第4話 ⑬[魔法少女に俺はなるっ!!]※魔法幼女立ち絵あり
ブチ切れた。
女装させたアンネと可愛い妹にもキレたし、俺がノーパンになっても一切何も言わなかったななちゃんにもムカついた。
何よりこんなふざけた少年漫画の修行みたいな事し始めたお父様にも私はキレている!
『我、魔装する。この怒りと魔力を循環させ翼衣を纏う事を願う。』
脳内の音声を自然と口にする、多分口にしなくても良いんだろうけどそっちの方が怒りを覚さないで済む。
『我、放出する。淫棒と淫紋をもって元凶を落とす事を願う。』
「うお!!」
既に豆粒のようにしか見えないオヤジから淫棒を取り戻す。
きっと今頃びっくりしてるだろう。ざまぁ!
「そうだよケンちゃん、怒りを抑えちゃダメだ。奏美の教育で自分の欲を抑えるように内なる魔王を封印されて来た」
ん? オヤジの声! 淫棒から?! え? アンネは?
しかし俺はそれを心配する暇もなく魔法のコツを忘れないのに必死だ。
「感情は抑えられるモノであってはならない。誰でも子供のように奔放に魔術を行使するのが正しいんだ。怒りのままに我が儘に言葉を最後まで言い放つんだ!」
『我、願う魔法少女の輝きと自分のパンツの絶対守る力を!!』
白い色の光だったのを覚えている、空中に留まり女装した俺が光っていた。
そしてその後に薄い緑、黄緑色の閃光が胸元から真っ直ぐ出て更に幾筋にも別れ広がり俺自身を包んでいった…………魔法少女に変身だ。
着ている女装服が弾け飛び光体と化した俺に黄緑色のアンネと同一色のオーラが細い糸となり魔装されていく。
「す、すごいやケンちゃん! 正しい! それこそ古典的魔法少女! 僕の好きな魔法少女の変身シーンをかなり勉強したんだね!」
淫棒と化したオヤジのウザいナレーションが入る。
「くぅううっ!! ケンちゃんを幼少の頃から教育した甲斐があるよ! そう、全身を特に意味もなく肉体の輪郭のみの謎の光、きらきらにして更に体の各部位ごとに効果音と共に可愛い魔法少女の衣装を可愛く装着!!」
さてはまた煽ってるなこのおっさん。どうでもいい!俺はただ魔装しやすい様に!ロボットの様に無表情でこの変身シーンを終えるだけだ!!
「くぅうう! 可愛い! 本当に自分の事男だとか思ってるのかい? なんだそのチャーミングなあざとい笑顔は!! 絶対自分がかわいいって理解してるよね? ああっとここで赤色のリボンが幼女の体に変質した全身を縛る! プレイかい? そういうプレイなのか? 吹き荒ぶ花びらは一体何が散ったっていうんですかねぇ?」
声はオヤジだけどいってる事がアンネなんだよなぁ。
「そうこう言ってるうちに魔法少女の衣服が完全装着!! え? まだあるのかい? そこからは聞いてないよ? え? ハゴロモ? 薄い布が出てきて蝶々の羽みたいになった!! ここで安っぽく十字教の天使の羽根にしないところにこだわりをかんじるぅうう!!」
40代後半バツイチオヤジのかなりウザい状況説明など聞いていない、無視だ無視。
元々のセーラー服のデザインでなくなりなんというか安直に羽の生えた妖精みたいな所々肌の露出がある衣装になった。肉体を無駄に締め上げるリボンが食い込みたしかに脱げそうにない構造になって入るもののなんだか痴女みたいな格好だ。
俺は男だけど。
あとは色使いは黄緑色を基調として黄色や白やらの布地がひらひら舞うようになっている、踊ったら目立つだろうな。
髪の毛はもちろん白銀、瞳の色は確認できないけど多分薄紫、アンネの姿を基本にした姿の、筈。
「ん? なんだか違和感があるな?」
なんだろう? よくわからないけど世界が大きくなったような?
そう思いパッと前方を見た。
ああ、そうだ俺、魔法少女になって空を飛んでいるんだ。
さっきまで大きな穴の底のように見えていた旧名横浜の都市はただの障害物、そして今の俺にとってはこの真っ青な大空が俺を追い出そうとする大穴なのだ。
「生き残るためなら魔法少女に俺はなるっ!」
「そうだよ、魔法や魔術は自分に正直になることから始まるんだ。集中してまでやらされるんじゃあなくて感情的に怒っても楽しんでも我儘でも良いんだ。それが魔法少女に、果ては魔王になるってことさ!」
「魔王にはならん! お父様の、勇者の思い通りになんかなるもんか!」
「う〜んやっぱり生粋の魔王だねケンちゃんは」
光り輝く蝶々みたいな羽根が俺を包んだ。
ん?あれこの羽根そんなに大きくなくない?あれ?なんで成人男性の俺を包め……アレもしかして?
「…………小さくなってねえか? 俺の身体」
「ごめんケンちゃん! 多分僕のせいだと思う、13歳の頃のケンちゃんの姿をイメージしちゃってたから……」
「まぁ、どうせ元に戻るだろうし別に良いや」
そうだ、周りの女共に何を言われようとも俺は男で魔法少女なんかじゃない。今は命が惜しいから一時的に魔法少女になってるけどもう二度ならん! 怪人が来ても優奈に倒させる!
罪悪感? ないな、何故ならば!!
「パンツ返せ!! 優奈ぁあああああっ!!!」
急降下、元の場所に顔から急降下。
「すごい! ノリで飛行魔術と姿勢制御魔術と障壁魔術諸々を全部同時並行して行使している! 素晴らしい! やっぱり奏美の子! 魔王に最も相応しい女の子! ウチの子やっぱり天才だった!!」
淫棒オヤジが何か言っているけど無視、今の俺は悪い子優奈にチョップ(中)を喰らわせることを最優先にする!! あとパンツを返してもらう!!!
どぅおっ!!
一瞬で自分のアパートを見つけて着地点を決めた。
急加速して魔眼の魔力を上げて優奈を見つけた、ん? なんか被ってる?
「俺のパンツ!!?」
俺の正装パンツを頭に被った優奈がアパートの屋上でいいポーズ決めていた。
なんか足元に手を伸ばしがらうずくまるななちゃんがいた。うーん可愛い。
一体何があったんだろう?
「ふふふ、これでお姉様の男装用ボクサーパンツは私のもの。七緒アンタもなかなかに変態だけど、私は彼女白き聖女に神聖で真正の変態だと認められた女。そしてあの女はお姉様自身! お姉様愛で私に勝るものなし! そこで私に倒されてるのがいい証拠よ! ふはははは!」
まだかなり距離があるのにすごい2人の声が聞こえる、コレ聴力とかの問題じゃないな集音機能か? 魔法少女の。
優奈のアホ笑いを聞いたななちゃんは俯くのをやめてひっくり返り仰向けになった。
ドヤ顔で、真っ直ぐ上を見て…………っていうか俺を見てる?
「愛?愛など要らぬ!あの子の側にいる事こそ私の欲望、退き! 媚びて! 過去のあの子を省みる! 一番ではなく、手に入らぬギリギリを楽しんで愉しむ! 2番以下が良いのよ! それが心の底まで聖女であるあの子の心の傷になれるベストポジション!! 私はもうあの子の前で何も隠さない! だから私には見えているのよ! アンタには見えないあの子の未来がねっ!!」
隠された七緒の魔眼がこっちを見る、赤い瞳、なんだろう何故かどういう魔眼か分かってしまう。
アレは多分未来を観る魔眼。
「まさかその眼は!! 四の魔眼“乖離眼”?! 正確な遠い未来を見る魔眼!!?」
「そうよ! 私には見えている! 私に突っ込んでくるあの子の姿! 元の姿に近く戻ったあの子の姿! 妖精みたいな魔法少女の姿が!!!」
やめろ! その怖い目でこっちみんな!
「なんだと! まさか! お゛ね゛ぇ゛え゛さ゛ま゛!!!!!!?????」
うぎゃあ! 優奈もこっち見た! 軌道補正! い、いや逃げちゃダメだ逃げちゃダメ!! 優奈のアホに体罰しなきゃいけんのよ!
そのまま減速しつつ突っ込んでいく。
そろそろ体勢を整えて足から突っ込まなければ。
「あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!! 魔法幼女と化したお姉様が突っ込んでくる! ツッコミを入れられる♡ 凄い形相! 可愛さがまた上がってる! でも逃げなきゃ! このパンツだけは!! 死守! ししゅーーーーー!!」
シュバっ!!
あ! 逃げやがったな、だけど今の俺から逃げ切れると思うな!
「魔法少女を舐めるなよ!」
しかしどうする?着地してから起点をアパートにしてジャンプするにしても本当に大丈夫か?アニメみたいに出来るか?
「賢治!! こっち来なさい! 私がバレーレシーブの様にあの女の元に吹っ飛ばしてあげる!!」
「頼んだ!!」
急降下、数秒間で俺たち幼馴染の息のあった意思の交換、優奈、俺とななちゃんのコンビを舐めるなよ! 俺たちは異体異心だけど! 仲良しライバルなんだ!!
着地2メートル手前、立ち上がったななちゃんの手のひらが俺の足に。
着く瞬間、ななちゃんの顔が歪む。
「え?」
歪んだ顔が突き出され手が外側に一瞬で退かされる、このままだと顔にぶつかる!
ごむん、
そして赤いハイヒールの踵が幼馴染の片頬にめり込んだ。
「あ゛り゛か゛と゛う゛こ゛さ゛い゛ま゛す゛っ゛っ゛!!」
足元にグロい顔をした幼馴染がいた。
もういいや、このままコイツ足場にして優奈のアホに向かっていこう。
ぼびゅ!!
ずしゃああああああ!!
吹っ飛んだ、幼馴染が俺の飛んだ方向と逆に吹っ飛んだ。
だが罪悪感がないのはあの幸せそうな表情のせいだろう、後でその歪んだ思想を矯正してやるからなっ!!
「小さくて軽くてき゛も゛ち゛い゛い゛ぃ゛❤︎ ❤︎ ❤︎!!」
ごぼぉおおん!
幼馴染が世迷言をほざいて屋上の柵にめり込んで行った。
あっ、多分アレ元々だ、小学生からあんな感じだったし。今思い出したわ。
うん矯正無理。
圧倒的感謝っ!!
魔法少女じゃなくて魔法幼女やんけ。




