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第5話 ㉔[アホのシェルフ]

 

『谷戸賢治ちゃん!!彼女はね、簡単に言ってしまうと被害者なのですよ姉上』


 意気揚々と語る。


「被害者? 魔王が? あり得ない、魔王とはどう転んだところで加害者だ。常に加害者であるからこその魔王だろう?」


『だからそこの認識が違うんですよ、彼女は聖女王候補でもあるのです』


「話の要領が掴めん、お前が言っているのは魔王の話ではなかったのか?聖女王は魔王になれないだろう」


 ダン!


 シェルフの言葉に、2人の会話に今まで入らなかったエルフが足で床を叩く。


「さっきから聞いてれば、言うに事欠いて今度はケンちゃんの事を愚弄する気?」


「何だ急に?」


「添桔さんの好きなキリスト教をバカにするのは我慢できるけどあの子を加害者呼ばわりするのは我慢ならないわよ?」


(あの子とは、魔王の事だったのか? ケンちゃん、ふむやはり女の子だったか)


「お前らの教義は知らんが、魔王が生まれるということは世界に理不尽が跋扈する、弱い生き物は生きていけぬ。そして聖女王は弱者を救う存在、この二つは相入れない、大体ケンジという女はあのクレイの生まれ変わりだろう? お前を騙していると考えるのが妥当だが」


『姉上、そうではない。イートが恐怖したのは事実だがそれはクレイとの血の繋がりの方を感じての事だ。あの子はクレイの一人娘だからな』



「は?」



(クレイの娘? 待て、ケンジは神聖勇者の娘では? いや、待てまさか?!)


 想像出来た筈だ。

 しかし、拒否した。そんな最悪を超えた想像は考えたくなかったのだ。



「神聖勇者と、始まりの魔王が子を成した? まさか、じゃあもうこっちの世界には魔王が就いているのか? だが魔法が信じられていないのはどういう事だ?矛盾するぞ??」


『まだ玉座も、魔王も成ってない。どうやらそっちの世界の神聖勇者が見つかってないらしい』


「いやマシューが選べば良いだけだろう? 子を成すくらい仲良ければ」


『私の予想ですけど、おそらくケンちゃんを産む為に夫婦になったのではないかと思います』


 伝説通りならマシューはクレイの首を斬っている。

 だからこの2人の子供などあり得ないと最初から否定していた。それほど意外だった。


「ケンちゃんは可愛い娘よ? ただ母親が少し毒親でね? 可愛すぎる娘に嫉妬して男に変えちゃったの。だからあの子は被害者なの」



「何? 待て、情報量が多すぎる。男にされた? 聖女が?」


『…………多分だがあの子は賢治はアンネの生まれ変わりではないか? そうなると理解してマシューが魔王を嵌めたのではないか? マシューとアンネは兄妹の様に仲が良かった。しかしそのことに嫉妬したクレイが自分の娘を、男に性転換した』




「なんだと?! それではそんな、そんな歪んだ物語などあってたまるか!」


『ええ、あんな可愛い聖女を男にするなど、伝説以上の魔王です。しかも愛娘を、とんでもない罪です』


(もし本当にアンネが、伝説の初代聖女王が生まれ変わったのならその魂は全て聖女、それを確認したのなら間違いなく自分の好きだった女の生まれ変わりだと知っていた筈だ! だというのに一時の気の迷いで大魔法クラスの性転換を行うだと? 私は勘違いしていた? 私が悪虐魔王だと思っていた女は居なかった、そんな男にされた聖女だなんて、可哀想な聖女だなんて…………だ、大好物じゃないか!!)



 口端から唾液が漏れ、表情が一気に緩む。

 戦士が獲物を見つけた時の表情だ。


「もしかして絶世の美少女なのか?? そうだよな? 聖女の魂を持った女は例外なく美しいはずだ! それで男の体なのだろうぐへへへ」


『まつ毛が長く基本的に女の子の輪郭です、少食のせいか華奢で線の細い体つきで身長は姉上と同じくらいでしたが最近魔王の才覚が目覚めて現在は更に女の子に戻ってます。その、どうやらアイドルを目指してる様で雑誌に載ったんですよ。今日』



「写真とは写実的なあのツルピカな紙の事か!!み、見せろ!!」



 己の命をかけて魔王を討伐しに来た聖女様はどうやら出先の幼女に夢中に成ってしまった様だ。ちょろい。


「ケンちゃんの写真が見たいのね!! 私が古のアーティファクト! [プリンター]で作っておいたものがあるわ!! 本体値段はそれほどでもないのにインク代が異常に高いという古代の仕様のままだけどあの子の身姿を写すのなら安い物! さぁさ魅なさい、あの子の本当の姿を!」



 バサァ!


 数束の写真の内からひとつだけを聖女様に渡した。

 一体いつの間に何処から出したのだろうか?


 手の裏にキモオタの様な汗をかきながら慎重に取り出す。


「これはっ!! 何という名状し難いっ! 何だこれは無駄に可愛い服ばかり! これはふかふか着ぐるみ?!マンガのような茶色いくまさん?! 幼女に着せる為に生まれた様な服ではないか! これは可愛いくまさんがプリントされたパンツ! そしてその子供っぽいパンツをしてる事を自覚しているであろう恥ずかしがった表情とメスの視線! …………おいこのメス中身がエロ可愛いぞ!」


 あっという間に魅了された。


『姉上、まさかとは思いますが…………』


「私の回復嫁にしたい」


『び、びっくりするぐらい思い通りですね姉上! 確かにそういう風に誘導しましたけど! …………あの、聞いてます?』


「聞いてません! そしてこんな可愛い女の子を今まで内緒にしていた事を私は許せない! 裏切り以上に許せん! 可愛い女の子はみんなで愉しむべき象徴だ! アイドルとか言っていたなとっ捕まえてそっちに戻って刻席の連中の監視の元、慰み者にしてやる! 戦力強化だ!!」


 賢治の魅力による強化魔術を写真から見抜いたゴリラ聖女様は正確にその有用性を見抜いていた。


 というか個人的に美味しい大好物(バナナ)を味わいたい。


(グヘヘへ、男の体にされてる今が一番熟れごろだ。体を味わい尽くして女の喜びを男の体で味わわせてやろう。まさか私の歪んだ性癖に合致するメスがこんな寂れた世界にいるとはな、()()()()()()()()()()、女の子にしなくっちゃあねぇ❤︎)


 魔王から美聖女を奪い取ると心に決めたゴリラ聖女様。

 舌舐めずりをして味を想像する。エグい表情だ。


『姉上、残念ながら今の貴女はあの子に敵いません、ステータスは確かに貴女の方が上ですけど今の貴女は私が渡した術式で封印(デバフ)されています。これは解除しません』


「何だとこの裏切りものめ! だが残念だな! 我慢できん! 例え返り討ちに遭おうとも!こっちにいるはずの裏切りの黒猫と戦おうと私はこの可愛いメス聖女を❤︎(R-18)す」


 その言葉に、一番引いたのはアイナであり。一番キレたのはエルフだった。


「おい、そこの緊縛おっぱい金髪!」


 酷いあだ名が決定した。

 まだおっぱいにかけた呪いは解いていない。


「何だエルフ! お前は私にあの子を紹介するために居るのだろう? もう役目は果たしたのだから消えて良いぞ? この呪いも私一人で解呪できなくもないしな! その時は貴様に倍返しの呪詛返しだ! ふはははは」


 緊縛された胸を張りながらゴリラ聖女は笑う。

 そう、魔術を使えなくてもできる呪いとはお手軽な反面返された時が一番怖い。


「……私の名前はエルフじゃない、私は櫻、いいえ、私は!!」


 ガバ!!


 早脱ぎ、黒ジャージを脱ぎ。()()()を露にする。


(えっっっっ)


 上着は白の女性用Tシャツ、おっぱいがパツンパツンだ。

 しかしゴリラ聖女は最初から知ってた爆乳ではなく下半身に履いていた物に注目した。


 長い御足、すらっと白魚の様にぴっちりした肉肉しい白い足に黒いストッキング、ではない、肌が見えているのだからそれはニーソックス。


 黒ニーソである。


(な、何でこいついきなり下を脱ぎ出しパンツ一丁でドヤ顔なのだ?? 女エルフなど興味ないんだぞ、虫は苦手だ、ぜ、全然エロいとか思ってないぞ)


「私は『黒ニーソせんせぇ』とあの子に名付けられた女!! 黒ニーソ隊の隊長!私の前であの子に都条例違反をするなんて絶対許さないわ!お触りは厳禁よ!チェキ (一緒に写真撮影)は応相談!」


 変に躍動感のある漫画の有名なポージングで固まりシェルフを睨む。


『YESマイニーソ!』


「!??」


 手鏡に写ったアイナが謎の呪文を口にする。


「アイナさんの様に貴女も黒ニーソ隊見習いなら私がニーソックスを見せたら『YESマイニーソ』と言いなさい!!」


「いや、そんな組織に入った覚えはない。いや入れるな」



「…………貴女黒ニーソも似合いそうね?」



 全く話を聞いていない。


「貴様、私の胸部をこんなにしておいてまた何か着せようというのか?」


 不退の聖女が後退り警戒する。

 まるで野生の猫の様だ。


『隊長、我が姉上が着る物はもう私が決めてあります。彼女は魔法少女になってもらうのですよ!!』


「…………は?」


 手鏡を割りたくなる衝動を抑えて侮蔑の目を向ける。


『魔法少女ですよ! 姉上♡ 魔法少女! 「魔法少女シェルフたん」になる時が来たんです!! デュフフフフひふひひひひ♡』


 それは最近異世界で流行っているマンガで更に流行っている出版物。

 悪の怪人を純潔シェルフたんがやっつける (服を引き裂かれながら)長編魔法少女マンガ、只今連載中の聖女不敬出版物である。


 魔法少女シェルフたんの礼装は白い色を基調としひらひらしたレースでドレスの形を取っているが局所が肌を露出し水色の下着がチラチラと動くと見える仕様だ。


 顔を隠すベールはないがまるでウェディングドレスだ。100歳以上独身女だが。


 手鏡に呪文を言って変身して魔法のステッキならぬ魔法の剣でバッサバッサ敵を斬り殺して真っ赤になる仕様でもある。


 吸血鬼かな?


 もちろんシェルフもその存在は知っていたが恥ずかしさと怒りで中身を見ることはなく、出版者がアイナだという事実を知る由もなかった。


「ま、まさか貴様!渡した術式の中に入れたあの服は!!」



『はい❤︎ 私の術式は呪いを採用しません、何故なら私にも呪いが降りかかるからです。なので封印魔術を選びました。封印というのはある特定の条件で解放されるのを知っていますよね? そうです!! 魔法少女になる事が貴女の力の解除方法なのです! 私はこの為に貴女を裏切ったのです!!! 力が欲しければ魔法少女になるのです!!シェルフたん❤︎ はーっはっははは!!』


(相手を殺す気のない用途の薄い封印魔術をこんな事に!!)


「謀ったなアイナ!!」


「ハイ♡ 私は姉上を敬愛しその美しさの為ならいくらでも謀ります♡ 貴女の可愛さと美しさが悪いのだよ❤︎」


 謀らずとも何かの決めセリフを改変して言ったがシェルフはその元ネタなど知りはしない。


シェルフは散りません。

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ざまぁ転生 〜ざまぁサレ役のイケメンに転生した作者の俺、追放されず復讐も諦めたのでヒロイン達のゆりゆり展開を物言わぬ壁になったつもりで見守りたい、のに最強ヒロイン達の勘違いが止まりません!〜

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