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第一〇九五話、オルモック湾海戦


 第一遊撃部隊第五部隊は、オルモック湾に展開している異世界帝国軍に接近しつつあった。

 武本 権三郎中将の遊撃部隊第二部隊が、異世界帝国軍の上陸支援部隊である戦闘第四群と交戦している一方、その後方に戦闘第一、第二、第三群の空母機動部隊が控えていたのだが、第五部隊は、その後ろに迫っていたのである。


 カラーリングだけ変えた鹵獲無人艦隊である第五部隊は、戦艦4、空母3、重巡洋艦4、軽巡洋艦6、駆逐艦20からなる。


 これに対して、異世界帝国軍の三つの機動部隊もまた戦闘態勢をとった。

 その編成は以下の通り。



●ムンドゥス帝国フィリピン攻撃艦隊:(残存)


○第1戦闘群:高速遊撃艦隊

 空母:「アゾレス」「バミューダ」

   :「バンカーヒル」「ホーネットⅡ」「フランクリン」「タイコンデロガ」

   :「ヨークタウンⅡ」「シャングリラ」「レイク・シャンプレイン」

 軽巡洋艦:「ニュー・ヘヴン」「ウィルミントン」「ヴァレーオ」

     :「ヘレナⅡ 」「タラハシー」「ロアノーク」「サヴァンナ」

 駆逐艦:32



○第2戦闘群:戦闘主力艦隊

 空母:「ランドルフ」「ワスプⅡ」「ベニントン」「ボクサー」

   :「オリスカリー」「レプライザル」「アンティータム」

 軽空母:「カボット」「バターン」

 軽巡洋艦:「オークランド」「リノ」「フリント」

 駆逐艦:24


○第三戦闘群:機動遊撃艦隊

 空母:「インプラカブル」「インディファティカブル」「カレイジャス」

   :「ヴィクトリアス」「アークロイヤルⅡ」「イーグルⅡ」

   :「トライアンフ」「ヴェンジャンス」「ウォリアー」

   :「グローリー」「パーシューズ」「マジェスティック」

   :「オーディシャス」「レヴァイアサン」「テリブル」「マグニフィセント」

   :「コロッサス」「オーシャン」「パイオニア」「シーシュース」

 重巡洋艦:「ドーセットシャー」「ノーフォーク」「デフォンシャー」

 軽巡洋艦:「シュパーブ」「バーミンガム」「グロスター」

     :「リヴァプール」「マンチェスター」

 駆逐艦:43



 戦艦、重巡洋艦は、昨夜の戦いで全滅。空母は互いに航空攻撃をかけなかった結果、無傷であり、その護衛の軽巡洋艦と駆逐艦が残っていた。

 後方から接近する日本軍第五部隊に対して、反転した異世界帝国軍の三つの機動部隊のうち、英国鹵獲艦隊である第三戦闘群が真っ先に前進した。

 この部隊は唯一、重巡洋艦が3隻残っており、軽巡洋艦も5隻、駆逐艦は43隻と一番多かった。


 これら水上打撃部隊を繰り出し、その後方から英国製空母もまた、まるで自身も巡洋艦であるように突撃に加わった。

 日本軍第五部隊もまた、空母3隻を後ろに置き、鹵獲オリクト級戦艦を先頭に突撃する。

 主砲の40.6センチ三連装砲が相次いで火を噴く。白波蹴立てて突き進む重巡洋艦――『ドーセットシャー』『ノーフォーク』の周りに水柱を屹立させた。


 戦闘第三群の英駆逐艦は、横陣に展開しつつ距離を詰めてくる。巡洋艦戦隊に攻撃を引きつけているあいだに、魚雷の射程内に多数の艦が入り込めるように。


 そしてこの時になって、『インプラカブル』ほか、空母群の飛行甲板に並べられた無人航空機が発艦を開始した。

 英国製の20隻の空母が風に艦首を向けて、鹵獲F6Fヘルキャット、シーファイア戦闘機、TBFターポン攻撃機を繰り出す。


 が、針路を変更した空母に、海中に潜んでいた刺客が雷撃を行った。


 第一遊撃部隊、第四部隊――第五部隊の裏部隊として潜航していた潜水型空母4、潜水艦14隻の部隊である。


『伊600』『伊701』ほか、マ号潜水艦の貫通魚雷攻撃は、護衛のまるでいない英空母に次々と命中。鮫に食いちぎられたクジラのように艦体を抉られ、大穴を開けられた空母が沈んでいく。


 1万3000トンのコロッサス級、1万4000トンのマジェスティック級の軽空母に近いこれらは、商船基準の船体にすることで量産性と建造速度を上げた型である。これらに異世界帝国モデルの改修型貫通魚雷の直撃を耐えられる性能はなかった。


 2万3000トン級のイラストリアス級、3万6800トンの大型空母オーディシャス級は、それなりの対策が施されていたが、貫通魚雷を複数本受けて耐えられるものでもなく、こちらも葬られていく。


 艦載機を全て展開する間はなかった。十数機が飛び立ったところで、英国空母群は壊滅してしまう。

 だが、艦載機を展開したのは、戦闘第三群だけではなかった。


 さらに後ろに控えていた米鹵獲機動部隊である第一群、第二群からも攻撃隊が飛び立った。アゾレス級大型空母2隻、エセックス級空母14隻から発艦したF6F、SB2Cヘルダイバー、TBFアヴェンジャーが、無人艦隊である第五部隊へと迫った。


 第五部隊も3隻の空母から鹵獲ヴォンヴィクスやエントマ戦闘機が発艦し、異世界帝国軍の鹵獲航空機を迎え撃つ。

 双方ともに鹵獲機同士の戦いは、地球側が異世界帝国製を使い、異世界帝国軍は米国製航空機を使うという逆転現象を引き起こした。


 第五部隊は英国水上打撃部隊と砲撃を繰り返しつつ、航空機からの爆撃や雷撃にさらされた。航空機の数は圧倒的である。直掩戦闘機も多数のF6Fに阻まれ、艦爆、艦攻の猛攻にさらされた。

 水上艦と航空機の猛攻に、第五部隊の鹵獲艦は次々に被弾。大破し、転覆していく。


 しかし、異世界帝国軍が鹵獲艦隊に集中している間、戦闘第一群、第二群の空母部隊も日本軍機に襲撃された。


 第一遊撃部隊、第四部隊の『鳳翔』『海龍』『白鳳』『蒼鳳』の潜水型空母の奇襲攻撃隊、さらに第三部隊の空母『翔竜』『雷竜』『コンステレーション』の攻撃隊も、呂401ほかの転移中継装置で海面近くから飛び出すと、米鹵獲空母を攻撃した。


 紫電改二戦闘機、流星改二艦上攻撃機、暴風戦闘爆撃機、五式艦上攻撃機などなどが、ロケット弾や対艦誘導弾を投下。大型空母『アゾレス』『バミューダ』の飛行甲板を叩き、エセックス級空母にも被害が続出。空母『ハンガービル』『ボクサー』が爆沈し、『タイコンデロガ』『ワスプⅡ』『アンティータム』が大破した。


 護衛の駆逐艦が対空砲火を打ち上げたが、それらが効果を発揮する前に、戦闘第一群と第二群は魔法陣型ゲートを使って転移離脱した。

 母艦に置き去りにされた鹵獲航空隊は、日本軍第五部隊を潰滅させるのと引き換えに、残存機はレイテ島へと飛び、そして不時着を試み果てていった。


 かくてフィリピン、レイテ島を巡る海上の戦闘は、ひと段落がつくのであった。

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