間劇 「したぺろりんちょ」♡
アンネが目で見ながら優奈の我慢の限界を測っていた時。
二人が姉妹としての会話。
「お姉様、そういえば舌は大丈夫ですか?」
「嗚呼、もう大丈夫だよ、血も止まったし痛みもない。俺ってよく舌を噛むからなのか口内の怪我はすぐに治るんだよな、耐性って奴? ほら」
言いながらその短く薄い舌をペロンと出す。
ピンク色でプルプルに潤った舌にもう既に怪我はない。
「す、凄いですね! ごく、すごぉくピンク色で、美味しそうです❤︎」
「何いってるんだお前」
嫌な予感がして普通に舌をしまった。理屈抜きでこういう時に警戒できるくらいには成長できている。
「あ、その、すみませんお姉様の舌があまりに綺麗でプルプルで可愛らしくて、じゅるる、見惚れていましじゅるじゅる、た!」
唾液腺が暴走して欲情と劣情も暴走している。アンネの視線が無ければ確実にディープキスしていただろう。してしまえ!
「誰だ! 優奈みたいな子にそんな穢らわしい思想を加えたのは! シェルフとかいうやつか!? いや、異世界か! 異世界がそういうのが常識なのか!? 14歳の女の子が悪い教育をさせられるくらいやばいのか!」
さりげに戸籍の年齢設定を確認していたお姉様はやはり生まれつきのレズなのだろう。
「それと俺は男だよ?!」
「それは……信じてますお姉様!!」
(全然信じてないなこの子!)
(お姉様! 奥手かと思いきや意外と大胆にアプローチしてくる!!)
互いに互いの想いがすれ違う。まるで漫才だ。
「すみませんお姉様のお気持ちを蔑ろにしてしまうのはあれなんですけどちょっとトイレに……」
後ろの尻ポケットに隠した聖女の涙を味わいたい妹は早く一人になりたい(意味深)
「えー!? ちょっとくらい良いじゃん! 俺一人っ子だからさぁ、妹とか弟とか欲しかったんだよ! もうちょっとお話しようぜ!!」
絶望的に場の空気が読めていない。普段ならこんな事は言わないのだが可愛い女の子を前にして本性というか心のタガが外れている。
「も、漏れます!」
「ウッソだ〜」
鋭い、いつもはちゃらんぽらんだが興味深々の妹(奴隷)の機微に敏感である。
(くっ、この世界の常識がまるで通用しない! さっさと私はこの国宝級の聖女の涙をキメたいのに!)
(くっ! 可愛い! これが世界改変による妹萌えか! 一人っ子だった期間が長すぎたためか犯罪的思考に偏ってしまう! もっと撫でたい!)
((ケンちゃん! 記憶改変は私が食い止めたからその感情は元から貴方にある劣情よ! 男だったら犯罪者だから気をつけて!!))
(ぐはぁ! また脳内に直接! 俺は男だし! 劣情じゃないし優奈は可愛いし! 犯罪ではない! 認めない!)
レズっ気すら認めない真性のレズ、可愛い女の子と見るや否や問答無用でセクハラを実行する。
撫でる。
頭を撫でまくる、猫可愛がりである。
なで、なで、なで、なで、なで、なで、
「可愛い! 可愛い!」
「け、ケンちゃん……そこらへんにして優奈ちゃんを解放してあげて? なんだったら私を妹扱いしても良いから? ね? 私実は妹キャラなのよ?」
撫でる度に黒猫少女の表情がエロく瞳の瞳孔が開閉し、刺激された劣情が爆発しそうになる。
撫でたのに撫で方が気に入らなくてキレる猫の様に興奮している。
「ふーっ、ふーっ、ふーーっ!!!」
「あはははは、お前が妹?ふざけるなよアンネ、お前みたいな養殖臭い妹が居るものか。悔しかったら優奈みたいに『お姉様』と自然に言える様になってからにしろ、俺は男だけどな」
「んー、思ってたよりアイツ似な所もあるのね」
「あ?」
「な〜んっでもないわこっちの独り言……よん♡」
不気味に笑い賢治の手を止めた。そう今魅惑したのだ。
作り物の笑顔、空笑い、それが分かる感情の薄い魅惑。
首や腰をくねらせぶりっ子の様にウィンクをする。
凡人の女性がこれをしても釣れるのはモテない童貞だけだろう、しかし賢治はモテモテ処女。希少価値も女性にアプローチをかけられた数も雲泥の差である。
だから絶対にその魅惑に引っかかるはずはなかったのだが。
魔術アビリティ
誘惑魔術 聖女の魅惑(小)
範囲=目を合わせた相手だけ。
魅力=勘違いさせる程度。魅了には至らない。
持続時間=相手の女性経験による。(減衰行為をせず対象が賢治の場合は20分)
ピンク色の雰囲気が賢治とアンネの間にだけ広がり瞳にハートマークの淫紋が浮かび上がった。
(限定条件をつけた速攻の魅惑、魅了に至らない魅惑。淫紋時間が少し長いけど優奈ちゃんを暴走させるわけにはいかないから仕方のない!)
「今よ! 優奈ちゃん! 済ませちゃいなさい!」
「え? あ! すまん!」
独特で躍動感のあるヘンテコポーズで自分の魅力を減衰させ、絶妙な調整をしていた阿保っぽいアンネに助けられたとこの時理解した。
動けない、アンネから目を離せない。
可愛い妹がトイレに逃げていくのを横目で確認できたのに!しかしこの安っぽさどこかで感じた記憶があった。
(違う)
違わない、この女から自分の大好きなパパに似た悪ふざけを孕んだ安っぽい色気を感じる。
(違う! オヤジになんか似てない。おっさんと少女が! こんな奴と似てるなんて俺の勘違いだ!)
「パパ好きすぎでしょ♡」
「〜〜〜〜〜っ!!!」
心の内を見透かされて一気に紅潮する。
「もしかしてぇ? ああいう軽い男が好きなのかしら? だとしたらショックだわ〜、物語のヒロインだったら炎上待ったなしよん♡」
魅惑しつつへんなポーズは維持して魅了させない。もはや意地を感じる。
「俺は男だ!!」
このセリフにも意地を感じる。
もはやお家芸とかしてる感もあるが、誰もケンちゃんの事を男だなどと思っていない。
「いや?! 待てよ! アンネはオヤジのことを知ってるのか!?」
「当たり前じゃない、私は貴女の前世、貴女の記憶を見てきたのよ?知らないわけないじゃない?」
「あ……うん、そうだよな、ごめんなんでもない」
勿論このアンネ、純真なケンちゃんと違い嘘つきだ。
(まぁ今ケンちゃんが女の勘で言おうとしたこと全部合ってるんだけねぇ。本性は魔王だからなこの娘、油断できん)
「んあ♡ あはぁ♡ んふぅ…………」
トイレの中から何か不穏な声が聞こえてくる。
「なんだ? 優奈……ウンコか?」
死亡フラグの様な事を言うお子ちゃま。
「ケンちゃんってそういう子供っぽい下ネタ好きよね? 可愛い♡」
くいっ、じゃああああ!!
場の空気を読んで必要のない大の水洗レバーを引いて誤魔化す。水しか流れてませんよ?
ガチャ、
「ふぅ〜すっとしたわ〜❤︎」
気のせいか凄く汗まみれの様に見える。あとテカってる。
「おお、そんな大きいのが出たのか」
「ケンちゃんって親しくなった相手だと途端にデリカシー無いわよね? ちょっと引いたわよ」
魅惑効果が切れたのでヘンテコポーズをやめた。
「俺の母さんがこんな感じなんだよなぁ、でも良いじゃん親しいんだし」
「はい❤︎ お姉様! 私はこれからも貴女のメス奴隷です!」
「何言ってるの?」
トイレの中でジッパーに入れた染み付きハンカチを呼気ていた事実など知らないケンちゃんは精神がハイになって若干サイコになった優奈のテンションに違和感を覚えた。
(しまったな、落ち着かせるためにトイレに逃したのに優奈ちゃん逆に“狂化”しちゃってるじゃない。このままだと今夜襲いかねないわ)
(ククク、絶対お姉様の処女をいただくわ)
(優奈可愛いなぁ♡ 一緒の布団の中で寝たいけど男だからな俺は、ベッドの下で我慢しようデュフフフ)
蠱毒という儀式がある、壺の中に数種の毒蟲入れ共食いさせ最後の一匹を決めてそれを呪術の道具として使う、今の状況はそれに似ていないだろうか?百合の根には毒がある。
まぁその場合二人の標的にされているケンちゃんは負け確定なのだが。
「「「ひゅふふふふふふふふふふふ」」」
3人の女達の不気味な笑い声は隣の裏切り者にも聞こえていた。
(これは絶対に同級生にも報告できないわ! 賢治は私のものよ!)
登場人物全員毒。




