第3話 ⑦ [奴隷女ゲットだぜ!]❤︎
街中でいきなり現れた黒猫の様なダークエルフ女はさっきから棒立ちだ、正確に言うと正志の様子を見て出方を伺っている。
謎の神聖勇者とかいう奴と思っているのか異常に警戒している。
(眼前敵の装備は魔剣が一本、両手で一本の剣を持つのか?珍しい。ステータス開示要求は……通らんだろうな。無駄な魔術は使えない。ここにくるまでの道中で魔量的にすっからかん。それに開示系魔術はこっちがカウンターを喰らう可能性がある)
黒猫の脳内に様々な作戦が立案され否定されてゆく、これは素人だから考えすぎ、と言うわけではない。
黒猫はそういうタイプの戦士なのだ、考えて考えまくって戦闘の緊張をほぐすタイプ、そういう人間もいる。
「うーん、すごく長考してるね彼女、多分脳内でチェスみたいに盤上の動きをいくつか考えてから動くタイプだ。こういう子はベッドの上だと野獣の様に暴れるから気をつけてね?まぁケンちゃんと同じタイプの子なんだけど」
『俺は男だ!!』
「えええ? 別に性別の話はしてないんだけど? な、なんかめんどくさいなぁ」
このオヤジ、完全に彼氏面である。
「なんだか知らないがさっきから誰と話している?」
流石に気がつく、金色の目を細めて警戒する。
『というか異世界の筈なのに言葉が通じている。日本語? って事はやっぱりゲームなのか?』
「おいおいケンちゃん、今更没入感を浅くする様な事言うなよ!そういうのはノリで、なんとなく」
『気になるんだよそういうのは!』
ケンちゃんは頭を空っぽにできないタイプだ。
「成る程その剣は本物の魔剣か、まさかあいつらと同じゲームのつもりでこの世界に来たのか?」
「? なんの話」
だ。と言いかけた瞬間、距離が詰まった。
目算で6メートル離れていたが片足で隠したもう片足をバネにして一気に突進してきたのだ。人間の動きじゃない。
ガ、
音を置き去りにする速さ、この瞬間だけなら緩急の速さで猛獣の動きを凌駕する。
ゲーム慣れも喧嘩慣れもしていない賢治は全く状況判断できていない、いきなり音の壁が襲ってきたと言う認識だ。
凶刃、黒猫はいつのまにかダガー、果物ナイフの様な武器を両手に2本隠し持っていた。その動きは予め決めていたらしく機械の様に喉元へ刃物が疾る。
だがオヤジ殿は見えていた、FPSゲーム内で銃弾を避けて敵を倒した伝説を持つ男に音の速度はやや速いだけだ。
そうだ、このオッサン自分がチートなのである。
魔剣聖誕でたった一人勇者の職業を得たプレイヤー、存在がバグの様な奴だ。
彼にとっては実戦も喧嘩もゲームも戦争も全て等しくただの攻略対象だ。
「な!!」
油断していなかった、殺す気でかかった、だがオヤジ殿の反射は想定を超えていた。
体術アビリティ
武術スキル『柔術』
柔道と言い換えてもいいが柔道とは格闘技、相手が武器を持っている事を想定しない。
凶刃相手に怪我をしてでも相手を制圧すると言う想定で動く血みどろの術は格闘技ではない、それは武術と呼ぶ。
柔術とは素手同士専用の格闘技ではなく戦場を想定した武術である。
突進してきた黒猫に対しオヤジは冷静に足を使い、まるで絵付きの本にある様な動きで転かしてラリアット、そこから手足を使い黒猫の腕を後ろ手にして拘束、因みにこの動きは魔剣を持ったままでは不可能なので普通に投げ捨てた後のことである。
『え!? え?! えええ!??』
投げ捨てられた魔剣が石畳に刺さるまでの間に全て決着した。
魔術ではなく体術で。
剣術でなく武術で。
剣なんて要らなかった。いや正確にいうとフェイントの役割位はあった。
(つっよ! 知ってたけどオヤジとんでもなく強い!)
心臓が高鳴る、カッコいいパパが帰ってきたのだ。
黒猫は見たこともない術に翻弄されつつも現状を冷静に分析していた。
(剣を使わなかった!? くそ剣術用のカウンター魔術を展開してたのが仇になった、両手で一本の剣を持つ動きなど知らなかったからだ! よく注意してみていれば体術の重心であったことなど私だったらわかっただろうに!)
剣を持った相手が体術をしてくる事は彼女にとってそれほど珍しくはない、だがそういう人間は武器をフェイントにしている油断からか、構えに不自然なものが出てくる、しかし異世界には両手で一本の剣を持つ剣術は少ない、こちらの世界でも日本くらいだ。
そのことを意識してかどうか、不自然さを不自然で隠して見事このフェイントは百戦錬磨の異世界の女戦士を制圧することに成功する。
「うーん、剣で斬っても良かったんだけど流石に自分の子供が乗り移った剣に血はつけたくないよね?」
子煩悩ここに極まれり。
「なぁ君は知ってるんだろう? コレはなんなんだ? なんでこの世界にケンちゃんの世界が繋がってるんだ?」
先程まで無駄話をしまくっていた人間と同一人物とは思えないドスの効いた声だ。
「ふんっ、殺せ! 私が貴様に捕まった時点で何も話す気など無い!」
冷たい石畳が胸から熱を奪い黒猫から戦いの熱までも奪う。
まるで自分の命を駒としか見ていない様に思える。
「殺す? ケンちゃんの目の前で? あり得ない、生殺与奪の権利はこっちにある。殺されるのが御所望なら殺さない、僕はそういう奴だ。それにさケンちゃんは君の事を欲しがってるんだよ」
『な!!』
精神的な攻撃!しかしケンちゃんは否定はしない。
「な?! 私はシェルフ様の! お前たちに使われる位なら死を選ぶ!」
何やら卑猥な誤解されたがどうでもいいオヤジ殿にとっては解く気もない。
「だから死なせないってば、えーと君名前は?」
「そんなものはない! 奴隷にそんなものはない!」
「え? 奴隷? どれ…………やったねケンちゃん! 新しい女の子が増えたよ!」
『おい馬鹿やめろ! じゃなくて、ふざけないで! 新しいってなんだ!? 元々俺に女なんて…………あ、アンネの事か』
奴隷と言われてアンネのドM変態っぷりに納得してしまう。
「ふざけるな! 私を性商業の奴隷にでもする気か!?」
黒猫は更に誤解する、どうやらエロい事をされると勘違いしたらしい。
「ケンちゃん、君が選べ」
『え?』
「殺すか? 生かすか? だよ」
急に話を振ってきた。その間も黒猫は無駄な抵抗を続けているが完璧に極まった拘束を解くには腕力が足りない。
『殺す、なんてオヤジにして欲しくない』
答えは一瞬で出てしまった。
判断力はとても早い、そう言う子だ。
「うん、成る程。でも今この子は僕を殺そうとしている、どうする? 僕は当然だけど奴隷にするゲームスキルなんて持ってないよ? 勇者だからね?」
『それは……元の世界に返すって言うのはダメかな?』
「どうやって? 僕は今日転生したばかりでチート魔法なんて持ってないんだよ?第三の選択肢を作るなら全部台無しになる覚悟を持ったほうがいい、なんて事は奏美に良く言われてるだろう? コレはゲームでも遊びでもない殺し合いだよ、やっと実感した。ここは異世界だ」
オヤジの言葉が刺さる、正直まだゲームだと思いたかった。
でもその二択は辛過ぎる。
(だが、自分の父親の命とは比べられない)
早かった。
その時黒猫を殺すと言う判断を簡単に、残虐に、冷徹に、まるでゲームの魔王の様に呆気なく判断を下したのである。
『その子を殺す』
そう言いかけた時、賢治の中で何かが弾けた。
自己の本質、回帰と言ってもいい。
その瞬間、自分の中で熱いほとばしりを感じたのだ。
魔術の覚醒、いや魔法少女の覚醒である。
キィイイイン!!!
けたたましい金属の擦れ音の様な音とともに魔剣が光り輝く。
「な、ケンちゃん??!」
そのあまりもの神々しい光景に瞬間的に硬直したオヤジは拘束した手を緩め隙を作ってしまう。
が、それ以上に黒猫少女も硬直していた。
「ぬ、ぬな! なんだこの匂い! 凄く…………いい匂い♡」
エルフの女の子の一部分も硬直していた。
先程までの警戒心にまみれた鋭い目つきが消えた、今はまたたびを嗅がされたニャンコの様に地面にうつ伏せになり動けない。ナニかしてて動けない。
ポン!
ピンク色の閃光と共に化け狸の変化した時の様な煙のエフェクト、そして女の子のフェロモンが街中を包む。
「え?な、なな! うぇっ!! んぎゃああ!!! また魔法少女になってる!!!」
賢治の声だ、テレパスではない喉から発する声。
魔法少女の時の少し高めの声、第二次成長期前の女の子の声だ。
そう、今魔剣が変質し魔法少女の身体に変身したのだ!!!!!
黄緑色のセーラー服、銀髪のふんわりした滑らかなロングヘア、キリリとした目尻のクールビューティー、赤いリボンの魔法少女カナミンの登場である。
「ふざけんなぁああああ!」
しかし中身は賢治なので表情が崩れ頬も真っ赤だ。
パンツが見えない様に意識して内股になりそのまま座り込み半べそをかきながらたわわに実ったおっぱいを両腕で包みうずくまった。
のりのりで魔法少女になったパパとは真逆の姿である。
しかしその仕草、正直パパの時よりクルものがある、そう女の子の魅力とは肉体のエロさだけではない。
シュチュエーションが何倍にもその魅力を引き上げるのだ!!
「可愛い♡ はっ!! 私にはシェルフ様が! で、でもこの魅惑魔術! た、耐えられにゃい♡」
腰を浮かしスカートの様な軽装鎧がゆさゆさ揺れているがナニをしているかは描写しない、したら18禁である。
そしてその自分の息子の姿を見たパパはいたって冷静である、何故なら彼には耐性がある、ケンちゃんのフェロモンは嗅ぎ慣れているのだ。
(うん、ギリギリだけどね! 予め魔法少女の姿を知ってなかったらやばかったな、父親としての体裁を保てないよ! ケンちゃん、恐ろしい子!!)
少女漫画の驚愕したキャラの表情の様に白目である。パパも勃❤︎しない様に必死だ。したら父親失格だ!!!
先程までの殺す殺さないの緊張感は一切なくなった、全てを台無しにして全てを解決してしまったのである。そう。
「ふははは馬鹿め! この名無しの黒猫! その様な色仕掛けに負けるものか!!」
やっと勃ち上がっ、失礼、立ち上がった黒猫だが腰がガクガク震えまともな姿勢を保てていない。
「色仕掛けなんてしてねーよ馬鹿!」
言いようのない理不尽な展開、何も知らない黒猫にそんな事を言っても意味不明だ、だがその罵倒、黒猫はナニか言い知れない快楽を感じずにはいられなかった。
(馬鹿な! あり得るか! この私が! 魅了耐性持ちのこの私が! こんな暴力的な未熟で撒き散らす様なフェロモンにやられる??! ダメだ! きゅんきゅんする♡ 抗えない!!)
己を正そうとキリッと目つきを鋭くしようとするが痺れた様に、凶悪なまでのそのかわいさが緊張する事を許さない、いやらしい癒しが強制されてしまう。
ガクン!
ついに耐えられなくなった、黒猫は内股で膝を石畳に付きそのまま土下座の形になった。体は正直である。
(なんだこの言いようのない屈辱感! 私はこんな座り方知らない! こんなの知らない! 屈辱的なのに! なのにきもちいい♡ 嬉しい♡ ふざけるな!! 負けんぞ!)
負けている、魔法少女の魅力に、ではない。
元々賢治の持つチカラが解放され彼の持つ魅力に負けているのだ。
そう元々賢治は魔術を使えたのだ、他者を魅惑し魅了へと誘う悪い女が放つ魅惑魔術。
しかし本人は気が付いていない、と言うか教えても認めないだろう。
魔術アビリティ
魅惑スキル「フェロモン」
魅惑スキル「色仕掛け」
魅惑スキル「カリスマ」
魅惑スキル「堕落への誘惑」
魅惑スキル「強制魅惑」
魅惑スキル「魅惑狂化、強化」
魅惑スキル「夢魔インキュバス型魅惑」
魅惑スキル「対女性魅惑狂化、強化」
魅惑スキル「性別誤認解除」
魅惑スキル「視線誘導」
魅惑スキル「後光」
魅惑スキル「読心」
魅惑スキル「猫の歩法」
etc……
完全に落す気満々のスキル数である。
「き、貴様ぁあっ!! わ、私に何をする気だぁあああ!!」
黒猫の持つ『魔眼』という特殊な目で簡易な鑑定する。するとおぞましく隠す気もないその凶悪な魅惑スキルの数々、しかし黒猫少女は魅惑に対する強力な耐性がある、というより洗脳系の魔術全般に耐性を持つ様に生きてきたのだ、だからどんな術者が来ても問題ない、そう……悪魔の様な化け物が現れるこの時までは。
悪魔の様なその美少女、否、悪魔など所詮は人の想像上の化け物。
魔法少女という化けの皮に包まれた賢治という化け物は元々そこにいたのだ。
こんなんだから無機物のAIすら魅了するんやで?
幼馴染みの七緒を魅了し、女性教諭を魅了し、クラスの女子を魅了してどんどんと支配侵食していった化け物。
それに全く無自覚な女の子、それが今の谷戸賢治である。
「何もしねぇよ、お前なんなんだ?」
黒猫が動けないのを確認するとスッと立ち上がり獲物に向き直る。
そして一歩近づく、その瞬間黒猫少女の警戒心がマックスとなった。
(明らかに魅力が上がっている! そしてあの歩き方、体術アビリティにおいても所作そのものが相手の心を狩る化け物!)
自然体の歩き方であった。
魔術ではない、普段から賢治が自分の可愛さ以外で女性を魅了していた体術。
体術アビリティ
歩法スキル 「キャットウォーク」
あざとくも可愛い動物から会得した魅惑の歩き方、プロのファッションショーでも使われる歩き方を今、この場で実践していた。
「絶対わざとだ! この女! 私を誘惑し魅了して洗脳しようとしていやがる!! 足エロい!」
彼女の認識は間違っている、まず賢治はそこまで計算していない。
可愛い女の子の前では自然とキャットウォークで魅了しようとする悪い子だが、わざとではない。
そして1番の誤解! それは『洗脳しようと』ではなく、すでに魅了され軽い洗脳状態にある、という事だ。
唯一あっているのは賢治が女の子だという事だろう。
「俺は男だ!!」
「嘘つくな! 男にそんなスキルがあるもんか!! 聖女だろうお前!!」
「俺は男だ!! なんなんだお前ら! さてはアンネの差し向けた刺客! もしくはアンネ自身だろ!!」
「?! アンネ? それはまさかアンネ・アイン=クロイツの事か?」
「え?」
フルネームなど聞いたことがない。だがその名前に何かしっくり来るものを感じた。
まるで言われ慣れた名前の様な感覚だ。
「ケンちゃん!!」
「うわ! なんだよオヤジ!」
「談笑してる暇なんてないよ? どうするの? 殺す? 生かして生殺し?」
突然咳を切るように大声で話をぶち切った。
その様子を見た黒猫は何かを察した様にほくそ笑む。
「ふっ、どうやらアンタは神聖勇者じゃないみたいね? 持ってた武器がそんな可愛い女の子に“聖具化”するなんて伝承と違いすぎるもの」
「そのしんせいなんちゃらは知らないけど聖具化ってのは聞いたことあるな。確かこのゲームをクリアするとリアルでも使える様になるっていう眉唾物の噂の力の総称、Uバグとも呼ばれる存在の武器化した姿、それが魔法少女の正体か?」
「ゲーム? はははは成る程! お前ら本当にゲームのつもりでやっていたのか?」
笑う、最高峰のゲーマーに取り押さえられた少女がその愚かしさを笑う。
「私はお前らの言うところの異世界人、殺せば死ぬしお前らは人殺しだ。それを噛み締めて殺せよ?」
凄く真面目ぶって言っているが黒猫少女の視線は魔法少女の太ももの中に釘付けである。その視線に賢治は気づいている。
「殺さない」
やはり判断が早い。
自分の世界の倫理観が影響してはいるがその判断を下したのには理由がある、もう黒猫から殺気を感じないからだ、口では勇んでいるが声色が人間を魅惑する時の猫の様に高くなっている。
そうだ、黒猫も魅惑し始めたのである。
仮に賢治が相手を魅了する化け物だとしても賢治自体が魅了されない保証などない。そして相手は自称異世界人、魔術など使えて当然。
「殺さない生か……」
「舐めるな!」
瞬間、黒猫は魔術を展開した。
魔術アビリティ
カウンタースキル「魅惑返し」
(魅惑された分全てはできないけど自分がどんなヤバいことしてるかこれで味わえっ!)
しかしそれは『悪手』であった。
「生かす? 否」
「へ?」
確かにカウンターは殴り合い、殺し合いの場では有用。
谷戸賢治は魔法少女である。
そして彼女は女の子を魅了する化け物である。
これは殺し合いではなく化かし合いである。
元々黒猫に興味津々だった賢治は猫撫で声になった事により簡単に黒猫に魅了されていたのだ、チョロい。
だが魅了とは狂化の裏返しである。そして狂化された者は強化される。
魅惑の化け物は返された魅惑によって更に凶悪になってしまったのだ。
魔法少女の笑顔がエグいものになっていく。
「あ……」
「生かさずイカす! 可愛いがる!!!」
魔法アビリティ
領域魔法 「ゆりゆり空間」
•女の子同士でしか許されない空間。(当然パパは排除される)
•術者と対象者は女性に限定される。(男など要らんのです、それくらいエロい人には分かるはず)
•女の子同士は仲良くなってしまう。(男など最初から居ない)
白い百合の花の幻覚をパパは見てしまった。
ずどぉん!!
吹っ飛んだ、抑え込んでいたはずなのにまるで同じ極同士の磁石の様に反発して吹っ飛んだのだ。
男はこの空間に入ってはいけない、男子禁制である。だから二人の女の子同士は仲良くなってしまうのは必然である。これは慈悲である。
ここからは女の子同士のお楽しみタイムだ。
「あああ!! 何を!」
「何って? 何かしてるのはお前じゃあないか?」
声しか聞こえない、女の子二人がパパの入れない白い花に埋め尽くされた空間にいる。
(な? 何コレ?)
「ケンちゃん! 大丈夫かい?」
ちゅぱちゅぱ、
何かをしゃぶる音だ。
「さっきから人の指をしゃぶって、悪い女の子だなぁ? くひひひひ」
ケンちゃんの声だ。しかし今までと声色が違う、なんというかイケナイ雰囲気を感じる、ヤバイ笑い方だ。
「それはお前がっ!! 私を誘わきゅ、ちゅぷ、すりゅからや!!」
ちゅぱ、ちゅぷ、
声から察するに指をしゃぶらせている様だ。エッチいコトはしているが取り敢えず命の危機がない事にパパは安堵する。
「……似てるなぁ、やっぱり親娘なんだなぁ」
若干何か懐かしむ様な表情で目の前のトンデモ現象を見て笑った。
(だってどうしようもないもんなぁ。こんなの)
「わたしには、むちゅ、シェルフ様が!」
「うん、じゃあその子もここに呼ぼうじゃないか! みんなで仲良くなろう!」
「んぎゃらばぁああ♡♡ それは最高の発想です!お姉様!」
弾けた、黒猫の中で決定的なナニかが弾けてしまったのだ。
「はっはっはっ! 俺は男だぞ?」
「嘘つきっ! お姉様は大嘘つきですっ!」
[侵入者を攻略した! ]
[魔剣改めカナミンのゲームレベルが35アップした。]
破壊不能オブジェクトNo.1→魔法少女カナミン
固有名詞[谷戸賢治]
ステータス LV80(階位なし・魔剣→カナミン)
❤︎
ゆりゆり空間解除。
白い花弁が散って中の様子が顕になった。
魔法少女の膝枕の上に黒猫少女がメスの顔で頭を乗せている。
「嘘じゃない、今はこんな姿だけど本当の俺は男なんだ」
「! と言う事はお姉様は侵略者世界の人間なんですか? それなのにこんな魔術と魔法を?!」
(? さっきのってそう言うのなのか? でもそんな事より、侵略者そうか確かに小説とかだと異世界人にウェルカムされるけど、これは実際に起きてる事、転生者なんて侵略者以外のなんでもないよな?)
ぴ、
何かの電子音の様な何かが聞こえたと思った瞬間眼前に見慣れたウィンドウ画面が出現した。
[転送します、よろしいですか?]
「なんだコレ?」
頭を傾げ簡単には返答しない。
「それはわたしとお姉様の魔術です、私を転送させて下さい、許可してくれますか?」
何かを欲しがってる様なメスの顔である。
しかし、ここで賢治は冷静に状況を判断してしまう。
「そうか、そうだよなわかった元の場所に返してやる。お前みたいな可愛い子はもう戦ったりしちゃあいけないよ?」
「元の? はい!私の場所に帰ります! お姉様!!」
「じゃあね」
もう一つのウィンドウの可否を求める選択肢にYESと答えた。
迷える黒猫を逃がしてあげたっ!
青い光のエフェクトが立ち上り転送された。
きっと自分の世界へと帰ったのだろう()
「んぐ、きゅうう、なんか眠い」
ふらふらと膝枕の体勢のままぐわんぐわん頭を回転させて魔法少女は眠りにつく。
ボスん!!
煙が勢いよく爆ぜた様に噴出すると元の魔剣へと戻っていった。
「あららら、この子夢の中で寝ちゃった? ああ違うかここが異世界ならフルダイブをやめて普通に寝たって事か」
邪魔者扱いされたパパが笑う、むすm、息子の成長を笑って喜ぶ。
しかし、直ぐに状況の整理を始め表情が一気に鋭くなった、まるで何処かの他人のように、その顔は賢治も見たことがない。
「アンネのフルネーム、と言う事はここはあの世界だと言う事か?」
そして時間を後日、元の時間へ戻す。
指です。指ですよ?




