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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第一一二一話、米第三艦隊、突入


「残る海氷空母は三」


 第一遊撃部隊司令官、神明 龍造少将は、レキシントン戦隊が溶かした巨大海氷空母(クノク・アイル1)から、視線を残存する巨大海氷空母群へと向けた。

 一群を奇襲で叩いたが、東海岸から増援としてきた海氷空母群には護衛部隊がいて、それらが第一遊撃部隊の接近を阻もうとしている。


 なお、後ろは見ない。

 帝国第12艦隊は、佐々山中将率いる第五遊撃部隊とハルゼー提督の義勇軍艦隊が対処するからだ。


「むろん、突撃ですよね!」


 連合艦隊首席参謀の神 重徳大佐が勢い込む。


「このまま『蝦夷』『金剛』『榛名』で敵の護衛部隊を蹴散らし、海氷空母を沈めてしまいましょう!」

「しかし数が多いですよ」


 藤島 正先任参謀は口を挟んだ。


「海氷空母をやれるのはレキシントン戦隊の5隻だけなんですから、いくら障壁があるからってそうそう都合よくは――」


 敵海氷空母からアステール、コメテスが少しずつだが発艦している。これらはこちらの突撃の妨害してくるだろう。アステールの光線砲を受ければ、防御障壁も二、三発で剥ぎ取られてしまう。


「海中に潜ってはどうか?」


 神は言った。


「照射型の解氷装置はレキシントン級しか装備していないが、解氷装置自体はどのフネも積んでいる。海中から接近し、海氷空母の真下から溶かせばいい」

「神大佐、真下からだと、異世界氷は溶かせてもそれ以外の部品ですね、格納庫だったり燃料だったり機関だったり鋼材だったりが上から降ってくるんですよ」


 藤島は説明した。


「障壁があるって言っても、一度海に落ちて沈降速度が落ちた残骸が、フネと衝突するかもしれない。それは危ねえってんで、わざわざ照射型の解氷装置を作ったんですよ」


 ただの氷の塊であったなら、紫星艦隊(紫の艦隊)がやったように、解氷装置を作動させてそのまま突っ込めばよかった。だが海氷空母内は、氷以外の重量物や爆発物が散在している。


「大丈夫だ」


 神明は言った。


「援護は現れる」

「司令、米第三艦隊より入電です!」


 通信長が報告した。


「『我、転移準備完了。合図を待つ』」

「米第三艦隊に打電。ゲート開く、以上」



    ・   ・   ・



 レキシントン戦隊の陣風戦闘機隊がアステールとコメテスの襲来から第一遊撃部隊を守るのに合わせて、空母『翔竜』『雷竜』『海龍』『白鳳』『蒼鳳』の航空隊が戦場に到着した。


 F4Uコルセア――暴風改戦闘機、紫電改二戦闘機が円盤兵器に向かって、転移誘導弾を撃ち込んだ。

 強固な装甲を誇るアステールも、その機体内で爆発してしまえば、内部機械に重大なダメージを与えることができる。


 その間にも『蝦夷』隊、そしてレキシントン戦隊がそれぞれ、残る海氷空母群へ向かう。護衛部隊の重巡洋艦が丁字を描くように、第一遊撃部隊の頭を押さえるように機動。無人機母艦はスクリキ無人戦闘機を射出し、海氷空母の防空を行う。


 この時、第一遊撃部隊に所属する装甲艦『黒雷』『鳴雷』はそれぞれ別方向へ移動し、部隊から距離を取ると転移ゲートを開いた。

 魔法陣型ゲートの光が消えた時、そこには米太平洋艦隊――ウィリス・リー大将率いる第三艦隊が展開していた。


「日本艦隊を支援しろ」


 第三艦隊旗艦、戦艦『ニュージャージー』の艦橋から、リー提督は命令を発した。


「空母は艦載機を射出しつつ後退。戦艦、巡洋艦各戦隊は、異世界人の艦隊を砲撃せよ。この距離ならば、いけるはずだ」


 戦艦『ニュージャージー』『ネブラスカ』『バーモント』は16インチ砲を指向させ、『アリゾナⅡ』『ネヴァダⅡ』『オクラホマⅡ』は18インチ砲を旋回、砲撃態勢に入る。


 歴戦の『ボルチモア』以下重巡洋艦部隊も長砲身8インチ三連装砲を振り向け、第一遊撃部隊の針路を阻もうとする異世界帝国重巡洋艦戦隊へ砲撃を開始する。

 日本艦隊は、あの巨大海氷空母を仕留める能力がある。それは米国人にとって、母国を破壊する円盤兵器の基地の破壊に他ならない。


 米本土を救いにきた東洋のサムライたちに後れを取るわけにはいかない。アメリカ海軍軍人として、全力で第一遊撃部隊を支援した。

 元々、米太平洋艦隊は日本海軍と共闘する機会もあり、リー提督を含めて、艦隊乗員にはハワイ沖などで共に戦った者も少なからずいたのであった。


 日米戦闘機隊がアステールを阻止し、戦艦『蝦夷』『金剛』『榛名』、そして米第三艦隊の砲撃で敵護衛部隊を踏み潰すと、レキシントン戦隊は残る巨大海氷空母を蒸発させる任務に取りかかった。



   ・   ・   ・



 一方、ムンドゥス帝国第12艦隊は、正面の第五遊撃部隊と義勇軍艦隊を相手どっていた。

 艦隊司令長官、リスィ・メハル中将は声を荒げた。


「おい、前の奴らを相手している間に、海氷空母がやられているぞ!」


 荒々しい赤毛の女性提督は、その不良じみた顔を歪める。


「どういうことだ!? いつの間にか抜かれているじゃないか!」


 そうなのだ。最初に出現した日本艦隊のようなもの――第五遊撃部隊に対応すべく陣形を整えていたら、前線を突破され、守るべき海氷空母群がやられ始めていたのである。


「とりあえず、空母で準備の終わった攻撃機隊を出して、後ろの奴らを対応させろ!」


 メハル中将は、参謀長を見た。


「おい、正面の敵はこちらのおおよそ半分だよな? 戦力を半分に分けて、後ろの救援に行くべきだと思うか?」

「長官、我々の任務は敵艦隊への反撃であります」

「んなことはわかってるんだよ!」

「では、正面の敵に全艦隊で突撃を」


 参謀長はさも当たり前のように言った。戦力を分けるかというメハルの問いに対する参謀長の答えはそれだった。メハルは手を叩いた。


「よし、では突撃だ! 全艦、突撃!」


 そもそもこの提督は、防衛や護衛などという思考はほとんとない。敵と見れば喰らいつく。狂犬メハルは突撃を選ぶのであった。

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