表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/126

間劇 「ご馳走よりご褒美」

「私の負け、アイドル云々の話は聞かなかった事にして」


「いいや、そういうわけにはいかないよ」


「え?」


「ケジメだから…………俺がななちゃんに酷い事したけじめ。だからソレは勝ち負け関係なくやるよ。ソレにアイドルって言っても失敗して終わるに決まってるしね☆」


 可愛いウィンクでありえない事をほざく少女に幼馴染みは若干イラッときた。


(私の顔にご褒美を食らわしたこと?……いや、違うこの子は多分クソジジィ、私の父親だったアレを肉塊にした事を言ってるんだ、そして多分私たちの全力で恥辱の限りを尽くしてもこの子は贖罪出来たと思わない、どうしたら)


 考える、


(どうしたらこの子を解放できるの?)


 聖母の様な幼馴染みは少女の心の救いを考える。


 だが思いつくはずなどない、七緒自身が許しても聖女自身が自分を許さない。

 長年一緒に居る幼馴染みだからこそそれがわかってしまうのだ。


(だから尽くすしかない、私の体で、このえっちな女の子を!)


「ねぇ賢治、久しぶりに私の膝を枕にしない? さ、きなさいよ」


 食卓から降りて白スーツのミニスカから覗かせる太ももをえっちく魅せつけている。


「いや、その前に食器を片付ける。あーでもその前にそこで寝てるアホ二人に毛布を被せてあげなくちゃ」


「そんなの後にしなさいよ!!本当は直ぐにも飛びつきたいくせに!この真正のガチレズめ!!」


「俺は男だ!!てかステーキ (ニンニク醤油)の匂いこのままにして幼馴染に膝枕して貰うとか意味わかんねぇよ!」


 ぷんすか怒りながら食卓から食器類を片付ける。


(ダメか…………ならば!)


「優奈、適当でいいから布巾でテーブル拭いといてくれー」


「はい、よろこんでー」


 食後の運動には丁度いい、妹は入念にふきふきし始めた。異世界の戦士もお姉様の命令には従わなければならない。


「ケンちゃん!私は何をすればいいかしら?脱ぐ??」


「脱ぐな!聖女王!アンタのスキルは物騒すぎるから何もするな!食っちゃ寝してぶくぶくに太って俺のポンポン枕になれ!」


「うひょほ?アレ?ケンちゃん聖女王のスキル知ってるの?」


「ん?夢で教えてくれなかったか?なんでもできる代わりになんでも罰を受けるハイリスク超リターンの便利凶悪スキルだろ?」


「夢?なんの話?」


 首を傾げて白銀美少女が質問を質問で返す。


(あれ?なんか違った?)


「ふぅ〜ん、まぁなんとなく犯人はわかったわよケンちゃん。多分貴女あの蜘蛛野郎に洗脳された?」


(蜘蛛野郎?)


「パパの事よん♪アイツ結構やっばい奴だからそこら辺の事貴女に教えとかないと♡エッチなことも含めて」


 ピク!


「なんだ?エッチなことって?オヤジとナニをした?」


 幼馴染みのお色気を無視したのにパパの情事に興味津々である。

 そんな少女に白銀はご満悦であるがだんだんと表情が険しくなる。


「どうした?早く言えよ聖女王」



 ずんっ!!!!!!!!





 魔法アビリティ


 魔王スキル 制圧(中)



 • 絶対的な制圧。

 • 敵対勢力を跪かせる。

 • 侵攻、逃亡を妨害する、戦意を削ぐ。



「ながががが!ケンちゃん!別に私を拘束しなくても普通に喋るわよ!なんでこんな!!ぐぅえええっ!炒飯がくちからでりゅうう!!」


「ハハハなんかムカつくからそのままで待機してろ」


「にゅごおお!!」



 数分後、


 皿洗いや掃除が終わり今に戻ると床に押し付けられたままのアンネが…………悦んでいた。


「しまった、そうだこいつドMじゃん」


 人の動きを止める重圧をかけっぱなしでナチュラルに放置するこの少女はかなりドSである。


「んふふふふ苦しんだふりをしないとすぐに解除しちゃうもんねぇ? このドS! こんな苦痛! 苦行! 理不尽! 最高よ! むしろもっと殺すつもりでやりなさいよ!」


「解除」


 スッと浮いた様に重圧が消える。


「ああ!ナニすんのパパの情事聞きたくないの?」


「よく考えたら前世とか信じてねーし」


(ドSとか特殊性癖ねーし、アンネが可愛いだけだし、うひひひ)


「酷い!」


(ドMとかじゃなくて私の試練なのよ、ぐへへへ)


 しかし二人ともドM前世とドS生まれ変わり、共にエグい笑顔をしている。

 どうやら相性はバッチリの様だ。


「結局お手伝いしてくれた優奈以外みんな悪い子じゃないか、アレ?七緒は?」


「あーあの片目隠しだったらお姉様の寝室に行ったのを確認しましたけど?」


「何をしてるんだアイツ」


 どこ、ががが、


 部屋伝いの通路から何かをぶつける様な音がする。


「ふふふ、賢治私が帰ったと思って今残念そうな顔してたでしょ!」


 姿は見えないがどうやら何か大きなものを持ってきている様だ。


「ベ、別にお前なんかの事どうとも思ってねーし!!」


(思ってましたねお姉様!私は嫉妬してますよ!!)


(うわー私の生まれ変わりすっごく分かりやすぅ〜)


 二人とも遠いものを見るような目だ。


「私が来たっ!わよ!」


「うん、ソレ俺のベッドのマットレスじゃねぇか!!」


 そう七緒はまるで自分を磔にする十字架を自分で持ってくる聖人のように、セミダブルベッドの分厚いマットレスを掴みながら背負って持ってきたのである。


 どすん!!


「んぎゃー!!床が!へこむ!!もっと丁寧に降ろせ!」


「さぁ賢治!お待ちかねの膝枕よ!命令してくれれば脱ぐわ!」


 そう言いながらちらちらとスカートを自分でめくり寝転がって挑発するような顔で美少女を誘う。


「ぬ、脱ぐな!お前アンネに感化されてるぞ!アイツは悪い子だ!昔のななちゃんに戻って!!」


 しかし生まれついてのレズである賢治はスカートの中身を本能的に見ようとしてしまうのであった。


(嗚呼! イケナイ女の目線!やっぱりお姉様はガチレズ!)


(今のケンちゃんのエグい視線! くっ! 私とした事が七緒ちゃんに先を越されるとは! 私はドMの恥晒しです!)


「いいえ、私は元から悪い女、悪女よ?貴女の歪んだ顔が見たくて、存在しない彼氏の写真を送りまくって貴女の反応を妄想してた悪女、だからこうやって女の子に戻った貴女をこの引き締まったボディで誘惑するのよ!丁度ステーキ食べて肉体が消化して体も火照ってるし)


「飛びこんできて♡」


 ゴクリ、


 生唾を飲む少女、正装した服が似合う幼さを見せる美少女、だがその本質は女好きのレズビアン、成人となった幼馴染みの引き締まった肉体を妄想して物欲しそうに魅つめる。


 他者を問答無用で魅了する女の子だが、どうやら誘惑に対する免疫も耐性もないらしい。


「じゃ、じゃあちょっとだけ……七緒の太もも加減がどうなったか確認だけ、うふふふ♡」


 賢治は女を扱う事自体初めてではない、ぶっちゃけ賢治以上に女の扱いが上手い人はいないだろう。

 ななちゃんや女子クラスメイトのももとふくらはぎの感触を知っている。


 ぽむん、


 頭をベッドで足を崩して座る七緒の太ももに置く。


 すると意外と柔らかく普段使ってる三千円程度の枕より心地良い高さである太ももの感触が少女を興奮させた。


「柔かぁい♡やっぱりななちゃんの膝枕が一番だぁ」


「アンタソレ他の女にも言ってるでしょ?本当に悪い女ね」


「ん〜俺は男だ!」


 少女は叫んだ。


「はいはい、男の子でちゅね〜えらいでちゅね〜?」


「馬鹿に、しや、がって……くううううぅ良い匂い!セクハラしてやる!」


 鼻をくんかくんかしているつもりで吸ってみるがピクピク鼻を動かす少女がドヤ顔をしているようにしか見えず微笑ましい。


 ピンク色の空気が辺りを支配した。


「は!しまった!このままだとケンちゃんがまた百合ハーレム空間を形成してしまう!!朝っぱらから!!」


 空気を読まない聖女はR18のオーラを感じ取った。


(ケンちゃん!幼馴染み相手にあんなメスの顔を!エロい!アンタが一番エロい!!もう男を自称するのやめたら??!)


「賢治……アンタその顔絶対私を誘ってるでしょ?このメス!」


 我慢できずに少女の頬を摩ってしまい、その赤く熱を帯びた血の滾りを直接感じ取ってしまう。


 突然だが七緒には魅惑耐性がある、賢治の凶悪魅惑に対抗する為、賢治を同級生女子の毒牙から守るため、自分が魅了されてはいけないと、おそらくこの世界でも五本指に入るほどの魅惑耐性を持っているだろう。


 だがソレはまだお子様だった時の無自覚な比較的可愛いだけだった賢治の凶悪魅惑での話だ。

 自覚して幼馴染を毒牙にかけようとしている魔王、谷戸賢治のガチの誘惑ではない。


 そしてソレはあってはいけない誘惑に変質した。


(血、聖女の血が欲しい)


 美しい顔の横、線の細い少女の丸みを帯びた身体を、その首筋に噛みつきたい。


(キ ❤︎(R -18)マークつけちゃう♡もうダメ!噛んで血ぃ呑んでやるっ!このメス!!絶対後悔させてやるんだから!!)


 その行為が何を意味するか知らない七緒ではない、血の摂取はその血の主の奴隷に落ちるという事、妹の優奈がソレだ。血と唾液を元に術式を組み込んで自ら奴隷になった優奈と同じ事をしようとしている。


 唾液腺が暴走し聖母のようだった幼馴染みは吸血鬼のようにに変貌する。

 嗚呼、その魔王少女の前ではどんな女もこうなってしまうのだ。


 聖女の宿命とも言える。



「ダメ!!」





 魔術アビリティ


 回帰魔術 「白き聖女の当身(チョップ)



 ポンポンポン!


「のふ」「ぐひぇ!」「あぎゅ」


 軽く頭上にチョップを当てて緑色のオーラを当てた。


 3回と言うことは優奈にも攻撃している、静かに時を待っていただけで普通に魅了されていたからだ。

 まるで獲物を狙うまでの肉食獣だ。

 白銀の聖女王はそんなことも見逃さない。


「魔法少女が朝っぱらから❤︎(R -18)交パーティーだなんてダメよ!私に対するDVで我慢しなさい!!」


 正に外道。


(この子、今隷属の術式を構築してたわね?なんて子なの)


「うきゅううう」


 気絶した妹と幼馴染みと違い少女は目を回しながら可愛い声をあげている。


「ケンちゃん、貴女幼馴染みを奴隷にしようとしてたでしょ?私の目は誤魔化せないわよ?」


「奴隷?そんなこと出来ないよ、ただなんとなく優奈の時みたいに血を飲ませればちょっと『昔みたいに良い子になる』って思っただけで……あとはなんか雰囲気で」


「外道ね、でも聖女の性質としては間違ってないわ、相手を誘い、癒して手籠にする。貴女って生粋の聖女なのよね」


「俺は男だ!!」


「まだ言うかこの外道!」


「こっちのセリフだ!」


 ドSとドMの女の子二人が言い争いをしていた時、七緒はとある決意をした。




(もう、ただの幼馴染でいては………………イケナイのよね? そうでしょう? 奏美さん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただきありがとうございます。


面白い、続きが気になると思えましたらいいねポチ! ブクマ登録!! 評価加点などしていただけると励みになります!!!
『ここが良かった』『こうした方がいい』などありましたら感想の良い点、気になる点、一言などで指摘していただけると幸いです。
誤字脱字などの指摘も遠慮なくお願います。





ざまぁ転生 〜ざまぁサレ役のイケメンに転生した作者の俺、追放されず復讐も諦めたのでヒロイン達のゆりゆり展開を物言わぬ壁になったつもりで見守りたい、のに最強ヒロイン達の勘違いが止まりません!〜

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ