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第一一一三話、アメリカ艦隊、動く


 北米救援作戦は、日米の共同作戦となった。

 目標は、北米大陸西海岸から内地に飛来する円盤兵器アステールの基地である巨大海氷空母群を全滅させる。これにより空襲能力を大きく削ぎ、米本土空爆による被害ペースを大幅に下降させるのである。


「西海岸の敵を叩いたところで、東海岸にも敵はいる」


 ウィリアム・ハルゼー中将は旗艦を『エンタープライズⅢ』に変え、今回の作戦に参加する。

 ロジャー・ミッチェル参謀長が口を開いた。


「まあ、こちらが西海岸で派手に暴れれば、敵は東海岸の海氷空母と円盤兵器を追加で送り込んでくるでしょうから、それを返り討ちにすることも任務のうちに入ってます」

「来ると思うか?」


 ハルゼーが挑むように言えば、ミッチェルはニヤリとした。


「敵も本国から切り離されていますから、ここでしくじるようなら後がないでしょう。来ますよ」

「フン、まあ精々、囮として引きつけて返り討ちにしてやるさ」


 歴戦の提督は、飛行甲板に並ぶマ式エンジン搭載型F6Fヘルキャットを見やる。


「こっちにも転移誘導弾があるんだ。一方的にやられるだけではないぞ」


 義勇軍艦隊の支援部隊と、佐々山艦隊の協力で装備された誘導兵器。日本軍の円盤兵器対策と同様の装備を、義勇軍艦隊は米本国より先に運用していた。


「ようし! いよいよだぞ」


 ハルゼーは闘志を剥き出しにする。

 ウルシー環礁に停泊する避難船団を守る義勇軍艦隊だが、そこから北米救援作戦のための艦隊が移動を開始する。

 その戦力は、以下の通り。



●義勇軍艦隊:司令長官、ウィリアム・F・ハルゼー中将

       参謀長、ロジャー・ミッチェル大佐


無人戦艦:「ネヴァダ」「オクラホマ」

空母  :「エンタープライズⅢ」「レンジャー」

軽空母 :「インディペンデンス」「ベローウッド」「モントレー」

大型巡洋艦:「ユタ」「ニューヨーク」「テキサス」

転移巡洋艦:「ロッキー」「カスケード」

重巡洋艦:「グッドホープ」「モンマス」「シャルンホルスト」

防空艦 :「スペリオル」「ヒューロン」「オンタリオ」(異世界帝国防巡改装)


駆逐艦:「バックレイ」「パターソン」「ラルフ・タルボット」「ブルー」

   :「ジャービス」「モンセン」「ブキャナン」「マッカラ」「ラフィー」

   :「クラーク」「マクドゥガル」「スミス」「プレストン」「ウォーク」



 修理が必要な艦艇を除いてのそれは、単独で北米救援に向かう戦力としては不足である。しかしルベル世界からの帰還までに数々の激闘をくぐり抜けた結果であり、全艦揃っての出撃が叶わないのは仕方のないことだった。


「転移座標、来ました。太平洋艦隊と合流できます!」

「よし、『ロッキー』に指示を出せ。艦隊転移だ!」


 異世界帝国軍のゲート艦艇鹵獲改装の転移巡洋艦『ロッキー』が、ただちに魔法陣型ゲートを開いた。

 義勇軍艦隊は魔法陣の範囲内に収まり、次の瞬間姿を消すのであった。



   ・  ・  ・



 その頃、アラスカより出撃したアメリカ海軍太平洋艦隊もまた、日本の秩父型転移巡洋艦の支援を受けて、米本土西海岸近海へと転移を行っていた。

 指揮官を務めるのは、ウィリス・A・リー大将である。歴戦の大砲屋であり、太平洋艦隊にいたことで、イーストカバー作戦における膨大な戦死者の列に加わることなく生きながらえてきた司令官である。


「正直、肩身が狭い思いだった」


 リー提督は、旗艦『ニュージャージー』の司令塔にいて、海原を見やる。


「本土が異世界人の円盤兵器に蹂躙される中、対抗策がない海軍はアラスカへ逃げるしかなかった」


 いわゆる艦隊保全。南米大反攻で海軍は戦闘艦艇の多くを失った。その数少ない生き残りや本土で建造が進められていた新鋭艦も、すべて太平洋艦隊へ合流した上での後退だった。

 その戦力は――



●アメリカ海軍太平洋艦隊:司令長官、ウィリス・A・リー大将


戦艦:「ニュージャージー」「ネブラスカ」「バーモント」

  :「アリゾナⅡ」「ネヴァダⅡ」「オクラホマⅡ」

空母:「エセックス」「レキシントンⅡ」「エンタープライズⅡ」「プリンストンⅡ」

  :「フランクリン・D・ルーズベルト」

軽空母:「ラングレーⅡ」「カウペンスⅡ」

重巡:「ボルチモア」「ボストン」「キャンベラ」「ウィチタ」

  :「スクラントン」「チャールストン」「モントゴメリー」

  :「ノーザンプトン」「ケンブリッジ」「ブリッジポート」

  :「カンザス・シティ」「タルサ」

軽巡:「クリーブランド」「モントピリア」「ウィルクスバリ」

  :「デイトン」「ブルックリン」「セントルイス」

  :「フィラデルフィア」「ナッシュビル」「シャイアン」

  :「チャタヌーガ」「ウースター」「ゲイリー」

防空巡:「アトランタ」「サンファン」「サンディエゴ」

   :「ツーソン」「ジュノー」「スポケーン」「フレズノ」

駆逐艦:58



 戦艦6、正規空母5、軽空母2、重巡洋艦12、軽巡洋艦19、駆逐艦58。小型艦艇を合わせれば、かなりの規模に見えるが、戦艦、空母の数は異世界帝国軍の平均的な規模の艦隊のそれにかなり劣勢だ。

 質の面では18インチ砲搭載のアリゾナ級戦艦3隻や、アゾレス級空母の三番艦『フランクリン・D・ルーズベルト』が加わっている。


 が、それが加わろうとも、本土を破壊する円盤兵器群には対抗できない。


「普通に考えれば、出撃しても意味がないと思われるところではありますが」


 参謀長の発言に、リーは自身の眼鏡をとるとハンカチでレンズを拭った。


「だが直接砲火を交えるだけが戦いではない。大砲屋としては思うところがないわけではないが、協力してくれるジャパニーズのためにも、己の役割は全うしようじゃないか」


 太平洋艦隊は、アラスカから米本土へと進撃する。故郷を破壊する敵を打ち倒すために。

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