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第3話 ⑩[身バレ]

「魔法少女? もしかしてあちらの世界でお姉様がしていたあの格好か? アレは扇情的でエロい格好ですね! 今の体であの格好してください! また膝枕してください!」


 場の空気を全く読まず黒猫少女が叫ぶ。


「あ、あのえっと! 違います七緒さん! 優奈は何か勘違いしてるんです!」


 殴ると息巻いていたのに一気に下手に出るお姉様。


 ゴクリッ!


 誰かが喉を鳴らす、賢治ではない。七緒だ、幼馴染みの可愛く動揺するその表情、薄く涙を溜めて頬を赤くして子供のように嘘をつくその姿、完全に悪いことをして悪あがきをする幼女の様なその表情が彼女のご馳走なのである!!!!!!!!!!!!


(これだよ! これが私の好きな賢治の表情よ! しっ、❤︎(R -18)コいっ!)


 最低の同級生である。だがわかる。


「んー、でもなぁガセネタでもくれっていう話だしなぁ〜どうしようかなぁ〜?」


 ぶりっ子、23歳成人女性のグラマラスなぶりっ子。


「なんでそんな状態になってるんだ! ふざけんな!!」


 ちなみに賢治は魔法少女関係のニュースを全く見ていない、無かったことにしようとして見ないようにしていた。そんなことしてもみんなお前を見つけようと必死だぞ。


 どんなに大騒ぎとなっているかわかっていない。分かりたくない様だ。


「アンタ()()ニュース着信切ってたのね? あんまり良くないわよそういうの、アンタはなんていうか『逃げる』のは出来ない人間だと思う。どちらかと言うと……」


「うっさい! 知らない! 魔法少女なんて知らない!!! 俺はニュースなんか元から見てないんだぞ!!」


(駄々っ子!! くっ! 賢治可愛い!!)


(お姉様! そういう風にまた誘惑して! 悪い子!)


(あーケンちゃん、もうそれダメなパターンじゃない、理不尽にビンタされたい)


「んーっとねまずもってアンタにあんな侍も真っ青な剣術、専門用語を言うと殺陣(たて)ができるとは思わないわよ」


殺陣(たて)って演劇の剣での斬り合いで使う技術だよな? うん、俺ああ言うの出来ない! 魔法少女俺じゃない!」


「変な豆知識があるのねアンタ。ええっとね、アンタがあのパンツ丸見せ痴女じゃないと仮定して話すわよ? だから怒らないでね?」


「当たり前だ!! へん!!」


(何か関係はしてるってところかしら? 本当に嘘が下手くそね、そこが可愛いところなんだけど♡)


 幼馴染(ストーカー)の目は誤魔化せない


「ぶっちゃけ世界中が“魔法少女カナミン”を捕縛しようとしてるわ、なんて言うのかしらね? なんでそんなに熱狂してるのか分からないアニメをオタクの立場で見てるみたいな?『◯◯の刃ってそんなに騒ぐほど面白い?』みたいな?」


「ああ、なんとなくわかる。その作品知らないけど」


 死んだ目で相槌を打つ、否定する理由もないし暴走した幼なじみをどうにかできる自信がない。


「なんていうかジョージ•J•ジョンセンが探してるって噂が一人歩きしてて、でもなんだか本当に動いてるらしいわよ? それでみんな例の感情のあるAIが出来たんじゃないかって話になってね? ほらあの爺さんってすごい金持ちじゃない? しかもすごい天才だから色んな組織が動いちゃって金が動いちゃったってわけよ」


 魔法少女(はんにん)の顔がどんどん青くなる、全然隠せていない。


「ふん、お姉様を捕縛しようだなんて恐れを知らぬ馬鹿ども、絶対に貴女は私が守ります♡」


 どさくさに紛れてお姉様を捕縛しようとしてる顔をしている、ロクな女が居ない。


「……優奈!お前はそんな事しちゃダメだ!」


「はい?」


「お前は知らないだろうけどこの世界じゃ人殺しは犯罪なんだ! だから……」


「嗚呼、大丈夫ですよそこら辺の知識はこっちの世界の転送されてから脳内に叩き込まれましたから。だから()()()()()()()()()()()()()()()()()、殺しはしてないです」


「え?」


 予想外の事後報告、羽虫とはつまり怪人、もう既に一悶着あったということである。


「どういう事? え? まさか」


「殺してはいません、あちらは殺す気満々でしたけど。私にとっては羽虫同然の雑魚だったので次来たら殺すとだけ伝えて無視してやりましたよ」


(むしだけに?なんて言ったら雰囲気をぶち壊すだけだから言わないでおこう)


「優奈ちゃん! それはつまり『むしだけに』って事かしら!!?」


 ドヤ顔自称聖女様が場の空気を読まずに意気揚々と言いやがった。


「は?」


 黒猫少女の鋭い目が刺さる。

 白銀の美少女は自信満々だ、一切恥ずかしがる事はない。

 逆に同じ発想で同レベルだったケンちゃんがめちゃくちゃ顔真っ赤で顔を隠している。


「んぎごご、やめて……アンネ本当にやめて」


「アンネ?」


 その名を聞いた時に黒猫少女は一瞬で反応して目を細めた。


「何かしら? そんなに見つめられたら惚れちまうわよ?」


「白銀の髪に薄紫の魔眼、成る程アンネを自称するだけの見た目ではあるな。しかしお前があのアンネ・アイン=クロイツとは思えんぞ」


「……あーそういう事?完全に理解したわ、貴女私と同じ世界から来たのね、って言うか私が死んでから何年くらい経ってるのかしらね?大体は予想ついてはいるけどね?まぁその辺後で色々聞いてみたいわね」


 笑っている、二人とも笑っているが少し険悪である。


「それより! 優奈ちゃん! さっき話してた事だけど!」


「ん? ああ、昨晩の羽虫の話か?」


「もしかして怪人かしら?」


「怪人? なんだそれは、魔物、魔獣の類ではなかったな。なんというか中身がないクソガキが分不相応の身体を操ってるような奴だったな、何というかわざとなのかもしれんが妙にイラつく言い回しを多用していたの鼻についたな」


 首を傾げその言葉を言い放つ。


「俺、何かやっちゃいました?だったかな、口にするたびぶん殴りたくなった」


「それってオヤジの持ってた小説で見たことある、古典なろうの有名なセリフだな」


「古典? ですか? あんなのが?」


 自然体で古典ラノベをバカにする優奈。


「いやいや、確かにその言い回し自体をリアルで多用する奴は阿保だけど、作品自体は悪いもんじゃないよ。特にハーレム系が流行ってたあの時代一人の女だけを愛する姿ってのが主人公としての一途な思いを……」


「ふむふむ、お姉様はそういう一途な殿方がお好みなのですね?」


「俺は男だ」


 綺麗にオチをつけて否定する。

 しかしここまで特に目立つことのなかったアンネが話を軌道修正しようとする。


「話を元に戻すわよ! さっきから脱線しまくりだけど一番気になるのは優奈ちゃんが見たって言う怪人と思わしき人物よ!」


「思わしきって、アンネ、お前らの仕業じゃないの?もう世間様を騒がせるのはダメだぞ!」


「ちっが! ケンちゃん! もういい加減に私を信じて! 私だってあの子があんな風に暴走するなんて予想外だったのよ!」


「あの子? って例のAI(あの子)か? いや、俺はそう簡単にお前を信じないぞ!」


 七緒も黒猫少女も何の話か分からないまま二人の口喧嘩が始まる。


「だから私は貴女の生まれ変わりなのよ! 貴女の損になる嘘をつくわけないじゃない! アンタが死んだら私も死ぬのよ!」


「なっ!!!」


 その言葉、衝撃の事実に一番驚いているのは黒猫少女だ。


「お姉様がアンネの生まれ変わり!? どう言う事だ白銀! 何で前世体がお姉様と同じ時を一緒にいれる!?」


「白銀って、何その呼び方? もっと絶世の美聖女とか褒めちぎりなさいよ」


 この上なく手前勝手な自己評価である。


「お前が“白き聖女”なのは納得がいかない! お姉様の前世が白き聖女なのは納得だが」


 ちらっと賢治に視線を向けてご機嫌伺い、この黒猫どうやらお姉様には従順なようだ。

 しかしその視線はこれまで女子に酷いことされる前のものと同じだった為お姉様はびくついていた。


(この子とは二人っきりになっちゃダメだ)


「な、な、何だか分からないけどじゃあまずアンネが差し向けた敵じゃないと仮定して、だったらいったい何なんだ? あの怪人って奴らは! そういえばお前昨日魔王がどうとか言ってたよな!」


 ピク、


「「魔王?」」


 その二文字に前髪ロン毛の幼馴染みと黒猫少女が反応した。

 明らかに気が立っている、魔王、それは畏怖と絶望の称号。

 二人とも白銀の自称美少女に詰め寄っていく。


「誰だ! この世界の誰が魔王だ!?」 


「ちょっと待って優奈ちゃん、それよりその子の言った魔王がどう言う意味で言ったか確認したほうがいいわ!」


 どうやら色々と思い当たるふしがあるようだ、圧がすごい。


「あー、そのそこら辺はケンちゃ、お兄ちゃんの聞き間違いじゃないかしら?」


((ケンちゃん!!!))


 直接脳内にアンネの毒電波が響いてきた!!


「ンゴ!!」


 詰め寄られてるアンネの横で頭を抱える。


((言ってなかった私も悪いけど、絶対人前で『魔王』の名は口にしちゃダメよ!! すこぶる貴女の立場を悪くさせるし、特に優奈ちゃん! この子は私と同じ異世界から来たから魔王の事にはすごく敏感なの! それに私多分そっち関係で悪名高いから隠し通せないの!! だからお願いね!? もう言わないで! 後聞き間違いだって言って!))


(なんで俺の立場が悪くなるんだよ)


((良いから!!))


 一方通行の無理やりな通信、テレパシーという奴だろうか? 音源の音量を間違えたスピーカーのようにわんわん頭に響く。


「あー!! あー!! 俺の聞き間違いでした!! 魔王じゃなくて“魔法”の聞き間違いでした!! それ以上オレの妹をイジメナイデー!!!」


 今年一番心にもないことを賢治は言ってしまった。


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ざまぁ転生 〜ざまぁサレ役のイケメンに転生した作者の俺、追放されず復讐も諦めたのでヒロイン達のゆりゆり展開を物言わぬ壁になったつもりで見守りたい、のに最強ヒロイン達の勘違いが止まりません!〜

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