第5話 ④[ピンクパープル]♡
「オラァ! 脱げやおねぇ様ぁ!!」
ぼむん!!
放置されたマットレスにお姉様がぶん投げられ涙目になっていた。
その姿、控えめな肉体、控えめ?
若干胸に膨らみがありおっぱいがある、やっぱ女の子じゃないか。嘘つき。
「やめ、たしゅけ!」
ぶかぶかのスウェットから肌が見えない様に身を布で隠す萎ませた姿、昨日までしないで来た所作、その全て見えないエロさ、弱々しさが妹を、女をオスにしてしまうのだ。
「ぐへへへ、そんな事言って本当は誘ってんでしょう? この淫乱メス! 顔に『犯してください』って書いてるのよ!」
「ヒェエエエ!!」
黒猫は眼前の幼女に我慢の限界である。
しかし、この事態に一緒になって服をビリビリにした事など数回しかない。
しかし何十回かは暴走した同級生から救っている聖人、否、聖母なのである!!
「優奈ちゃん!! 元の姿に戻りつつあるその子をひん剥きたい気持ちは分かる! 私だってそうしたい! でもダメ! その子をひん剥いて着替えさせるのは私の仕事! 貴女達は私が作った正装姿を平らげるお客様なのよっ!」
「俺の意見は??!」
(な、何という自信! 未だかつてこんな侍女は見たことがない! 最初はただのニンニク臭い片目隠し女だと思っていたが! こいつは、アーティスト。お姉様という完成された芸術品に手を加えてきた超越を繰り返してきた猛者!! まさしくお姉様のライバル!)
異世界の戦士もタジタジである。
「さぁ! お嬢様! 御服をお脱ぎくださいませ!」
多重敬語で主人を煽る。
「ななちゃん! いい子だから! だから、やめて友達ごっこじゃなくてもいいから…………命令! もうこれ以上何もしないで! ご主人様の命令! ね?」
首を傾げて上目遣いでメイド服の幼馴染を誘惑する、こいつ絶対自分の事男だと思ってない。
「成る程なるほど成程……つまり私を侍女として認めるのね? 貴女がご主人様として、友達ごっこだとそう認めてでも、私のお愉しみを赦さないと?」
「そう! ぎぶあんどていく! 正論でしょ? なんだかすっごい荷物持ってきてるけど! ドアの背後にめちゃくちゃトランクケースがあるけど! 持ってきてるけど! 悪いけど置いてきてもらっていいかな? ね? いい子だから? 助けて? 助けてください! もうこれ以上何もされたくないの! 協力して!」
「つまり何もしなければ私は貴女の侍女として貴女に認められて、貴女の侍女として行動出来る。本当に? 絶対?」
「約束します! だからななちゃんもそのトランクケースを持って帰って! 早く!! 早くしろ!」
まさに魔王の理論、倫理的でもあり正論でもあり否定するような事でも無い。
普通なら。
七緒和葉が普通の侍女であるのならここで引き下がり帰るのだが。
「だが断る!!!!」
「なにゅ!!???」
七緒和葉は普通では無い。
そして若干その名言は用法要領を間違えている。
「この七緒和葉が最も好きな事は自分を男だと嘯く貴女のお着替えをこの手で! この眼で完了させる事だ!」
「何を言ってるのですか?!! むちゃくちゃ!! ななちゃんは悪い魔法にかかってます! 俺の知ってるななちゃんはもっと物分かりのいい子です!」
「ええ、確かにかかってるわよ?貴女という美女がムンムンに噴出してるメスフェロモンというわっる〜い魔法にね!」
「そんなの出てません!」
出てるぞ。
ピンク色の霧の様にフェロモンが出てるぞ。
「私には貴女の首元や腋からピンクパープルのメスフェロモンが出てる様に見えるわ! 私の魔眼は誤魔化せない! この嘘つき! 誘ってんでしょ!」
「知りません! 誘って、ません!」
どうやら少し心当たりがあった様だ、やはりレズビアンだ。そして悪い子だ。
男という虚言の自負のある賢治はぷくーっと頬を膨らませて怒りを現すが逆に七緒の堪忍袋の緒を切れさせた。
「ちょっとあんた! ぜってぇ許さねぇ!! ええい!」
鼻息を荒くして淫乱小娘を押し倒した!
「何を! 何すんの! ひ!」
勢いで少し着ていた大きめのスウェットが肌けてその場にいた三人の女を魅了する。
「犯す! お嬢様を心だけ犯す! 服を優しく早く乱暴にぬがす!!」
きゅぽん!!
あり得ない音がしたと思った瞬間超早く手技で賢治を下着姿にした! 膨らみかけた胸より少し大きめのブラジャー、母親の奏美がグラマラスなのを知ってる七緒が今後の成長のために大きめのサイズにしていたのだ。流石専属の侍女、主人の女の子としての成長をちゃんと予想している。
色は薄い白桃色、これも奏美の赤い髪色と七緒の中にある賢治のイメージの白を混ぜた様な見事な配色である。黒髪ロングの賢治の白い幼女肌にマッチしている。
その全て手際に一番驚いたのはアンネである!!!!
(なんて恐ろしく早い手技!! 私でなきゃ目で追い切れてないわね! マットレスの反発を利用してケンちゃんを浮かす二枚の上下のスウェットを狂化された肉体で制御しながら掠め取った!! 私の早脱ぎとは違って二人の息のあった幼馴染み特有の阿吽の呼吸が必要不可欠!!!)
妹奴隷はお姉様のエロい下着姿に萌えている。
(この間0.5秒、私はひん剥かれるお姉様の下着姿に目を釘付けにされるだけでこの侍女の動きなど見ていなかった…………なんたる未熟っ!! お姉様のことを考えるならお姉様を意のままにするこの女の動きをトレースできる様にしなければならないのに! この女はお姉様の魅惑にこの中で一番晒されているというのに絶えずお姉様の肌に傷をつけないためにひん剥く事に集中していた! はっきり言って今の私には不可能っ! 今の私は例えるなら極上の素材に手を加えたくなる調理人、それをあの女は素材を一切傷つけず捌いて魅せたのだ! 羨ましい、妬ましい。そして……遠い! この女はとても遠い頂の先にいる!!!)
しかし等の本人、幼馴染は頂の更なる先を見ていた。
(くっ! またブラのホックを外せなかった! 一手目で上着を脱がして二手目で下を脱がす、その段階で普通の子ならパンツを防御する、だがこの子は反射的に張りのあるおっぱいを防御する! 口でなんと言ったところで心の底から女の子! 私がパンティーはゆっくり脱がす性癖だという事を理解している! だから空中でパンツを脱がすことがないことを知っている! ああちくしょう! おっぱいを手ブラで隠しながら恥ずかしがってる姿を拝みたかったなぁ!!!)
「ぐぇ!!」
しかしそんな少年漫画も真っ青な心の会話など知ったこっちゃない美幼女賢治は目に涙を溜めてプルプル震えて叫ぶ。
「死ねぇ!!」
ごぶ!!
「ふげ!」
頬に一撃、細い足首についた綺麗な足裏が幼馴染を蹴る。
何度も何度も何度も蹴る。
ゲシゲシ、げし!
「死ね!死ね!死ねぇええ!」
全然痛くない。幼馴染に本気で蹴るわけもなく足加減して何度も撫でる様に蹴る。
(気持ちぃいい!! 気持ち良い!!! きんもちいいぃいい!!!! 足がすべすべしてて、フェロモンがブッ濃くて脳がトロけりゅううう❤︎)
どうやら幼なじみにはご褒美になってしまった様だ。
蹴られても蹴られても笑顔に歪んでゆく。
「むぷぷぷ♡ エロい足が私の頬を浄化していくぅうう」
「何が浄化だふざけんな! 服を返せ!」
「あら?このスウェットは私のものですよ? お嬢様?」
「ぬ、ぬぅうううう!!」
ぷんぷん顔でジト目である。
こんなの襲うなという方が無理がある。
「うふふ♡でもぉ?私は貴女の侍女、そして私のママンは超有名なデザイナーよん? 貴女のことはよく知っていて貴女のさまざまな服を取り揃えていますわ! 幼稚園から貴女の全サイズ網羅してるの! だから安心してもっとちっちゃくなっても良いんですよ? ぐへへへへ♡」
「これ以上ちっちゃくなってなってたまるか! そしてお前の持ってきたのどうせ全部女の子用だろ?!」
「…………当たり前じゃない? 貴女の服なのよ? 女の子が女の子の服着るなんて当然のことでしょ? 大丈夫? 小学生より脳が退化してない?」
(この子は男装して街を練り歩くというイカれた趣味を持ってたから本当にみんなしんぱいしていたんだから)
本気で心配している様だ。
「ぬきぃいいいいいい!!! そんなふりふり絶対着るもんか!」
とか言いつつちょっと興味がある様である。
「え?じゃあずっとブラパン姿で生きるつもり??」
「ぬぅうう!!」
もはやいじめである。だがさっさと女の子の服を着ない賢治も悪い、もう男装なんかやめるんだ賢治!!
「俺は男だ!!」
「「「嘘つき!」」」
賢治は育ち盛りの女の子。




