、攻撃隊を放ってくるだろう。


 日本海軍は、遮蔽装置付き彩雲偵察機により、妨害を受けることなく敵艦隊の把握、その動きをすでに捕捉している。


 前衛と後衛の二つに分かれたその編成は、前衛が戦艦13隻、軽空母6隻、巡洋艦20、駆逐艦約40。後衛は空母7隻を中核に、軽空母9隻、戦艦5、巡洋艦15、駆逐艦約30といったところである。


 若干、数が合わないが、別途任務があるのだろう。主力と思われる戦力は間違いなく確認できているので、戦況には大きな影響はないだろう。


 まずは制空権を獲得する。敵太平洋艦隊もまた、日本軍の行動パターンはある程度推測していると思われる。まず空母を潰しにくると、彼らも考えているはずだ。

 その先制攻撃を、オアフ島への空襲に向けた日本軍。これを見て、異世界帝国は、どうこちらが制空権を獲ろうとするか、考えるだろう。


 いつもの奇襲か、あるいは正面からの空母艦載機同士の殴り合いか。


「はたして、どう読む? 敵司令官は」

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