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闇の男

ガブリアス小説初めてかく。漢字むずい。

俺の死に様は比較的ありきたりなものだった。

トラックもとい、大型貨物自動車と、横断歩道で、派手に接吻をかまし散らかしたのだ。

何故そんな酔狂なことをしたのかというと・・・


「もういい。そんなものはどうでもいいんだ。重要なのは、「君が死んでいる」ということだけだ」

ここからクライマックスを迎えるというところで俺の話は遮られる。

「もっとさ、褒められてもいいと思うんだよ。俺のつまらない人生における唯一の美点なんだからさ。」

「道路に飛び出した子どもを助けて死んだ。字数にすれば18文字だ。よかったな。かっこよく死ねて本望だったろう?」


芸術的なまでの棒読み。この女は俺に興味がないのだということがよくわかる。


「で?」


暗闇に目が慣れてきた。ここは狭い部屋の中のようだ。女の座る椅子の肘掛けにあしらわれた鳥の装飾が鈍く光っている。あれは鴉だろうか?


「どうなるんだよ。俺は。もしかしてあれか?転生か?転生させてもらえるんでしょうか?」


ここで初めて女が嬉しそうに目を細めた。寒気がした。悪意に満ちた眼がカラスの装飾と動揺に、それでいながら純粋な子供が見せるそれと同じように、輝いている。


「ご明察。転生だ。お前にはカードになってもらう。」

「カァド」


思わず復唱した。カァド、角、カードかと遅れて理解する。クレジット、トレカ、アドベント、あらゆる種類のカードを思い浮かべた。


「嫌です。なんでそんなものにならなくてはいけないんですか。」


俺の声は震える。


「おまえが助けたあの子ども」


真っ先に思い出すのは滑らかな長髪と制服。近隣の女子中のものだろう。顔は思い出せないがとびっきりに可愛かった。気がする。そうであってくれ。


「あいつはサイコパスだ。」


言葉に詰まる。


「名前は羽水 砂湖。IQは180を誇り、生物を解体しながらその過程を楽しむ。人間も例外ではない。典型的なサイコだ。彼女は26歳の時に宗教にのめり込み、信者達の力を利用して新型の爆弾「バンクーバー君」を開発する。」


「バンクーバー・・・君・・・」


ダサい名前だ。ダサすぎる。現実味がない話だ。


「バンクーバー君は人類史が生み出してきた兵器の中でも一二を争うほどの傑作だ。その威力は筆舌に尽くし難い」

「・・・俺は・・・大量殺人鬼を助けてしまったと言うのか」

「信じられないなら私の魔法で見せてやろう」




赤い閃光。焼ける肉の海。そして、俺は地獄を見た。「エグい」や「グロい」をいくら盛り付ければ良いのだろうか。その光景は彼女の言うとり本当に筆舌に尽くし難いというほかなかった。直にその臭気と感触に触れた俺は、もう彼女を疑う気は無くなっていた。


「どうだ」

「全部・・俺のせい・・・」


人生の美点どころではない。汚点。否、クレーターだ。


「どうにならないか」


女はニンマリと、本当にいやらしく口を歪めて笑いながら言った。


「方法は二つ。一つ目は時間を巻き戻し全部無かった事にする方法。その場合彼女は死に、お前は生き返る。だがその場合お前が死んだ意味もなくなるのではないか?」


その通りだ。俺は格好付けてかわいい女の子のために死にたかっただけなのだから。32年間、長い間ずっと終わらないクソ映画を見せられ続けているようだった。これと言って特に何も起こらない、こんなものを後何十年も見せられ続けるのはうんざりだった。


「二つ目はお前がカードになって、私の仕事を手伝うこと」


だから俺は横断歩道の真ん中で佇んでいた彼女見つけたとき絶好のシチュエーションだと思った。ちょうど良く、キリが良く、最高に。だが、あんなに死人が出るとわかっていたら、俺は同じ決断をしただろうか。


「後者であれば彼女は生きのび。お前は死んだままでいれる。尚且つ彼女による死人も出ない」

「カードに・・・なるよ」


選択の余地はなかった。


「契約成立だ」


背後に誰か立っているのに気づく。


「アリガトウ。ベンツ。世界ノ端デ マタ会オウ」














おっす俺がブリアす。めちゃつおい。

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