第5話 ①[春のわるい子祭り]
この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません、また特定の宗教や思想、学問を貶める意図はありません。
11:00頃
日曜日、晴れ!!
4月4日のある真っ盛りな今日この頃、街路樹の桜がピンク色の花びらを散らしまくり道路を染めていた頃。
賢治のアパートの正面玄関に一人の少女が居た。
彼女はカチコミをかけようとしていた。
彼女の名前は華美、咲原華美。
名前の華々しさとは真逆で陰鬱な雰囲気を持っている。
歳は15の小さめ少女、肩までかかりそうな長さのセミロングストレートヘア、服装は営業用のゴスロリ系の黒い服装である。
真っ青な大空! 燦々と降り注ぐ太陽の光! しかし彼女は陰鬱だ。
アイドルをやってるだけあって整った顔立ちではある、日々健康的に過ごしている十代の女の子の肌だ、だが表情は決して明るくない。
彼女は目立ちたくない。
自分の称えるお姉様の為に、お姉さまより輝いてはいけないのだ。
そんな彼女は自分の足でとある調査をしていた。
そう、魔法少女の正体を暴きにきたのである! だが魔法少女の姿しか知らない凡人如きに賢治の正体が万が一にもバレることなどあり得ないのだ!! 絶対安心である!!!!
「ここが最も可能性の高い所、魔法少女の中身が居るのならしらみ潰しにアタックかければそれらしい少女は居るはず。あんなに可愛いなら正体も間違いなく可愛いはず!一番可愛い子があの魔法少女の可能性が高い」
何という事だろうか! これではバレてしまう! 世界一可愛い女の子である賢治がみつかってしまえば正体がバレる!!
まさかこんな狡猾かつ確実な手があったとは! この子天才か!!?
「まぁ可愛い女の子がそうじゃなくても、もしかしたら何か知ってるかもしれないしあんだけ大きな事件が連続してれば誰かが何か知ってるかも知れない…………これもお姉様の為!」
グッと手を握って天を見ると太陽の光が差し込んでくる。
「うぉおっ!! 眩しっ!!!」
前言撤回。どうやらアホの子の様だ。
「のうやぁあああ!! お前らみんな大っ嫌いだぁああああ!!!」
大声、幼女の様な感高い声が響く。
そう眩しかったのは太陽の光だけではない! 賢治の輝く魔眼と放たれるオーラの閃光にやられていたのである!!! 見つかった!
「え?何!?女の子の声!!?」
そう、賢治という名の美幼女のきゃわいい声である!!
がだだだだだ!!
慌ただしく走る音、小さい体から放たれる全然迫力のない駆け足音が近づいてくる!!
「もう家出してやるぅうううう!!」
ドタドタと走ってくる可愛い小動物の様な女の子、それを見て少女はとっ捕まえようと思ったのだ。
簡単に言ってしまえば誘拐である。
だがこんな可愛い生物を瞬間的に反応してとっ捕まえようとしてしまうのは狩猟本能のある人間の性だ、仕方のない事である。
そうだ全部賢治が悪い。
(真正面からこんなのが来てしまったらしょうがない!! 捕まえるなという方が無理がある! それにしてもすっげぇいい匂いしてんじゃねぇかこの子!)
ちなみに今賢治は小学生の時の女子用体操服と女子用ブルマー+白ハチマキという組み合わせである。
服をひっぺがしたくなる可愛さである。
「げぇええええっとぉおお!!!やっはぁああああん♡」
がばしゃあ!!!
「ぐぎゃああああああ! また変な女に捕まったぁああっ!!」
実行にうつしたのだ、思いっきり身体全体でタックルしてとっ捕まえた。
臓物が口から飛び出そうな衝撃が賢治を襲う。
「ぬっはぁあああ❤︎」
すりすりすり!!
頬同士を擦り付けて目がハートに、完全に魅了されている。
「にゅふふふふ♡まさかこんな所で貴女みたいな可愛い女の子に出会うなんて♡ 魔法少女なんてもうどうでも…………はっ!! もしかして貴女が魔法少女??!(名推理)」
「え? 何で俺の正体を知って! …………は! し、知りません! そんな恥さらしパンツ女私なんかじゃありません!!!」
首を思いっきり横に振るが嘘がバレバレである。
(バレた!)
お前がバラしたんだぞ。
(まさかこんなに簡単に! ならばこの子は! 私の知りたい事、力を持ってる女の子! でもまさか俺っ子とわ! ゆ、誘拐したい! でも我慢よ! いくらお姉様の数百倍可愛い幼女だからって誘拐してタダで済むほど都条例は甘くない! YESロリータ、NOタッチ!)
必死に魅惑に耐える中、この世のものとは思えない地獄の声が聞こえて来る。
「おひょひほほほ!逃げないで賢治!私のお着替えはまだはぢまったばっかりよん♡」
七緒である。
「逃げないでケンちゃん♡もう一回いじめてぇえ!!なじって!足蹴にしてぇ!!」
アンネである。
「お姉様! お姉様! お姉様! お姉様!!」
妹奴隷である。
「ひ…………ヒェッ!!」
三人の狂った声が聞こえてくる。
イカれた女どもの声はこの世の人間とは思えない。
それは初めて見聞きした華美も同じである。
「な! なんなの? この地の底から響く様な恐ろしい声は!」
「た…………たしゅ」
(でも確かにこんな可愛い子、世間がほっとくわけがない! きっと今まで恐ろしい目にあって来たに違いない! た、助けたい!)
「たしゅけ!助けてください知らない人!」
「え?」
魔法アビリティ
邪眼スキル「魅惑」
(…………は、アレ? 何? 護りたい、凄く凄く力が湧いて、勇気が100倍!!)
魔術アビリティ
肉体強化「守れ!乙女の純情モード」
肉体からオーラが吹き出し、華美の体内で初めて超常の力が込み上げてくるっ!!
(これは!! まさかこの子が! 人を強くする力?! そうかこの力を知った奴らに悪いことを今強要されてるのね?)
誤解はあるが大体合ってる。
「…………助けてあげても良いけど条件があるわ」
「へ!?」
「お友達になりましょう!!」
元気よく抱きつきながら言ったった。
「わかった! 悪い子達から俺を守ってくれ!」
やはり判断が早い。
「了解よ。まずは……逃げる!!」
健脚、と言うにはあまりにも強力な筋肉の動き、力。
ばきめきょ!!
靴の強度を明らかに超えたその運動力でアスファルトが捲れ上がりそうだ。
(何これ! めちゃくちゃだ! 私化け物になったの? でもなんなんだろう、これが普通の様な気がする。これが本来の人間の力、まるで魔法! やっぱりこの子魔法少女じゃねぇか嘘つきやがって可愛いな畜生!! ぜってぇ酷いことしてやるからな!!)
ステータスは無いので純粋な強化のみの力だが誘惑して居る女の子がヤバすぎる、魔術の使えなかった女の子にゴリラ並みの筋力を与えたのだ、可愛さと魔力と魅力で。
「軽い軽い軽ーい!!のほひほーい!!」
(この子やばい! 他の狂った女と同じ感じになってりゅ! でもなんでだろう?凄く良い抱かれ心地だ、凄く安心する)
(すっげぇ女の子の匂い!なんでこんな可愛い子が今まで誰にも認知されなかったの?? 世界的大矛盾よ! こんな子クラスにいたら絶対私のものにしてるのに!多分お姉様にも渡さない)
15歳少女にお姫様抱っこされる23歳自称成人男性(美幼女)である。
そんな様子をはるか遠くから確認する黒猫妹はビキビキに怒り狂っていた。
「な!! お姉様がどことも知らん女に誘拐されてる! お姉様の処女が奪われりゅ、それは私のものだ!!」
華美の言っていたことの数百倍やばい。
「どこにいくの賢治!! 私の用意した少女専用の腋と太ももにスリットの入ったエロエロ巫女巫女正装を着せようとしてあげようとしたのに! あと子供パンツとクマさんパンツも履いて!!」
幼馴染の瞳がピンク色に煌めいている。
「こっち戻って来いやあああぁっ!!戻ってこないなら脱ぐぞ!脱いでこの場で放置されて悦ぶぞコラァアアア!!」
説明不要、最早ドMというのも疑わしい露出狂の聖女王。
異世界のかつての信者達に謝れ。
「私の名前は咲原華美、華が美しいと書いて華美よ!私のお姉様の為に貴女にして欲しいことがあるの! でもその話は後でしましょうね♡」
「華美ってもしかしてあのNo.2アイドル武田藍那の付き添いの! 全然テレビと印象違う! 本物の方が可愛い。です」
「へ?あ、知ってるのね?私の名前からお姉様の事まで分かるだなんて意外とアイドル好きなのね? 女の子なのに珍しい」
(こんなに可愛いのに)
「女じゃない! 俺は男だ!」
(なんですって!!…………これだけ可愛かったらそういう嘘をつく様に教育されてるのね!)
そう、小さくなる前の賢治でも信じる人間が居なかったのだから少女に回帰したその姿を男だと信じられる人間はいない。
「そうなの、信じてあげるわ」
女の子は嘘つきである。
「!!本当か!俺今女装してるけど信じてくれるか??!」
ビックリするほど騙されている、チョロすぎんだろ。
(流石に無理があるわよ! あとそのブルマー体操服は女装じゃないわよ! 普通に女の子の服よ! でも今は話を合わせましょう!!)
「信じるわ (超・大・嘘)」
「ありがとう!」
そしてチーターの様な速さで疾走し賢治という幼女をお持ち帰りして行く。
何故こんな事になってしまったのか?
何故家出する羽目になったのか??
大体想像はつくだろうが語らせてもらおう!
話は数時間前に遡る!!
可愛くても誘拐はいけません。
可愛さを盾にして女の子を誘惑するのもいけない事です。




