間劇 「眠り姫」❤︎
その後寝室中に散乱した下着類を見てゲンコツを食らわせようとした賢治だったが、メス顔で待機していた変質者を見てご褒美になると確信したので散らかした本人に片付けをさせる事にした。
「まぁこれもある意味プレイの一環!! 私に罰は通用しないわよ!」
「良いからさっさとこの部屋片付けろ! ふざけて散らかした分は自分でやりなさい! 俺はちょっと自分の寝床を作るから!」
「?何言ってるんです? 貴女のベッドはここですよ?」
そんな当たり前の事を言った気でいた妹にお姉ちゃんである賢治は思っクソ深いため息をして宣言する。
「女の子を床で寝させられないだろ、アンタにはご褒美かもしれないけど俺は苦痛なんだよ! こんな時のために敷き布団を買ってあるんだ、アンタは俺が愛用してるフカフカベッドで寝てくれ男の俺は下で寝る」
「何を言ってるのです? 私達姉妹じゃあないですか、一緒に寝るんですよ、私一人じゃ寝れないんです、女の子の温もりがないと眠れません♡」
「な、か、かき、」
キョトンとしている、なんの悪意も邪な思いもなくただ当然の事を言ったつもりだった、そんな純粋な表情は賢治の心に意外と刺さる。
(え?何ソレ異世界では当然の事? 大胆すぎ! でも俺も日本男児として女の子と一緒に寝るくらいの事っ! イヤでも!)
「何を恥ずかしがってるんですか?ケンちゃんって中学生までお母さんと一緒に寝てたじゃないですか? 何を今更恥ずかしがってるんです? 慣れたもんでしょ?」
そう、この女はケンちゃんの記憶を持っている。
「やめて!! ソレ俺の黒歴史だから!!」
一瞬で学校の女子にバレてマザコン呼ばわりされた思い出が蘇る。
「黒歴史じゃないと思いますよ? 親がいるうちは甘えていいと思います、じゃないとホラ! 貴女のお父さんみたいに卑屈になっちゃうでしょ?」
少し申し訳なさそうに、困った顔でいう妹に素直に可愛いと思ってしまう。
(本当にこの人は黙ってれば美人なんだけどなぁ、喋ると変質者だからなぁ)
「ソレとも私がエッチなことをしないか不安なら私を縛ってください! 古のエロ縛り亀❤︎縛りで!」
(本当、黙ってくれないかなこの人)
「縛れないし縛らないよ、ね、眠れないなら一緒に寝てやるよ、ただし背中合わせな」
(……あれ? ケンちゃん意外に簡単に了承しすぎじゃない? もっと抵抗するかと思ったんだけどデュフフ)
ケンちゃんはモテている実感がないにも関わらず女の子に対するアレルギー的なものはない、七緒ほかの女子と昼寝をする事が結構多かった、故に信頼できる女とだったら誰とでも寝れるのだ。最低。
「私はエッチな事されても良いですよ?」
笑みながらトンデモ発言をする自称聖女。
「さっさと片付けろ痴女」
◆
19:00
「え?もう本当に寝るんですか?!」
驚いているのは妹だった。
パジャマパーティをこれから実施してケンちゃんの好みの男性を聞こうとしていたのに、夜はこれからだという時にケンちゃんは寝ようとしているのであった。
「煩いな、今日は色々あって疲れたんだ、もう寝る」
その時変質者に勘が働く。
「とかなんとか言って今から大好きなパパに二人きりで会いに行くんでしょう?」
ぴく、
(図星か)
「あーうん、オヤジにも色々聞いておかないとおけないだろ? アンタがいたんじゃ話せない事もあるだろうし、アンタ共犯なんだろ?」
「………パパの事信じてないの? さっきから私と共謀してるみたいに言ってる様だけど」
「いや、別にそう言うわけじゃないよ、ただまだ、うん実のところ本当に俺の知ってるオヤジなのか疑ってるってのはあるんだ。ちょっと俺のイメージと違うっていうか俺の知らないオヤジの様な感じがして」
ニンマリ笑いながら賢治の言うことを聞いている。
「ふーんなるほど、十年ぶりにあったパパの知らないところを知ってしまってちょっと戸惑ってるってところかしら? 実に可愛いと思うわ♡」
「男が可愛いとか言われて嬉しがると思ってんのか?」
「すっごく嬉しそう♡」
「馬鹿にしやがって」
背後から美少女が話しかけるも全く意に返さず振り向かずそのまま目を瞑り自動的に眠る、ナノマシンの力を借りて現代では睡眠にかかる速度はかなり速くなっている、その分フルダイブに移行するまでの時間も短縮されると言うわけである。
「……寝ちゃった、私が手を出さないとか思ってんのかしら? そこら辺から教育しないと本当に悪い男に騙されかねないわねこの子」
頬が赤い、美少女は眠り姫の姿に魅了されていた。
風呂上りでポカポカの肉体、女の子より女の子な柔らかくて汚しがいのある綺麗な肌、賢治は何も分かっていない。
自分がどう言う目で見られているのかと言うことを、これはもう無責任だ、自分の美貌に無責任なのだ。
「ごくりゅ、」
生唾を飲み、我慢する。
(我慢よ、ワタシ。私はどえむ! 私はどえむ! 手を出したりするのは性的趣向に反する行いでしょ!!)
そんな変質者特有の矜持をぶち壊しにしてしまうほど無防備な賢治は美しい、触りたくなる、触ると摘みたくなる、摘むと舐めてみたくなる、舐めると……と一回己の中の欲望を許して仕舞えばソレは更なる淫行へと導かれてしまう、かつての自分がさまざまな男や女をそうしてきたのだから、生まれ変わりである賢治がそうであるのは自明の理である。
(ダメなのに、自分なのに、なんでこんなに可愛いの?)
唾液腺から出る液体を飲み込む。
(初めは息を吸えるだけで満足だった、この世界に転生して、でも意識もなくてこの子の一生を見れるだけで満足だった。この子と同じ空気が吸えるだけでも満足だったのに)
ピンク色の空気がアンネの身体から噴出し辺りの空気が輝く、生前女の子を誘うときに使ったフェロモンの魔術だ。
(今はこの娘が欲しい!!)
薄紫の瞳の孔が拡がり獲物の心を狩ろうとする猫になる、相手は寝ている。だからかかる事は無い。ソレも踏まえた上での誘惑だ。
ずっと誘惑したかった。だがソレは許せない、何故ならば。
「私がこの子を守る、私が手を出しちゃ駄目なのよ」
そうだ、アンネは自分の生まれ変わりを守りたいのだ。
そう言っても欲望は発散されない、だがアンネは知っている。
こういう時の発散方法を。
ふぁさ、
眠り姫の賢治の手を取り指を凝視める。
(綺麗な指、全然男らしさのかけらもない)
くぱ、と小さな口を開けて唾液が中で柱を数本作る、その中になんの躊躇もなく勝手に賢治の指を、その人差し指を口内に挿入した。
くちゅ、ちゅぷ、んちゅ、
(あまい、おいひぃ)
唾液が口から溢れ賢治の手と借りた服を汚す、余程予想外のうまさを持っていたらしい。
(噛んで起こしてやりたい、でもソレはまだ駄目本気でドン引きされちゃうから)
変質者は変態性をも持つ、しかしソレを呼び起こしたのは他でもない。
(ケンちゃん、貴女がぜんぶ悪いんだからね!)
ちゅ、ちゅぱ、ちゅるるる、
自称聖女はひとり赤ちゃんプレイに興じる。
夜は始まったばかりだ。




