第5話 ⑧[愛の汁]❤︎
「それじゃあふん縛っちまいしょうねぇ〜❤︎」
ドMのアンネが拘束宣言である。
「ま!待て何をする気だぁ!」
「私アンネ・アイン・クロイツは自分の生まれ変わりを縛ってドMに目覚めさせようと思いまっす!」
「動機と行動をこの上なくわかりやすく説明してくれてありがとう! 死ね!」
「いいえ、聖女王……いやアンネそれは違うぞ?お姉様はドSだ! 私たちを誘惑しそれに耐えさせておいて最後にその全てを凌駕する可愛さで私達を心の底から獣にしようとしている! 私達の心の抵抗を嘲笑っておいでなのだ!!」
汗が蒸気となって部屋を支配する。
3人のフェロモンが賢治の脳をトロかしていく…………そして3人も賢治のブッ濃いフェロモンで脳がイカれていく。
「おう、片目隠し。お前いいもの持ってるじゃあないか?その白い紐でお姉様を拘束して恥辱プレイを愉しもう、ぐへへへ」
ななちゃんが賢治につけさせるアイテムだ。
ブルマー体操服はこれをつけて完成となる。
そう、今の状態は未完成なのだ、だからななちゃんはそれを奴隷に渡さない。
「ダメよ優奈ちゃん。これは、これだけはダメ、お嬢様の服を完成させるの。」
「ななちゃん…………」
(二人がイカれたのにななちゃんだけはいつもの様に優しい、やっぱりななちゃんはいい子だ、他の女とは違う!! なんだかんだ言っても俺をいつも守ってくれるんだ)
どうやらブルマーをはかされたりおもちゃにされたことは忘れたらしい。
「お嬢様、頭を」
「うん」
ななちゃんがハチマキをかざす前に主人自ら頭蓋を差し出す、首の角度も何もかもがななちゃんの理想通りの角度だ。
何というか施しを受ける事に慣れている、それでいて所作が美しい。
それだけで賢治が高貴な生まれであるとみんな実感する。
ハチマキを縛るだけだが、まるで女王が王女に戴冠しているときの様な気分を侍女は味わった。
「綺麗………本当に綺麗よ賢治」
きゅっ
「あんまりからかわないでよ、ななちゃん」
膨れつらになるがやはり可愛い。
(幸せすぎるっ! 私みたいな侍女がこんなにいい思いばかりしていいの? 私みたいな、咎人が、この子に人殺しをさせた私みたいな穢れた女が、この子の世話を?)
自制する為に自分の罪を思い出す、そうする事で今までギリギリアウト()
のところで踏ん張って賢治を守ってきたのだ、だが。
今の賢治は自分の武器を理解し、相手の気持ちも正確に理解している。
「ななちゃん、そんな顔しないで」
そんな甘い事を甘い声で言われ、目が合う。
魔王の表情になった賢治と目が合う。
「賢治?」
「ななちゃんがそんなに苦しそうな表情をしてるとまた不幸にしたくなっちゃうじゃないか? 母さんの影に怯えてる顔が凄く綺麗だよ? また大切な何かを奪ってやりたくなるよ? くくくく」
顔が裂けるまで歪ませない。
相手に悪意を伝えるギリギリまでしか笑わない、笑うなら目で笑う。目だけで邪悪を伝える。
そういう風に母親に教育された、どうすれば相手の心を挫く事ができるか?
どうすれば絶望させる事が出来るのか?
母親の意思とは無関係にその性質を理解し感情を揺さ振り殺す術を賢治は吸収している。
これを魔王の英才教育と呼ばずに何とも言えない。
(俺は人でなしの母さんの子供、魔王で魔族で悪の権化、だからこれ以上ななちゃんが傷つく必要はない。私に絶望してななちゃん、貴女は私から逃げて解放されるべきなの)
その演技は成功する。
先程まで聖女王にさせるとまで決意を固めた聖母の様な女をいい気に絶望させた。
だがそれが逆効果なのは勿論の事だろう。
「賢治、お嬢様。いえ、今は魔王様と呼ばせてください」
「ななちゃんなら許す」
七緒は神聖勇者ではないのでここで世界の魔王になることはない。
賢治は七緒の表情を魅て自分の企みが成功したと誤解した。
人間には耐性というものがある。
慣れと言い換えてもいい。
幼少の頃目の前で父親を絶世の美少女にぶっ殺された七緒は、その出来事を『魔王様への献上』と誤解している。
大切な人を魔王様への献上品とする事でその絶望の笑顔をプレゼントされる。
そう、どんなにロクでなしな嘘で塗り固めようとも、一度絶望から這い上がった七緒にとっては絶望自体が。
ご褒美。なのである。
「わたくしも、魔王様に黙っていた事があったのです。その、何というか、フフ貴女様の顔を魅るたびにわたくし、下品なのですが、見てください」
恐怖に怯えてながら額に汗をしてしかし頬が赤い。
マットレスに両膝をついて無防備を晒しながら股間を魔王様に反らせている、そして隠していたそれをスカートをたくし上げて…………魅せつけてやった。
ふぁさ、
女の匂いがエグい。
その惨状もエグい。
布は完全に染みて内腿にまでそれが漏れていた。
熱くなった体温がむわっと魔王に伝わった。
「な、ななちゃん?」
「もうダメなんです。貴女が私をそういう目で見る度にこうなってしまうんです、わたくしは貴女様の心からの奴隷です、どうか私だけの魔王として私の前にだけ君臨して下さい❤︎」
ゴクリと目の前の供物に喉を鳴らした。
心の底から屈服し、父親を奪われても幸せを奪われても愛してくれている狂信的な幼馴染が、可愛いく愛らしくて苦痛に歪ませたい。
「綺麗だよ。ななちゃん、滴ってるその雫は妖精の涙の様で、じゃあ私も褒美をあげなくちゃ」
「んふふ、じゃあこれを着てください魔王様❤︎」
「な!!」
それは七緒が中学生の時に着ていた制服だ。
冬用の長袖のセーラー服だが賢治を誘うようにスカートの丈が短くなっている、そしてわかりにくいが胸元が肌けるように胸当ての布が少しV字になるように改造されている。
「少し大きいと思いますけど、いえ、心の奴隷である私の使い古しではありますけど、これで一緒にカフェを練り歩きましょう❤︎ 貴女の本当の女子中学生時代を取り戻すんです❤︎」
「い、いや! 七緒さん?言っちゃ悪いですけど似合わないですよ?年齢がね?もう」
(ブルマーより恥ずかしい!外に行ける服装だからこそ恥ずかしい!23のおっさんだから恥ずかしい!!)
「大丈夫ですお姉様!お姉様の服にしては少し老いたファッションですけど少女が頑張ってお姉さんぶってるように見えて可愛いと思います❤︎」
見た目は少女中身は幼女な賢治より幼い服装などベビー用品ぐらいしかないだろう。
「何を言ってるんですか?!!優奈さん!?」
ヌルっと奴隷妹はお姉様の白魚のような長くて細い脚全てを両腕で拘束しておっぱいを押し付ける、ご飯をたっぷり食べさせたおかげで胸にカロリーがいってサイズがアップしている。
(柔らかい!!!)
「ケンちゃん?貴女今ななちゃんに褒美をあげると言ったわ、だったら受け入れなさい?次女とて貴女の下の者、キチンと有言実行しないと❤︎ それにあの服装だったら私も許可できるわ、ギリギリね❤︎」
背後から腋を通してアンネが羽交い締めにする、もう逃げられんぞ!!
「ギリギリアウトだよ!!」
「大丈夫です❤︎ 魔王様、私のおま❤︎も大洪水を起こしてギリギリアウトです❤︎」
「完全にアウトだよ!!」
◆
その後、魔王のスキル制圧 (小)で3人を倒す。
「バーカバーカ!!」
と煽り散らかす、だがその小学生みたいな仕草があまりにも可愛く3人を魅了し強化して狂化してしまう。
「「「私達の戦いはまだ終わらないっ!!」」」
家出を決意した借主がブルマー体操服のままで外に逃走。
無事、華美にとっ捕まり誘拐される。
そこまでが今までの流れである。
ね?予想通りでしょ?




