第5話 ②[お嬢様]
ご飯も食べ、女の子同士でイチャイチャしていたその時、七緒和葉という女はとある決意を固めていた。
「賢治、ちょっとお話いいかしら?」
「ん?」
ちょうどアンネと言い争いをしていた最中、凄く神妙な顔の幼馴染みを見て賢治は予想した。
「まさか……七緒!! ウ○コか!?」
見た目通り中身も小学生である。
「全然違うわ、さっき貴女私を誘惑して……その、血を、飲ませようとしたじゃない?」
そうお花を摘みにいくのではない、お話をしようとしていたのだ。
「嗚呼、七緒がそうすれば落ち着くかなって。悪いなんて思ってないぜ?だってななちゃんは俺のモノだから、俺は悪であってもななちゃんを意のままにしたい」
凄く悪い顔をして笑っている。
(奏美さんにそっくり、本当にこの子は本質は魔王側なんだ。でも私はこの子を魔王になんかしたくない、だったら…………)
「もう、幼馴染みでいる事はやめましょう?お嬢様」
「え?」
突然、冷たい声で傅く、片ひざをつき上半身で礼を尽くす。
「賢治お嬢様、私は貴女のお母様に身の回りの世話、露払い、そして魔王覚醒の阻止を任された侍女です。正体を隠し、貴女の魅力に取り憑かれたてはいましたが本来ならば許されてはいけません」
「何を、何を言ってるんだ!」
何も知らない女の子のフリをしている。
賢治は嘘をついている、本当は隣に引っ越してきた時点で母親の影を感じていた。
もしかしたら、というレベルでの話ではあり、そんな可能性より同性の友達としての運命の出会いを信じていたのだ。
「俺は男だからお嬢様じゃなくて旦那様だ!!」
そこかよ。
いや、もう流石に冗談で済む雰囲気ではない。
七緒は決心したのだ。
「そういう冗談で済む話ではありませんお嬢様! 貴女が何で自分を洗脳してまで男だと言い張る理由、私には分かるのです!」
「な、何を言ってるんだよななちゃん。洗脳じゃない。俺は男だ」
「貴女は本当に優しい御方だ、もう全て承知なのでしょう? 貴女の性別を変えるという大罪、それがどれほどの罰を受けるか。本能的に理解した貴女は母親のために!」
「煩い!!!!」
賢治は怒る。怒り狂って少女のままで地団駄を踏む。
「俺は、何も知らないし分からないし間違いなく男だ。だからお父様の言った様なんて大嘘だ。絶対に嘘」
「だったらそれでもいいです、貴女が認めないのならそれで。ただならば私も好きに勝手に貴女の侍女として、貴女を守る盾として勝手に動く!」
「違う! ななちゃんは友達よ! 私は男! ななちゃんは私の侍女なんかじゃない!」
それは言ってはならぬ事、触れてはならなかった事実。
「なになにどうしたの? 二人とも〜? 何でそんなに険悪になっちゃってるのー?」
「場の空気を読んでくれよ聖女王、俺は今ななちゃんと話して…………!!」
そこには場の空気などなんのその!下から服を脱ぎだす白銀の美少女がいたのだ!!
ふぁさ、
「何をしてるんだお前!」
ズボンを脱いで下はパンツ一丁である。上はまだ着ている。
「全裸になろうとしてんのよ!! 何よさっきから真面目ぶりやがって、そんなのが許されるのは男主人公だけ!! アンタは女の子なのよ!! だったら受け入れなさい。七緒ちゃんは今貴女の為に自分の正体を、自分を魅せているのだから!!」
冗談の様な女だ。
誰も望んでいないのに脱ぐ。
「意味がわからん!! そして脱ぐな!」
「いいえ脱ぎます! ケンちゃんが七緒ちゃんの覚悟を受け入れるまで! 私は! 脱ぐのをやめない!!! 先ずは下から!!!!!!」
が!とパンツに指をかける。
「だから女の子が下から脱ぐんじゃねぇ!! お前もうリーチかかってるじゃねぇか。ふざけんな! 上からにしろそして恥じらえ!」
「うっさい! このドS! 私が恥ずかしがってる姿をそんなに見たいのか! だったらやってやろうじゃあないの! 上脱いだらブラジャーなしでシャツなんて着てないわよ? おっぱい丸出しだ! ふひゃははは!!」
「俺にブラジャー着せてないでお前が着ろよ!! 変態! 変質者!!」
「ぐっ……罵倒ですって? ありがとうございます!!」
この間ずっと七緒は頭を下げっぱなしである。
「お嬢様、貴女が御認めなくても私は貴女のお世話を人生かけて完遂いたします、ただそれだけは承知していただきます」
「嫌だ、そういうのは。ずっと私の友達でいてよ」
ごく自然に、一人称が変わっている。
ただ本音を口にする時のみ私と語る。
「命令するのなら私の主におなり下さい。ただ、私に「友となれ」と命令してください」
「ぬぐ!片目隠しめ、何気に私の様に奴隷になろうとしてないか!!?」
七緒に興味になかった妹も奴隷として話に入ってきた!
もし七緒が奴隷になればお姉様を魔王にするための最大の障害になるとわかっているからだ。
(こいつ自体は強くないがお姉様の幼馴染みだから殺せない。だというのに始まりの魔王の手先で魔王にするのを反対している、確実にこいつは私にとっては邪魔だ、それに四の魔眼「乖離眼」持っていやがる。考えうる限り最悪の敵だ)
「じゃあわかった。主でもアイドルでもなんでもいいよ、だから今まで通り賢治って呼んで! そういう気さくな友達居ないんだよ、俺は」
「了解です ぼっち賢治」
ニンマリ笑う。
安心した様な聖母の顔。
「それじゃあ、友達ごっこの続きでもしますか」
足を崩し立ち上がって玄関に向かって歩きだす。
「ごっこって言わないで! 友達! だけでいいの!!」
「はいはい、ちょっと準備があるから待っててねーん♡」
ガチャ、
壊れたドアを無理矢理閉めてどこかに行ってしまう。
「な、何をしに行ったんだあいつ?す、凄く嫌な予感がする」
一体何をしに行ったのか?
大体予想はみんなついているだろう。
しかし、誰も見ていないのをいい事にこの時、アンネは密かに全裸になっていた。
その華麗な早脱ぎは誰であっても見逃していた。
───────────────────────
誤字訂正しました、報告ありがとうございます。




